元祖鴨せいろ「銀座 長寿庵」

chojyuan.jpg所用で寄った木挽町仲通り。そぼ降る雨の中に「元祖鴨せいろ」の文字をみつけました。巷ある「鴨せいろ」の元祖がここにあったとは知らなかったよね。暖簾を捲った先の店内には、燗酒の匂いがふわんとする。近所のご長寿さんと思しきひとたちの軽い宴席の、その右手テーブルに案内されました。お品書きにも、冷たいそばを温かい鴨肉入りの汁で食べる鴨せいろ発祥の店、と書いてある。迷うことなく、その「元祖鴨せいろ」を大盛りでお願いしましょう。お待たせしました、と届いたせいろはしっかり大盛り。これで大盛りかい!と憤慨させるような盛りのお店が少なくない中で、この量感は嬉しいな。そしてほんのりと若葉色を帯びた蕎麦。新蕎麦の時季だってこんな色の蕎麦にはなかなかお目にかかれないのにねぇ、と思いながら啜ると、キレのある歯応えの中に粋な風味と旨味がある。旭川の自家専用農地で収穫したそば粉。薄っすら緑色なのは、そばの若葉より特殊製法で抽出したルチンの400倍にあたるハイルチンをそば粉に加えているからなのだという。つけ汁は、鴨の滋味に満ちたものというよりは割と鷹揚で素朴な仕立て。創業昭和十年の「銀座 長寿庵」には「鴨せいろ」の元祖っぽさよりも、ほんのり若葉色の蕎麦に魅力を感じました。 「銀座 長寿庵」 中央区銀座1-21-15 03-3561-2647
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