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手打ちうどん「一長」で 幻の柳久保小麦うどん6玉ぶずずず
武蔵野うどんの佳店が一軒あるという。
ところは、東久留米の西口から程なく。
駅をこちら側に出るのは初めてじゃないかなぁと考えながら、例によってあまり個性があるとは云い難い駅前のロータリーを横切ります。
随分と昔のことだけれど、教習所に通っていた頃はまだ、こっちに出口はなかったもんな。
徐々に強まる雨足に急かされるように足を運ぶ。
「一長」の白い暖簾はもうすぐです。
プレハブ的仮設な印象のファサードには、お持ち帰り用の窓が設えてあります。
カウンターに沿って進んで、空いていた奥の椅子に腰掛ける。
「おしながき」から選んだのは、勿論「肉汁うどん」。
温かい汁に、かき揚げ、きざみのり付きにして、「大盛り男性向き」と示された6玉でお願いします。
特盛り10玉だと、さすがに最後がシンドいかなぁと。
ここで、市販のうどんの1個が1玉だと考えてはいけません。
ひと玉って、そうだなぁ、素麺を束ねるように、片手で軽く麺を摘み上げて纏めた感じの量。
そして、毎週金曜日と土曜日は、”柳久保小麦うどん”の発売日。
柳久保という小麦は、今の東久留米柳窪の奥住又右衛門という人物が嘉永4年(1851年)に旅先から持ち帰った一穂の麦から生まれた、と卓上の資料にある。
量産のし難さから一時途絶えるも、保管されている種から又右衛門の子孫が柳窪で育成し、市内の農家がそれに協力しているのだという。
そんな幻でもあった地の粉は一定量しか穫れないから、金土限定なのだね。
誰がみても、恰幅のいい大将は、大きな鍋の前のご担当。
オーダーを聞くと、さっとうどんを湯気の中に入れて、腕組み。鍋の噴き上がりと会話でもするようにじっと見据えては、注し水を入れる。当たり前のことだけど、麺を打ち終えればあとは、どう湯掻くかが大事だものね。
どーんと大きな漆塗り風のコネ鉢のような器にゆったりと盛られたうどん。
頂に載せた掻き揚げとその周りを覆う刻み海苔。
竹を輪切りにした器につけ汁が注がれ、そこには勿論豚肉が浮かぶ。
いいなぁ(笑)。
徐ら箸で掴んで、肉汁にとぷと浸して乱暴に啜る。ぶずずず。
野卑とは違う力強さが食感と粉の味わいから伝わってくる。
如何にも地粉っぽい風味とはちょと違う洗練も含む感じ。
石神井台の「エン座」、上荻の「豚や」をはじめ、地粉の魅力を見極めるように表現したうどんたちと比較しちゃうと、ハッとするようなときめきはないけれど、ここも身近にしたい一軒だ。
肉汁がもっとダラシナく脂ぎってて、かき揚げが揚げ立てだったらもっといいかもね。
東久留米の駅近くに、何気なく佇む手打ちうどん「一長」。こちらもまた、武蔵野うどんの一翼を担うお店です。
口関連記事:
武蔵野本手打うどん房 「エン座」 でむほほーの季節の霙糧もり(07年10月)
手打ちうどん「豚や」 で粉ぶわわんの豚肉汁の黒うどん(07年11月)
「一長」 東久留米市本町1-4-28 042-475-5306
こんにちは。
おうどん大好きなので、ぜひ一度訪問してみたいです。女性だと、みなさんは何玉ぐらい食べるのでしょうか。
Re;プチトマ子さま
こんにちは~♪
武蔵野うどんというジャンルに馴染みはないかもしれないけど、悪くないよー。
イメージにぴったりなのは東村山の「小島屋」なのだけど、なかなか遠いぃので、「エン座」「豚や」もいいと思います。
「L」とか「LL」とかで表記するお店もある。
女性でも、少なくとも4玉ぐらいはずずっと食べちゃって、足んない姐さんもいるかも(笑)。