そのザルツァッハ川をミラベル宮殿のエリアから旧市街側に渡るには幾つかのルートがある。
「Café Bazar」の先、Hotel Steinの前から渡る橋が、バスも行き交うシュターツ橋。
そこから一本下流を渡るのがマカルト小橋で、橋の両側の欄干下の金網に南京錠などの鍵前が無数にかけられていることでも知られています
もう一本下流にあるミュルナー橋を渡り、
川沿いの遊歩道から石積みの階段を上がる。ミュルナー・ハウプト通りを右に折れて少し往くと、
Y字に小道の別れた場所に今夕の目的地がみえてきます。
隅切りの角に置かれた看板には、熊のシルエット。そう、仲間内で”熊屋”と呼ぶ「BÄREN WIRT」には、
裏手にテラス席があるのでありますね。
案内される席は二階の階段の踊り場のテーブルだったり、
二階フロアの一番奥のコーナーだったり。この夏にお邪魔した時は、一階手前のテーブルでしたね。
遅めの春に訪れたならば勿論、
真っ先に考えるのはシュパーゲルのこと(笑)!スープからと選んだ「SPARGELCREMESUPPE」には、
白アスパラの澄んだ旨味がたっぷりと活きていて大満足。
ちょっと変化球もきっとイケるとメインに選んだのは、
「MIT SCHINKEN UND KÄSE GEBACKENER SPARGEL」。しっかりした太さのアスパラをハムとチーズで巻いて、
さらに薄い春巻きのような生地で巻いて、細かい衣をつけて揚げてある。
噛んで弾けるアスパラのジュースにハムと蕩けたチーズに芳ばしい衣。
嗚呼、なんてズルいのでありましょう(笑)。
失敬して隣のお皿に視線を移せば、
正統派に思うシュパーゲルの雄姿が映る。一本だけ、オレンデーズソースが、
たっぷりかかったあたりをくださいませ(笑)。
そうそう、ここ「BÄREN WIRT」では、
忘れちゃいけないビールのジョッキ。目と鼻の先にある醸造所「Augustiner Bräu」の、
活き活きとしたビールがここでも呑める。
一階のテーブルでいただいたのはまず、
つまりは、定番のレバー団子スープ癖のないレバーの風味がきりっとした旨味のスープに滲んで、いい。
そして、これまた「GEBACKENE KALBSLEBER」。
つまりは、シュニッツェルのレバー版とでも申しましょうか。叩いて伸ばすことによって火の通りも軽やかで、
衣とのバランスも良くなるのは仔牛肉同様のことなのでありますね。
「BÄREN WIRT」は”熊屋”ゆえ、
こんなフォルムのグミ菓子が小皿でやってくる。可愛らしいカラフルなお菓子を眺めつつ、
シュナップスを舐めるのもオツなもので御座います(笑)。
ミュルナー・ハウプト通りに掲げた熊のサインが、
レストラン「BÄREN WIRT」の在り処。“街角の揚げ物屋”とも呼んでいた「Steirische Weinstuben」が、
突然店を閉めるという悲報から月日が流れ、
“熊屋”の株がじわじわと上がり続けているようです。
「BÄREN WIRT」
Müllner Hauptstraße 8, 5020 Salzburg [Map] +43(0)662 422 404
http://www.baerenwirt-salzburg.at/