お好み焼き「福竹」

fukutake.jpg長らく課題店となっていたお好み焼き店「福竹」へと池上線は蓮沼駅に降り立ちました。蓮沼で降りるのは「インディアン」本店へカレーとラーメンを食べに来て以来、久し振りです。踏切から多摩川方向に進めば右手にすぐ見つかるのが黒地に黄色の「お好み焼」の文字。噂に聞く女将さんがどんな怖い女性なのか、ドキドキしながら暖簾を潜ります。ドキドキし過ぎて、左に開く扉を押したり引いたりしちまった(笑)。早速視界に飛び込んで来たのが噂の女将さん。鬼の形相はしていませんが、テーブルの脇から前のめりになるようになりながらなにやら早口に捲くし立てています。うほ、やってるやってる。予約名を告げ、中程のテーブルに案内されました。予約の電話を入れた時にハキハキと快活な受け答えをしてくれたのと同じ声の女性が、初めてのヒト向け解説をしてくれます。お好み焼きは焼き上がるまでに20分ほどかかるので、その間じっとそれを待っているのもなんなので、平行して魚介や野菜なんかの焼き物をいっとくのがいいですね、と云う。なるほど、ということでビールをお願いしてその焼き物を待っていると、とうとう(笑)女将さんがやってきた。「はいはい、ここはあたしの花舞台だからね。ビールやお皿をどけてどけて、はいはい」。テーブルの通路側の一辺を指して、“花舞台”と仰る。そして早速「ふくたけチーズ」のステンレスの容器を手に女将さんの講釈オンステージが始まった。「玉子はどうやって崩す?」「はいハズレ」「この生地どうやって掻き回す?」「はいハズレ」。間髪入れずに即答しないと正解にしてくれそうもない。思わず正座しそうになっちゃった。「グルテン少ないのが、キモだから」と云いながら、指先で直接鉄板をさっと触って温度を確かめ、どさっと生地を鉄板に空けて十二分な厚みを保ちつつ周囲を整える。その周囲からジジと音がし始めている。「廻りからだらだら生地が流れるよーじゃだめ」。その間も、いろいろと「学習しなさいよ」「どういうつもりで臨んでいるの」「客も主張しなさい」的な趣旨(だと思う)の講釈をいただいたけれど、怒涛の早口で反芻できないまま過ぎてしまった。それにしても、占い師のような洞察力がなかなか恐ろしい(あ、あたしは細木ならぬ太木数子とも云ってたな、笑)。14分経ったら知らせるようにとの指令を残して、女将さんは別のテーブルへ。入れ替わるようにさっきの女性が「京都の冷奴」を手にやってきた。「もしかして娘さん?」「そーなんですー。この店、親族じゃないと可哀想でしょ(笑)」。この娘さんがいい緩衝材になってる場面も少なくないンだろうなぁとも思いながら、食べ方の説明を聞く。「まずそのまま。そして岩塩、ゆず、醤油の順で食べてみてください」。なるほど、それぞれに奴の魅力が味わえて楽しい。こんなちょっとした“工夫”が実は「福竹」の真骨頂なのかもしれないね。ピーマンが一緒の方がいいですよということで注文んだ「ウインナー&ピーマン」は、タコさんの足が開いたらできあがり。女将さん(娘さんには“ママ”と呼ばれている)は、「ピーマン、どっちからどー焼く?」とまた質問攻めにしてくる。「表を上にしてぎゅって押さえる」「ありゃ、正解」。「ひくっり返す?」「ちょっとだけ」「はいハズレ、それじゃ折角鮮やかな表側が色悪くなるでしょ片面でいいのよ」。はい、おみそれしやした、とウインナonピーマン。……や、ヤバイ! そんなこんなしているうちに指令の時間を過ぎてしまった。「はいはいはい」といいながら近づいて、コテを生地の下にすっと入れ、「せーの、どりょぉあ~」。ありゃやっぱちょっと焦げちゃった、と思ったところを見透かすように「ありゃあ焦げちゃったと思ってるでしょ」と女将さん。いや、あの、その、違うんです? 「これでぴったりよ、試しに端っこ食べてみなさい」。指令に敬礼しつつ、端っこを口に運ぶ。おおよ(古っ)。すっげー、軽くて繊細にクリスピー。勿論焦げ臭くなんてない。びっくりである。もう暫らく待って片面を焼き、鰹節と浅葱を振って出来上がり。断面を凝視しつつ、はふはふ、はぐはぐ。あはは。芯を除いて超細かく刻んだキャベツを含むこの生地の軽妙さといったら、ない。なんぼでも食べれそうな気分になってくる。いままでに知らないお好み焼きであることは確かだ。「焼酎抹茶割り」をいただいて、今度は「はんぺん」。コテの角っこでひょいひょいテンポ良くひっくり返してくれるのは娘さんだ。「はんぺん」での工夫は、つけるソース。マヨネーズを鉄板にぴゅーっと撒いて、そこに醤油少々に青海苔を振る。ちょっと焦げたところを合わせて、はんぺんでこそいで食べるって寸法だ。ニクイね、やるね。調子にのって「ぶた天」を追加しようとすると「追加はできない!」と女将さん。そんな殺生なぁ。「え?ダメです?」。鉄板の温度が下がって云々がなにやら遠くで聴こえる(笑)。「今は食べれると思っていても20分後にはお腹一杯になってるヒトをイッパイ知ってる、経験則ね」。いやまぁそうかもしれないけど…。するとふっと奥の厨房の方を振り向いて、「パパ、ここ、ぶた天追加、できる?」。あれ?最後の決定は旦那が下すのね。「いいよ」。晴れて追加できることとなりました。ふ~(額汗)。焼き上がりまでを今度は、「すなぎも」を焼くことに。生でも食べれそうな砂肝の一面にしっかり焼き色をつけていく。試しにこっそり一個ひっくり返してみたら女将さんに見つかってしまった。「ダメ!まだひっくり返しちゃ!」。旨味を閉じ込めた砂肝も「ほたて」も旨い。紫蘇の葉で包んだりしてね。焼き上がった「ぶた天」を娘さんが四等分してくれた。マヨネーズも添えてみよう。やっぱりぺろんって食べれちゃったぞ。なるほど、粉を沢山食べるんじゃなくてキャベツを沢山食べることになるようにしているから、重々しくならないってことなのかもしれないね。ママぁ、満腹満足ですよ~。次回は食べれなかった「激カレー天」や「焼きそば」、野菜の「ねぎ」や「なす」をいただきたいと思います。 「福竹」 大田区東矢口1-17-11  03-3739-4064 口related column:>額に入れてママもパパも絶賛の4コマを描いた「食い道をゆく」のヒロキエさん >その4コマの出力をお届けの「胃袋は偉大なるコスモ♪」の華麗叫子さん
column/02366

「お好み焼き「福竹」」への2件のフィードバック

  1. うう~む、読んでいたらあの悪夢の様な時間が蘇ってきたぁ~(笑)
    この店を楽しめるかどうかはホント、人によるよね。
    まさか漫画を額に入れて飾ってくれているとは!
    御礼の挨拶に再訪したいような、したくないような…(笑)

  2. Re;ヒロキエさま
    ボクもたぶん、予備知識がないまま訪れたらかなり微妙な感想になったと思います。相当身構えましたもの。
    なにぉ~と反発したくなること少なくなく(笑)。
    でもふと冷静になってみると、云ってることに一理あるなぁと妙な感心もしたりしてました。
    再訪されたら、大歓迎間違いなしです!
    どんな歓迎のされ方になるか、ちょっと予測がつかないですけど~(笑)。

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