「築地情緒そして月島」カテゴリーアーカイブ

喫茶「岩田」で昔なつかしナポリタンに生姜焼き玉子サンドああ魚がし横丁の佇まい

iwataここ最近はちょっと、一時の壮絶な混雑からひと息ついた感もある魚がし横丁。
その良し悪しは別にして、春節とその前後の時季の場内は、これぞ中国大陸からのインバウンド効果と思わず呻くような”圧”が漲っておりました。
ただひと息ついたといっても、11月の閉場に向けて混雑するのは必至で、土曜日の築地はずっと大混雑が続いているようです。

「高はし」「かとう」「やじ満」の並ぶ8号館で、
海外組の行列からは解放されているオアシスのひとつが、喫茶「岩田」。iwata01iwata02奥の出入口寄りにご常連さんたちが、
カウンター内のお姐さんと喋り込んでいるのがいつもの風景。
横丁が混んでいれば混んでいるほど、
よりホッとさせてくれる空間になっています。

店先で眺めていた品書きの左半分が、所謂喫茶メニュー。
iwata11店主が漬け込んだという夏季限定「梅ジュース」とか、
冬場の「ポタージュスープ」なんかも気に掛かる。
そして、右手にお食事メニューが並んでいます。

お食事メニューでまず目に留まるのが、
ナポちんも勿論口にしている「昔なつかしいナポリタン」iwata03iwata04細めの麺なるも、
女性の細腕でしっかり炒め上げている点には好感が持てる。
嘗てナポちんもご指摘のように、
ここに刻んだピーマンの緑色とほの苦味が加われば、
より一層、気の利いたナポリタンになること請け合いだ。

ナポリタンの相棒と云えばやっぱり「生姜焼き」(笑)。iwata05iwata06バラ肉というよりは肩か腿かの切り落とし肉と、
玉葱のスライスとが、主要なる食材の生姜焼き。
生姜の風味も穏やかなるも、
すいすいっとライスがいただけるひと時。
炒めた玉葱の甘さも生姜焼きの重要要素でありますね。

ホットサンドが気になりつつも、
食指が動いたのは「玉子サンド」。iwata07iwata08カウンターの奥の方から聞こえてきたジュッという音が、
この玉子くんが奏でた効果音。
手に取ればその玉子の温もりが指先に伝わってくる。
ほんの少しだけ塩を振っていただけば、
玉子の優しい甘さが引き立って、美味しゅうございます。

玉子サンドのお供にと、
「レモンスカッシュ」なんてのを貰ってみた。iwata09物凄く久し振りに飲むグラス。
青春の味って、こんなんでしたっけ(笑)。

築地場内魚がし横丁の8号館の中程に喫茶「岩田」の一間半がある。iwata12この佇まいが見られるのもあと半年余り。
豊洲市場に移転するお店であっても、
この情緒をそのまま引き継げるものではないことだけは確かです。

「岩田」
中央区築地5-2-1 築地市場内 魚がし横丁8号館 [Map] 03-3541-2230
http://iwata-tsukiji.jp/

column/03674

魚料理「高はし」で初夏暖簾穴子丼秋暖簾牡蠣豆腐冬暖簾越後村上鮭に喜知次煮付

takahashi20年に開催が決まっている東京オリンピック・パラリンピック競技大会。
デザイン設計や予算措置の相変わらずの官僚的ドンブリヌケ作対応具合を露呈した新国立競技場の建設費はもとより、D社の暗躍とそのヘッポコ具合すらも邪推させる問題を起こしたエンブレムにだって相応の莫大な費用が費やされる。
新たに決まった競技場の設計やそもそもの要件の中に聖火台が含まれていなかったなんて聞くと、その基本的な準備すらできないグダグダ具合にもう笑うしかない。
でもただ嗤って済むほどの事柄ならいいのだけれど、”オリンピックのためですから”という大義名分ためにどれだけの関連費用がぶち込まれ、時にネジ曲がった政治差配がまかり通っているかと思うと辟易となる。
それ相応に予算がついていたとしても、なかなか建設土木的な側面の大震災から復興がなかなか進まないのは、なによりも人手不足によるものだそうだけれど、その人材は今オリンピック関連の工事事業に回ってしまっているのではと考えても何の不思議はない。

晴海に建設されるいう選手村。
その晴海に向かって、
既に虎ノ門あたりから汐留まで開通している環状二号線が、
いまの築地市場の敷地を突っ切って、
豊洲方向へ延伸して完成するという。

計画道路が世界的に知られている市場の場所を通るという、
そんな計画をした奴がそもそもアンポンタンなのだけど、
一度計画してしまうと何が何でもとそれに拘泥して、
機を見るに敏の変更なんてできないのが行政の劣悪なところ。

経済効果をゴニョゴニョ謳っていることはさて置いて、
聖火台のない競技場に400億円も支出するのだったら、
オリンピックなんて止めちまって、
その支出を築地市場の改修に回せば、
今の場所で世界の築地市場が存続させることができるだろうにと、
何度も何度も考えてしまうのだけど、
そう考えるのはワタシだけでありましょか。

閑話休題。

いよいよ移転のための閉場をこの11月に控えた築地場内は、
いつものようにターレが行き交う。takahashi01takahashi02押し寄せる観光客の人並みは時に、
魚がし横丁の通路を埋めてしまう。
此処が遠からずなくなってしまうことをちらっと脳裏に瞬かせながら、
行列のひとりとなっているひとも少なくないでありましょう。

そんな横丁の8号館の真ん中辺り。
ご存知「高はし」の初夏の或る日の暖簾は、
くっきりとした苗色。takahashi03止まり木の覗く開けっ放しの扉たち。
魚がし横丁がより一層開放的な場所になる時季なのかもしれません。

「高はし」が耳目を集める品書きのひとつが、
名物と謳う「あなご丼」。takahashi04takahashi05期待に違わぬふっくら状態で供される穴子。
煮含める加減が過ぎず、不足なく。
煮汁の加減も甘過ぎず、辛過ぎず。
毎朝毎朝の仕込み調理にきっと微妙な匙の違いはあれど、
安定して美味しき穴子くんでございます。

別の或る日のおひるには「刺身定食」。
それは、とり貝にヒラマサに本鮪の赤身なぞ。takahashi06takahashi07定食のお供に出してくれるいつもの小鉢は、
切干大根と里芋の煮付け。
いつもの小鉢にいつも和んでしまうのは何故でしょう(笑)。

季節が移ろって秋が深まってきて気が付くと、
「高はし」の暖簾は深い紺色のものになっている。takahashi08誘うようにまだ少しだけ開け放している扉も、
もうすぐ閉じられてしまいそうな、
そんな気配も漂い始めています。

そんな時季にはやっぱり、
お待ち兼ね!とばかりに湯気を上げる、
この器が欲しくなる。takahashi09takahashi10註文を受けてから火を入れた三陸の牡蠣は、
ふるぷるとして艶かしくも滋味深い。
その滋味には白味噌仕立ての汁がぐっと後押し。
牡蠣と交互にいただくお豆腐は勿論のこと、
もうひとつ相棒の鮪の角切りも粋な役回りを演じてくれています。

霜月の或る日には珍しく”兎に角鮪”な気分になって、
生本鮪赤身と中トロの刺身盛り合わせ」を所望する。takahashi11takahashi12思わず見詰めてしまうのは、
切り分けた鮪の断面の肌理がとっても美しかったから。
こんな贅沢はじっくると目を閉じて堪能しなければいけません(笑)。

年が改まったら替えることにしているのか、
新年早々に訪ねた「高はし」の暖簾は、
雅な気配を帯びた臙脂色。takahashi15流石に閉じている扉の前には例によって、
その日におススメの一品や定番名物の品が貼り出されています。

年末から気になっていたのが、
「越後村上塩引鮭」なる短冊。
値が張るもの故、一度躊躇して、
改めてでもやっぱりと努めて冷静に註文を入れました(笑)。takahashi16takahashi17こんがりと焼き込んだ皮目の厚みに、
鮭の身の胆力を思ったりする。
ほろっと解れる艶やかな身は薫り高く味わいが濃いぃ。
塩分気になるお年頃故、
塩引きでない状態ではいただけたらもっと素敵と思うも、
それが叶うのもなのか大将に訊き損ねてしまいました。

値段に躊躇してついでに腰が引けていたものと云えば、
食堂高はしの煮魚四天王の一角「きんき煮付け」。takahashi18takahashi19takahashi20その紅い皮目の鮮やかなこと。
儚き薄皮に包まれた透明感を含む白き身の甘さよ。
深い海がこんな美味しさを育んでくれるなんてと、
改めて驚いてしまいます。

お向かいの店の前によく木製の台車が置かれている。takahashi21これを見る度に、ずっと昔、
実家の隣にあった青果市場のことを思い出す。
台車に乗っかって引っ張って、
市場の中を走り回ってよく怒られたんだ(笑)。

こだわりの魚料理を市場の気風とともに供してくれる、
築地「高はし」ここにあり。takahashi22毎日のように日参するひとあり。
また遠く名古屋から足繁く通うひともあり。
そんな客筋を少なからず生む魅力を持つこの店も、
豊洲への移転を余儀なくされようとしています。

「高はし」
中央区築地5-2-1 築地卸売市場魚がし横丁8号館 [Map] 03-3541-1189

column/03662

石臼碾きそば「つきじ 文化人」で雲丹の冷かけ牡蠣せいろ豆腐蕎麦に芹蕎麦もいい

bunkajin何時誰がそう呼び始めたのかは不明ながら、裏築地と呼ばれるエリアがある。
表通りからは離れた裏っ側なイメージは、築地七丁目辺りがその呼び名に一番相応しいかもしれません。
そんな裏築地・築地七丁目。
魚料理「はなふさ」と同じブロックにあったのが、石臼挽き二八蕎麦「土星庵」。
手挽きの旨い「もり」や綺麗にひかれた出汁の「冷やかけ」がイケていた「土星庵」の蕎麦。
ちょこちょこ通おうと思いつつ暫くしたら、いつの間にかなくなってしまっていた、それは幻の蕎麦店なのでありました。

そんな「土星庵」が名前を変えて、
築地の別の場所で営んでいると知る。bunkajin01「布常更科」の暖簾も程近い、
松竹スクエアとコンワビルの間の道の歩道に、
「手打ちそば」と謳うスタンド看板が見付かりました。

潜った暖簾の右手には、
大きくてがっしりした捏ね鉢を据えたテーブルがある。bunkajin02その脇に綿棒が纏められているところをみると、
この場所で蕎麦を打っているのでありましょう。

お好きな処へどうぞと促されつつ、
正面のカウンターの一席へ。bunkajin03頭上の下がり壁には、
その日打った蕎麦の産地が掲示されています。

陽射しギラッとしたある真夏のおひる時。
いただいたのはなんとも贅沢な「雲丹の冷やかけ」。bunkajin04bunkajin05冷やかけの汁に「土星庵」のあの夏の日を思い出す。

明礬の気配なき雲丹の甘さと滋味漂う手打ちの蕎麦の風雅に、
細やかに刻んだ海苔の香りが追い掛ける。bunkajin06bunkajin07どっしりした器にも何気ない拘りを感じさせて、
美味しさを更に後押ししてくれます。

季節は移ろい深まった秋の或る日のこと。
店先の品書きでお薦めの「旬のそば」には”牡蠣”の二文字。bunkajin08お願いしていた「牡蠣せいろ」のお膳が目の前に届きました。

頭上に貼られた短冊を見上げると、
富山県南砺産の秋新そば十割とある。
仄かに翠がかった端正な蕎麦が美しくも美味しそう。bunkajin09bunkajin10雅にして高貴な鉄色の椀には、
自慢の出汁の汁に浮かべたぷるふるの牡蠣。
さあ目を閉じて味わいましょう(笑)。

年明け早々、4日のひるに築地に行ってみた。
休場の明けない築地は当然のように閑散としていて、
営業している店がほとんどない。bunkajin11試しにと「文化人」の前の道を覗くと、
「新そば」の幟が新年の風にはためいてる。
なんだか救世主がここに!みたいな心持ちになりました(笑)。

その時にいただいたのは、
こちらのスペシャリテのひとつ「とうふそば」。bunkajin14緩くあんのかかった汁の上に浮かんだ、
お豆腐は自家製のものだという。
硬めにニガリを打ったお豆腐は、
北海道産の大豆の魅力がそのまんま活きている感じのする。
途中から添えてくれた黒七味で風味を増してみる。
これもまたお供にして呑めそうな、
そんなお蕎麦の器で御座います。

そして、春の気配も忍び寄り始めた今日この頃。
これまた旬の蕎麦をいただきに足を向けました。bunkajin15bunkajin16例のお椀の蓋を外せば目に映るのは、鮮やかな緑色。

一面にそして綺麗に載せられたのはそう、芹の緑色。bunkajin17「芹そば」と云えば、
ご存じ「泰明庵」の根っこ入り「せりそば」が有名処。
野趣の押し出し具合ではやっぱり「泰明庵」のそれにやや軍配なるも、
此処でもたっぷり春の息吹を感じさせてくれました。

裏築地の「土星庵」から転じて「文化人」と名乗る、
石臼碾き蕎麦の店が築地の一角にある。bunkajin18Webページによると、
店名”文化人”の由来は、「文化と人が集まる場所」。
ここで云う”文化”とは、
“そばという食文化、和の文化”のことを指すという。
頑なな求道系蕎麦店ではなく、
拘りの加減が粋にしてちょうどよい、そんな安心感がいい。
旬のつまみとお酒、そして旬の蕎麦。
そんな愉しみ方も勿論、ですね。

「つきじ 文化人」
中央区築地1-12-16 プレミアム銀座イースト1F [Map] 03-6228-4293
http://www.bizserver1.com/bunkajin/

column/03660

洋食とんかつ「小田保」で牡蠣混合生姜焼き焼豚玉子に鮪刺身カツ咖喱に牡蠣混合

odayasu中国人観光客の多寡によって混雑の度合いが変わっているような気もする築地場内、魚がし横丁。
想像を超える長時間に亘って行列のひととならないとカウンターに辿り着けないことでも有名な「寿司大」を擁する6号館前の通路や、そこからふた筋向こうの8号館前の通路は、飲食店の並ぶ場所ゆえに時に大混雑の様相を呈することが少なくない。
築地市場移転までが一年を切ろうとしていることもその混雑に拍車を掛けていることでしょう。

市場橋門から入り込み、
冷蔵庫棟の脇を抜けてゆく。odayasu01いつもの場所にターレが停まっている、
こんな何気ない風景もいずれ失ってしまうのかと思うと、
それはそれで寂しさと儚さを感じざるを得ません。
新しい市場では、いまと同じように、
ターレが近くを走るような環境になるのかもよく判りません。

このところちょこちょこ寄せてもらっている店のひとつが、
魚がし横丁6号館の洋食「小田保」。odayasu02左手に小さなテーブル3卓があり、
右の壁に向かってカウンターが設えてあります。

季節が神無月となってすぐには、
こいつを目指して足を運ぶ。odayasu03いまや小田保名物のひとつと呼ぶひともいるであろう、
ご存知「カキミックス」。
カキフライのみの定食として、
一本気であることを示そうと試みるも、
カキバターの魅力にも抗えず、
必ず「カキミックス」となってしまう(笑)。
ああ、秋の深まりと忍び寄る冬を知らせるに、
もっとも相応しき滋味とその手練。
大きすぎないこの時季の牡蠣も好物なのであります。

やっぱり気になるのが、
Gigner師匠もずっと以前に召し上がっておられた「生姜焼き」odayasu04わらわらっと重ねられた薄切り豚ロース肉たち。
縁取りのよく焼け部分の芳ばしさが妙に誘う食べ口。
細かく刻んだキャベツが生姜タレに浸って、
それもまた妙に美味いのです。

ちょっと懐かしい気分も誘うのが、
ご存知「チャーシューエッグ」。odayasu05odayasu06その厚みや蕩け具合で定番となっているであろう、
「八千代」のそれのドドーン!という威容とは、
また違う佇まいと表情のヤツ。
崩した玉子と渾然となった焼豚の美味さに文句なし。
ハムの代わりに厚切りチャーシューを使いました、
というそんな意味での正統派を思うのでありました。

そうそう「小田保」の入口ドアには、
小さな貼紙でこんなことが示されている。odayasu07“NO-Sushi”。
寿司はありませんとわざわざ断っておかないと、
何で寿司がないのかと席に収まってから云い始める輩が、
少なからずいるということなのでしょう。

そんな”No-Sushi”にして、 洋食・とんかつの店「小田保」にあっては、
少々特異なメニューもあったりする。odayasu08odayasu09それは「マグロ刺身定食」。
厚切りのビントロあたりがドドンと盛られてなんだか嬉しい。
「小田保」で「マグロ刺身」は、
決してシュールではありません(笑)。

カウンターの一番の奥に席を得たおひるには、
「カツカレー」の気分になる。odayasu10「小田保」でとんかつを食べたことが、
今までなかったことに今頃気付く。
やや油の温度の高目を思う揚げ口が、
濃度たっぷりのカレーと相俟ってジャンクな旨さ。
なんだかちょっとクセになりそう。

年を改めたところでふたたび、
「カキミックス」が食べたくなる。odayasu11odayasu12牡蠣の身が幾分かぷっくりして、
もう十分に花開き実を結んでいる。
齧って弾ける磯の旨味に濁りなし。
やっぱり、旨いや(笑)。

魚がし横丁6号館の真ん中に、
肉と魚介と揚げ物とフライパン料理の「小田保」がある。odayasu13「エビ丼」「ふぐカツ丼」「穴子丼」に、
「メカジキバター醤油」「帆立オムレツ」「焼肉」などなど。
まだまだ、いただきたいメニューが目白押し。
市場の移転までに間に合うでしょうか(汗)。

「小田保」
中央区築地5-2-1 築地市場 魚がし横丁6号館 [Map]
03-3541-9819

column/03653

季節料理「魚竹」で秋の魅惑いくら丼と銀鮭の親子秋茄子煮含む鰹のアラの汁

uotake築地警察署の斜め向かいにある、エメラルドグリーンのファサードが印象的なバー「PASTIS」。
そこで、温泉玉子トッピングの「インド風チキンカレー」をいただいた帰り道。
そろそろかなぁなんて考えながら近づいた「魚竹」の暖簾の脇に「生いくら丼始めました」の貼紙を見つけました。

その週明けのおひるに早速、築地警察の通りにいた。
いつも以上に足が急くのは何故でしょう(笑)。

「生いくら丼」の貼紙を改めて確かめてから、
その日の品書きが載るスタンドを横目にして、
暖簾を払います。uotake01前の週の暖簾は、涼やかな白の絣の暖簾であったものが、
藍染の暖簾に代わっていました。

ちょうど空いていた一席に滑り込んで、
銀鮭焼きと生いくら丼のセットをお願いします。
去年は鯖塩とのコンビだったけど、
今年はとうとう鮭の親子膳と洒落込むのです。

いくらを収めた硝子容器の蓋を回し開け、
丁寧に仕込んだであろういくらを匙で掬い、
大振りの茶碗によそったご飯の上に大胆に鏤める。
いくらの上に細かい短冊に刻まれた海苔を添えて、
小鉢をお盆に揃える。
大将のそんな所作を眺めるのも愉しいひととき。uotake02煌く宝石の如きいくらのどんぶりが、
眼前にやってきました。

やおら、ご飯ごと箸に載せ、
大き目の口を空けて、口腔に含み、歯を動かす。uotake03期待通りにぷちと弾けて、
期待通りに澄んだ旨味と風味が炸裂する。
ああ、至福の瞬間でありますね(笑)。

どっこい端正に焼き上がった銀鮭も、
いくらに負けない魅力でじわっと迫る。uotake04塩辛いだけの新巻を喰わされて、
鮭が嫌いになるひとがいるとかいないとか、
そんなことを聞くこともあるけれど、
これを口にすれば、
そんな呪縛から開放されること請け合いだ。

週末を跨いでふたたび築地警察の通りにいる。uotake05カウンターの隅に座れば、
耳元の品書きが、夜にもおいでよと囁きます(笑)。

この日もまた秋らしい膳「秋なすとかつおあら煮」。uotake06煮染めるたかつおのアラの身を、
骨からこそげるようにして齧り喰らう。
アラの煮汁を吸った秋茄子はとろんとして、
はちきれんばかりにふっくらと汁を湛えてる。

そっと噛めば溢れるエキス。uotake07鰤大根の大根に負けない、
秋の主役がここにもありました。

季節を追うようにして美味しい魚をまっしぐらにいただける、
ご存知「魚竹」ここにあり。uotake08場内で妙な行列に加わるくらいなら、
ここを目指すのが数段潔い、なんて思ってしまう。
寒くなるにつれ、
魚介の魅力がもう一歩またもう一歩と増してくると、
「魚竹」の魅力も深まってくるって、
どうやらそんな寸法になっているようです。

「魚竹」
中央区築地1-9-1 [Map] 03-3541-0168

column/03617