そして、横手の階段を上がっていくと、 それを追い駆けるように階下から「おこしやすー」と声が掛かり、 人懐っこい表情のオヤジサンが迎えてくれました。 二階がフルーツパーラーになっているのです。
壁には件の小説「檸檬」の一節が貼られています。 「そこにでてくる鎰屋(鍵屋)は、あのコンビニのところにあったのよ」というオカアサンの台詞に応じて、硝子越しにそのあたりを臨む。 嫌いじゃないな、こういうの(笑)。
ワープロで打ったらしきメニューには、 流石果物店と思わせる30種類に及ばんとする果物の名が並び、 さらに14種類のパフェが併記されています。 「アボカードパッフェ」「ネクタリンパッフェ」に「イチヂクパッフェ」「ハワイアンパッフェ」。 “パッフェ”としているあたりが、味ではありませんか。
ただ、残念ながら、「檸檬パッフェ」は見当たりません。 そこで、オカアサンのおススメ「フルーツパッフェ」をお願いすることに。
マスクメロン、オレンジ、バナナ、アボカド、パイン、洋梨などのスライスが、 織り重ねるように載るパフェグラス。 生クリームやフルーツソースでデコレートするようなマネなんかせず、 ただただスライスしたフルーツがのる実直さがいい。 皮のついているものも多く、失礼して手づかみで端から平らげていきます。 真ん中に収めたアイスも素朴で懐かしい味わい。 ずっとずっとこの姿だったのだろうねと思う、時代を感じさせる”パッフェ”の仕立てが微笑ましい。 「気をつけてお帰りなさいね~」。 オヤジサン、オカアサンの柔らかな応対が和ませる、 寺町「八百卯」の昼下がりでありました。
「パフェラッチ!」は こちら から
「八百卯」 京都市中京区寺町通二条角榎木町98 [Map] 075-231-4728
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