
京橋図書館に立ち寄るようなことがあると、
界隈のお店の様子も自ずと気になります。
新装後やっとこ初めてお邪魔した「蜂の子」も、
そんな機会からの再会でしたし、
小粋な中華「一凜」に出会えたのもそんな途次。
鄙びた風情が魅力の「中村家」は、その角にあるし、
光モノづくしの「寿司寛」をちょっと懐かしく眺めたり。
そして、やっぱり「魚竹」店頭の品書きも、
どうにも気になってしまいます。

「新子入荷しました」の貼紙に誘われて、
例によってマジック書きのお品書きに正対したのは、ちょうどお盆の頃。
その日のお品は、「炭焼銀鮭塩焼き」やそれと「なかおち」などとのセット、
「かつおたたき・鮪中とろ刺盛り」ほか5演目。
ああ、それも目にしたかったと思わず唸ってしまったのが、「鮪脳天塩焼き」。
文字の上に縦線がびゅっと引かれていて、既に仕舞いであることが分かります。
「銀鮭」もいいなと思いつつお願いしたのが、
「おすすめです!」の文句付き「あらねぎま味噌煮」です。

じっくりと滲みた味噌には十分な出汁の掛け合わせ。
自らの旨味を改めて自身に取り込んだ風情のアラの身がほろっと旨い。
負けじと旨味を吸った葱もまた主役を主張して、惑わせます。

「新子」の貼紙と入れ替わるように貼られたのが、
お待ちかねの「生いくら丼はじめました」。
季節は、秋の色を深めてきていました。
「さば塩焼き」とのセットでいただいた「自家製いくら丼」。

嗚呼、流石の美しさ。
そして、薄く儚い張りの表皮がぷふっと弾けて、ひとつひとつから零れる海の恵み。
フォトジェニックなばかりではない美味しさに唸るばかりであります。
この贅沢には、何故だか御免なさいと謝りたくなりますね(笑)。
神無月となった頃には、脳天ならぬ「鮪ほほ肉煮」。

鮪の兜焼きを穿る時に、美味しい辺りのひとつが鮪ほほ。
それが醤油出汁に丁寧に煮含められて、ほろほろしっとり。
味噌煮同様、葱が自分の甘さに加えて蓄えた旨味に瞠目です。
まさに季節を追うようにして、
美味しい魚をまっしぐらにいただける、ご存知「魚竹」。

「さば塩焼き」や「銀鮭照焼き」「なかおち」といった定番はもとより、
小梅の載ったご飯そのものやお椀が美味しいのがまた、
ささやかに贅沢な心持ちにさせてくれるのです。
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「魚竹」
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