column/02444
日本料理「大友」で 昭和の匂いを纏った木の葉なお弁当
今日は、烏森神社の左脇を抜けた裏道にある「大友」でご昼食です。少し古びた、落ち着きのある大人の料理屋といった表情。店内も積年を思わす調度で、椅子に掛けられた白いカバーのフリルがなんとも昭和であります。お昼メニューは、「木の葉弁当」ただ一本。”昭和40年以来の人気メニュー”と記した札に眼が留まる。木枠にお櫃からご飯を盛り、型で抜く大将。あっと云う間に膳に載ったお弁当の出来上がりだ。つまりはグリンピースご飯に甘酢あんのかかった天麩羅、お造り、煮物の小鉢とドレッシングに浸ったトマト。特別グリーンピースの風味がするわけではないけど、固めに炊かれたご飯は、彩りよくオツなもの。このお刺身は鰤かなぁと思って口へ運ぶところへ、並びの客から声が挙がった。「この揚げ物の魚、何?」。すると大将は「わらさ。鰤の若いのだね」。あれ?ちょっと青みもあるように思ったこの天麩羅が、稚鰤? ちょうど脇にいたオバチャンに「おかあさん、今の話、刺身のことだよね」と訊くと、「いえいえ、天麩羅もお刺身も、わらさですよ」と云う。へー、両方ともそうかぁ。ちょっぴり損したような気持ちになるのは何故でしょう(笑)。初見ではないらしい外国人客に大将は、英語で話しかける。話す口調は淀みない。未だ枯れておらず快活な大将の様子は頼もしい。そうとあれば、そろそろ「木の葉」に替わる機軸を打ち出してもいいのではないのかな?
「大友」 港区新橋2-9-17 03-3501-9405