
和菓子「青柳」の脇で盛んにランチ弁当を売っていた、とんかつ「一(はじめ)」。
その「一」がいつの間にか閉めてしまった地下のテナントに新しいお店が出来ていました。
階段脇の壁に掲げる彫刻看板には、
「凛玉庵」とある。
それよりもなによりも、
“地粉うどん”というフレーズが惹かれるところ。
すわ、武蔵野うどんの新店が八丁堀に登場か?
八丁堀で地粉うどんの店といえば、断然「福福」だよなぁと思いながら階段を降りる。
およそ当然のことながら、居抜きのまんまの新店であります。
ランチのメニューを眺めて、あぁやっぱりそうかという思いが過ぎる。

地粉といっても、武蔵野うどんが志向する粉によるうどんではなくて、
讃岐産「さぬきの夢2000」をベースにしたブレンド小麦粉によるうどんということらしい。
そもそも武蔵野の地粉の入手が難しい昨今では、武蔵野うどんの新規出店というのは考え難いのかもしれません。
気を取り直して(笑)いただいたのは、「牡蠣の卵とじうどん」。
オペレーションがまだこなれていない所為か、注文の都度茹で上げるためか、待ち時間暫く。
ふわっと届いた湯気には、牡蠣の旨みを含んでいるような。

どれどれとまず汁を啜ると、なるほど、牡蠣の滋味がいい具合に沁みている。
とじた玉子のあたりと牡蠣の身とを一緒にうどんをいただけば、
つるんとした歯触りが牡蠣の風味を追い掛ける。

あぁ、温まる味わいであります。
日を替えてまたお邪魔してみると、ちょっと品書きが変わっていて、
その中に「豚玉つけうどん」なんてヤツがある。
武蔵野うどん的アプローチではあるけど、どうだろう。
豚のつけ汁は、変に灰汁を掬いまくったりしていない野生派スタイル。

豚バラの脂の甘さが存分に利いていて悪くない。
つやつやのうどんを浸して啜れば、たおやかなコシの食感と一緒にうどんそのものの甘さも味わえている気になってくる。


例えば、「小島屋」「きくや」「こせがわ」に思う武蔵野うどんの醍醐味とは当然違うものなのだけど、これはこれでなかなかどうして。
湯掻いたキャベツやモヤシを添えるてくれているのがちょっと嬉しい。
世の肉汁好きの諸兄の皆さん、一度お試しを(笑)。
讃岐志向の地粉うどんと旬菜料理の新店、「凛玉庵(りんぎょくあん)」。

できれば、ふらふらっと入れる路面店のカウンターで啜るのが似合うイメージだけど、
お店は既に地下にある。
立ち喰い店の値頃感とお手軽さに負けずに地下へと誘う吸引力をどう備えるか。
容易ならざる課題です。
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「凛玉庵」
中央区八丁堀2-14-6青柳ビルB1
[Map] 03-3553-3933
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