以前、お昼のセットをいただいた時のこと。
正対する黒板に書き連ねられた品書きを見るにつけ、
こいつぁ夜に再び来なければ~とほのぼの想ったことがありました。
燗酒が似合う時季が味かなぁと目論んだのは、
まだまだきりっと寒い冬の宵。
さてさて、夜の「おば古」へと参りましょう。
手彫りだという「予約席」の札が迎えてくれたテーブルは、
角の円みが温かい白木の天板です。
捲るお品書きの中心は、「今日の御献立」
。
筆文字の食み出し具合が、日々一期一会のメニューに向き合っている臨場感を伝えてくれます。
ひとまず、鶏皮をおろし和えしたお通しで麦酒をやりつつ、その品書きの上を右に左に視線を動かす。どれも気になり、どこからどういいこうか迷いまくって、お姐さんの支援を求めることに(笑)。
まずは、「きもと」という山形の地野菜をぬたに仕立てた小皿。
姐さんは「浅葱に似た感じ」と云い、きゅっとでも鳴きそうな歯応えが面白い。
早くもお銚子をいただいてのお造りは、「たら昆布〆」。
ねっとりとした熟成感のある食べ口がいい。鱈を昆布〆したお刺身ってありそでなさそで、ね。
徳利、そしてお猪口を改めて眺めると、なにやら唄の一節らしき文字が書かれている。
「ヤッショマカショ」は、花笠音頭の合いの手だけれど、
どうやら花笠音頭の節とは違うみたいだ。
焼物から一品と悩んで選んだのが「鮭味噌漬」。
味噌の風味が鮭の甘さを引き立てていて、粕漬けとはまた違う魅力で、しみじみ旨い。
気になる白子はどうしてもらおうかと協議の上(笑)、素直に焼いてもらうことに。期待通りのクリーミーが香ばしい薄皮に包まれていて、やっぱり、いい。
奥の壁の木札
でも気になるのが、四種の“むし“料理。
きっと蒸篭蒸し的料理なのだろうと想像を働かせながら、姐さんの話を訊きつつお願いしてみました「新庄むし」に「納豆むし」。
「新庄むし」は、甘鯛の上に玉葱や椎茸、五三筍(姫筍?)、牛蒡、うどなんかの野菜をたっぷり載せて、優しいお出汁でひたひたとさせたもの。
蒸すことの意味合いは、野菜たちの食感に現れているのかも。素朴な味わいに温まる感じだ。
一方、どろっとした表情の「納豆むし」。
ちょっと黄色いのは何故だろうと思いながら蓮華でえいぃと掬うとわらわらと顔を出す納豆たち。食べてすぐ判る、その黄色の正体は芥子。普通に納豆に芥子を入れ混ぜて食べる食べ口にほぼ同じ味わいだ。これも山形の郷土料理かと訊けば、「いえいえ、それはウチのオリジナル♪」と云う。あ、そうですか(笑)。
「花わさび」「丸干」「さつまあげ」「ふきのとう天ぷら」と如何にもな酒肴で、
調子にのって銚子を空ける。
醸造酒の「出羽桜」が、不思議とよく合うのだね。「一体何本呑んじゃったんだろね~」とえへらへらしながら(笑)、「べんけい」と呼ぶ、味噌焼きおにぎりで〆るのだ。
壁に飾られたイラストも味ある表情を醸す「おば古」。
熱燗の温もりに、酒肴たちの素朴さに、そして楽しい会話に気持ちも温まる今宵でありました。
料理宿にいたかのように、このまま二階の座敷に上がり、布団に潜り込んでパタリと眠れたりしたらもっと幸せだったかも(笑)。
寒空にご同席多謝は、
「東京のむのむ」ののむのむさん&相方てくてくさん、
「Tokyo Diary」のromyさん でした。
ありがとうございました~。
口関連記事:
郷土料理「おば古」 でむきそばこんにゃくかぶそぼろに庄内風情(07年10月)
「おば古」 中央区銀座1‐4‐10 03-3561-6466
column/02384再会
先日はどうもでした~。
予想どおり、ゆるゆるといい感じのお店でしたね~。
やっぱり燗酒だよなと思いつつ、
冷酒で、夏の肴もいいだろうなと思ったり(笑)
また、季節を変えていってみたいもんです。
Re;のむのむさま
ど~も~。
うん、まだまだ口にしていない定番系酒肴もあるし、季節が変われば登場するお肴もきっとある。
なはは、冷酒の方が酔っ払いそうで怖い(笑)。
出遅れましたが、先日はオツカレさまでした~。
まさぴさんとお姐さんの掛け合いが、楽しかったです♪
こりゃまた、夏場に冷酒の会やらないとですなぁ~☆
Re;romyさま
山形出身、じゃなくて下町っこの姐さん?(笑)。
帰りがけに貰った、おば古の「歳時記」には、季節の酒肴がしっかり書いてありました。
え~と例えば、七月はね、「夏の岩がき」!