
宵闇の西武池袋線での帰り道。
ふたたび石神井公園の肉汁うどん「肉汁やZERO」に寄っちゃおうか、椎名町で居酒屋ラーメンしちゃおうかと思案する。
流れる景色を眺めながらふと、
takapuがうまそな煮干し中華を平らげていたのを思い出す。
慌てて大泉学園に途中下車です。
念のためと電話してみると、夜の部は18時半頃からですが数杯で仕舞いになりそうですと。
ちょうどそんな頃に着くように駅北口を離れます。
白子川を渡り、くねくねと車の通りの多い道を往く。
中華そば「伊吹」は小泉橋と呼ぶ交叉点近くにありました。
開けようと手を掛けた引き戸には貼り紙。
本日の煮干し度、ちょこっとヘビー、エグミあり。
うんうん。
日によってどうしても振り幅のある煮干しスープに対する向き合い方が真っ直ぐ判るようで、
いい表現だよね。

開店早々だというのに、6脚のカウンターに空きはひとつ。
注文を聞かれるまで、調理の所作を眺めつ待ちましょう。
「中華ソバ」に「味玉」「のり」を添えてもらったどんぶり。
薬味は刻んだ玉葱です。

早くも膜を張り始めるスープを蓮華で掬って、まずはひと口。
む、むほほほほ!!
これは旨い!

濃度の加減が絶妙で、
乳化を思うクリーミーさの中に煮干しが育んだ旨味をがギュギュッと詰まってる。
煮干し出汁と動物系出汁のバランスがいいのだね。
うひゃ〜と感心しながら、細麺を啜ります。

あああ、ポキポキと粉の風味を伝えては嫋やかに歯に応える感じがいい。
好みの麺であります。

そうとなれば自ずと、一心不乱に啜り食べることになる。
ご馳走さまときちんと手を合わせるのが食べ手の正しい向き合い方になる、
そんなどんぶりだ。
実は、注文したあとに気がついた貼り紙がありました。
そこには、なんとも気になるこんなフレーズが書いてある。

夜の部限定「煮干しソバ」700円、中華ソバより煮干しがきいています。
エグミ、塩気も強いため本当に煮干しになれた方のみの注文でお願いします。
ね、気になるでしょ(笑)。
そんなこんなで、も一度辿る大泉学園北口の先。
この晩の煮干し度は、”ノーマルより上”。
またまた最後のひとつの椅子を得られました。
お願いするのはそう、夜の部限定「煮干ソバ」。
昼の部の杯数が多かったらしく、残りのスープを睨んでの注文だ。
なるほど、「中華ソバ」よりもスープの褐色が濃いような気がする。
またまたどれどれと蓮華で掬ったスープを啜る。

うむむ、煮干しのエグミや風味は嬉しいものの、如何せん塩辛過ぎる。
塩気強いですよーとあらかじめ断ってくれていて、
こんな塩辛くわざわざする訳がないと考えると、
煮干しを濃く濃く煮出すと旨味や独特の風味だけでなく、
塩分も凝集することになってしまうのだろね。

ああ、難しや、煮干し出汁。
でも限定をいただいてみて、より一層ノーマル「中華ソバ」の完成度が煌めきました。
大泉学園の外れに何故か煮干しラーメンの新星、中華ソバ「伊吹」。

煮干しLOVEなヒトにしか判らない愉悦の世界がここにある。
青森の名店「長尾」にはそうそうお邪魔できない身となれば、
大泉学園がちょっと特別な駅に思えてきます。
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「伊吹」
練馬区西大泉1-2-10 [Map] 03-3924-9530
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