中延駅周辺と荏原中延駅とを結ぶアーケード、
中延スキップロード。
距離のあるアーケードにしては意外過ぎるほどに飲食店は少ないのだけれど、その中の一軒にこのところ通っています。
それは、アーケードを中延駅側からアプローチしてすぐのミートショップです。
お好み焼き、の看板の方が目立って、一瞬通り過ぎそうになる。
ミートショップ「ニッパイ」と示した黄色い看板の下には、硝子ケースが精肉たちを桃色に見せています。
そして、通っているのはその精肉店そのものではなくて、横の通路を奥へ入ったお店。
古びたドアには、モロ手書きマジックで「黒豚の店」。
そう、レストラン「成田」は、精肉店が営む食堂なのです。
恐る恐るドアを開け中を覗くと思わず、きたなシュラン!っと小さく叫びそうになる。
油と埃に煤けた扇風機、黒ずんだコミックの数々、草臥れたテーブルに椅子、硝子の曇ったビール用ケース。
壁には、ベニヤに直接マジックで書いた品書き。
気をとりなおし改めて、壁の品書きから伝わる意図を汲んでみると、お店のイチオシは、黒豚を使ったとんかつであることが判る。
黒豚は、鹿児島県産のバークシャー種。
小さな字で”一番おいしいと言われる”とマジックペンで書かれてる。
「黒豚ロースカツ」をお願いしました。
ベニヤには、「少なくとも召し上がりはじめの一枚はソースをかけずに」とある。
へー、と思いながら謂いに従ってやおら齧ると、想定以上のサックサクの衣。
こりゃびっくりだと目を丸くしながらもうひと口すると、今度は黒豚の脂の甘さと赤味の旨みが渾然となる。
うひゃひゃ、何気なくも旨いとんかつだ。
ただ白絞油を使って揚げるだけで、こうもサックサクになるとは思えない。
店内にとんかつ専門店の気風はなくとも、密かな自信漲る逸品だ。
そしたら、そんなトンカツをフィーチャーした「黒豚のカツカレー」はとお願いしてみる。
オバちゃんが運んでくれた横長楕円のお皿は、カツ、ライス、カレーの三色旗。
カツはやっぱりサックサクで、いい。
そして意外な出来だったのが、黒褐色さらさら仕立てのカレーソース。
ふと、蓮沼の「インディアン」を思い出す。
あそこまで、どーだ!感はないものの、なかなかどうして悪くないカレーだ。
肉の端切れをどこどこ入れているのか、そこそこにブイヨンしています。
とある夜には「黒豚しょうが焼き定食」。
ちょっと硬くなっちゃってるのが残念だけど、わしわしご飯喰らうには十二分。
Gingerちんはなんて云うかなぁ。
中延スキップロードの肉屋営む豚肉食堂、レストラン「成田」。
そうはいっても、黒豚ばっかりでは勿論なくて、「特選佐賀牛のランプステーキ」とか「しゃぶしゃぶ」「牛丼」、「からあげ定食」「トリ鍋」なんかもある。
今度は、「チャンポン」「皿うどん」か、「九州ラーメン」に挑戦してみようかな(笑)。
「成田」
品川区東中延2-10-17[Map] 03-3781-7488
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