打ち水のされたアプローチの周囲には昼の品書きを案内するようなものはなく、もしやこの日もまだお盆休みかと思わせるほどに凛と静まった様子を見せていました。試すようにドアを押すと、すんなりと開く。女将らしき女性が「いらっしゃいませ。お電話いただいた方?」と招き入れてくれる。予約はしていないので、「いえ」と応じると、では、と”加運多”の中央へと案内されました。正面では大将らしき人物があちこちと睨みを利かせながら、穴子を捌いている。小僧さんは矢継ぎ早の指示に大童だ。「ゆかり風まぐろ丼」をお願いしました。柚子の香りが涼味を誘う冷たい仕立ての茶碗蒸しが、旨い。そして続いてやってきたのが、花が咲いたかのような見栄えのどんぶりcolumn/01941



