なにわフレンチ「Begin」で 癒し美味し愉しマスタの黒板メニュー

begin.jpg心斎橋駅を大丸の前に出て、 そのままちょっと南下する。 ひとつめの信号を左折すれば、 飲食店も犇く周防町筋へと入り込む。 “すおうまち”とはなかなか読めないね。 俗にヨーロッパ通りとも呼ばれているらしいけれど、 それはアメリカ村との対比もあってのことだったらしく、 どこまでポピュラーな呼び名かは分かりません。
妙にスタイリッシュなラーメン「神座」の店舗を横目にしながら、 アーケードが戎橋へと至る心斎橋筋、丼池筋(どぶいけすじ)、三休橋筋を横切って、 オイスターバル「KAKIYA」のある中橋筋の手前で立ち止まる。 laraさんがlaraの大阪大冒険!で訪れた店「Begin」は、 周防町筋沿いの飲食店ビル、月虎51番館に看板を掲げているのです。

エレベーターの扉が開いた目の前に掛かる葡萄色の暖簾が「Begin びぎん」の入口。 予約電話の名を告げて、カウンターの真ん中あたりへ。 迎えてくれる「Begin」マスターのにこやかな笑顔に忽ちホッと落ち着きます。

さがり壁に掛かった黒板たちには、 その日の入荷食材を反映したオススメメニューや、 時季の定番メニューなどなどがずらっと並んでる。begin01.jpg探し求めた食材や工夫を添えた料理たちにる対すマスターの気持ちが、 そのまま現れているような白墨の文字。 あれも気になるこれも気になると目移り必至であります。

begin02.jpgああ、八戸「サバの駅」と同じ、北緯40度30分海域限定の鯖かしらんと、 秘かに考えつつまずお願いしたのが、 「八戸の前沖鯖のマリネ ムースリーヌソース」。begin03.jpg花弁を広げたようなお皿には、食用菊の黄色がさらに華やぎを添えている。 浅く〆た鯖の身には均一かつ細やかに程よい脂がのっていて、 そのままいただいても、なはは、美味である。 お醤油とちょっとのおろし山葵でもというところへ、ムースリーヌソース。 謂わば、オランディースとホイップした生クリームによるソースなのだけど、 酢〆の鯖が潜めた甘さがより引き出されるようで面白いであります。

ぜひぜひとマスターおススメなのが、「びぎん名物 MIXサラダ」。begin04.jpg明石の蛸か徳島の足赤海老か、アマホリさんのトマトか。 それぞれがゴロゴロっと大胆に盛り上げられてきて、おおおーと思わず感嘆する。 厳選素材のそれぞれが大胆にして、じっくり味わうに的確なサイズ形状にカットされていて、 ドレッシングをきちんと纏っている。 そして、アマホリさんのトマトが、旨い旨い。 ハウス栽培の完熟トマトなんだけど、豊かな甘さとまろやかな酸味が仲良く迫るのだ。

begin05.jpg 自家製イクラございます!との黄色いチョークの文字に誘われると、 はい、と小皿がやってきた。begin06.jpg醤油系のタレに漬けたイクラの上に半熟の茹で玉子が載っている。 滋味に満ちた半熟鶏卵とイクラとを一緒にタマゴ&タマゴでいただいてしまうという趣向。 当の鶏の方の玉子は、「初玉子」という玉子だそうで、 産卵を始めたばかりの若鶏が生む小さめサイズの玉子のことらしい。 ううむ、意外や贅沢なものなのですね。

モンサンミッシェル産ムール貝入荷!ってことでマリニエール(酒蒸し)に。 begin07.jpgモン・サン・ミッシェルに強行軍で出かけたナポちんのことを思い出しつつ(笑)、 次々いただく牡蠣のお友達。

白ワインのグラスを傾けながら、 黒板の隅に見つけた「高知 みょうがの茎のピクルス」。begin08.jpg飯尾さんのところの紅芋酢を想起させるナチュラルに鮮やかなピンク。 茗荷は好きでよく食べるけれど、思い返すにそのピクルスは恐らく初めて口にする。 茎のところだけをこんな風に仕込んでしまうマスター、素敵です(笑)。

また別の夜の周防町筋。 カウンターの隅でまずいただいたのが、 サラダ春菊を添えた「白糟町より”こだわりハンター”のエゾシカ シンタマのたたき」。begin09.jpgシンタマとは、腿の一部位を指すらしい。 予想以上に柔らかな蝦夷鹿の身肉。 噛むにつれ、澄んだ旨みが増してくる。 春菊の苦味がよく似合います。

「Begin」では、ワインを気軽にグラスでお願いするのがいい。 例えば白だったらと二本から選んだのは、穂坂収穫の「甲州シュール・リーSur Lie」。 begin18.jpg例えば赤では、アリアニコかメルローかと悩んでメルローの一本を選んだり。 お代りをお願いした頃にはメルローが空いていて、 それならもう一本のアリアニコを、ってな具合で構わない。

がっつり気分で「肩ロースのステーキ」も気になりつつも、 「山原島豚のウデ肉の田舎風パテ」。begin10.jpg山原(やんばる)といえば、あの夏の日の「山原そば」を思い出す。 ひとりでいただくには多いかなぁとも思いながら口に運ぶと、 脂の重ったるさがなくて、じわんと軽やかな旨み。 今度はルッコラの苦味が合うねと食べ進んで、ぺろっと平らげてしまいました(笑)。

begin11.jpg 黒板に牡蠣メニューをみつけて、 「坂越カキと紅あずまのポタージュ チーズたっぷりグラタン」。begin12.jpg坂越は、兵庫・赤穂の牡蠣産地。 滑らかなベシャメルの中から掬い上げた牡蠣は、ふっくら熱々で旨み最高潮。 一緒に含んだサツマイモの繊細なテクスチャもまた、いい。

begin13.jpgデザートにと、「初玉子と種子島の原糖のプリン」。 贅沢な玉子の深く素直な滋味に、 仏産フランボワーズビネガーのカラメルが色を注す。 なはは、こふいふのもイケルくち(笑)。

美味しく愉しく和める、”なにわフレンチ”「Begin びぎん」のカウンター。begin14.jpg begin16.jpgbegin15.jpgbegin17.jpgカウンター越しに聞く柔らかな関西弁と調理の所作の数々織り成すライブ感。 マスターの魅力的な人となりが、 そのままお皿にグラスに空間に時間に生き活きと体現されていて、 きっとそれに癒されに通う常連さんが少なくない。 サラリーマン辞めて脱サラで、さぁ始めよう!と。 だから「Begin びぎん」。

口 関連記事:   オイスターバル「KAKIYA」で 大黒神島かき料理あれこれ旨し嬉し(12年12月)   本場「山原そば」で 三枚肉そばソーキそばやんばるの中の洗練(10年07月)


「Begin びぎん」 大阪市中央区東心斎橋2-5-31 月虎51番館4F [Map] 06-6211-1240 http://ameblo.jp/naniwa-f-begin/
column/03352