首都高環状線の京橋ランプ近く。
新金橋の信号の角にあるのが「ぶーみんヴィノム」。
「ぶた焼きランチ」でも知られている同店では、毎月29日は”肉の日”として、豚焼き三枚が500円ワンコインになったりもして時に行列を生んでいます。
その「ぶーみんヴィノム」に分店のような店が新川にオープンすると知ったのは今からもう三年程も前のことでしょうか。
残念ながら閉店してまい既に解体されてしまった、天ぷら定食の「ちはら」の路地を覗き込んでからその先を折れると、これまた閉めてしまった洋食・居酒屋の「とおさんぼ」の跡がある。
そのまま覗く脇道には、空席を待っているらしい複数の人影がある。
食堂「うさぎ」は相変わらず着実な人気があるようです。

その脇道を背にして立てば正面にあるのが「ぶーみんVinum 新川バル」の鮮やかなピンクの庇。
チラシを貼って表現した「３周年」がワインボトル並ぶ硝子面に示されています。

「新川バル」と名乗るに違和感のないカジュアルで気の置けない雰囲気を確かめながら正面のカウンターに居場所を見つけます。見上げる下がり壁には、夜用と思われるメニューがずらずらっと書き込まれた黒板が掛けられています。

卓上のメニューを手にしてちょっと驚いたのは、新金橋の「ぶーみんヴィノム」とおよそ同じようなメニューなんだろうなぁとぼんやりと思い込んでいたから。
新川バルのおひるメニューはつまりは、「スパゲティランチ」のあれこれなのです。

そうかそうかそうなのですねと思いつつまず選んだのが”みんな大好き、懐かしい洋食屋さんの!!”と謳うふた品のうちのひとつ。
更に、”みんなのアイドル”との副題まで付いたスパゲッティ「ナポリちゃん」だ。厨房は近いのだけれど炒め音に気づかぬまま受け取ったお皿には、たっぷりとケチャップ色のソースが注がれていました。

うむむ、明快なるシャツに飛ぶ系であるかと思いつつ、フォークの先を動かすと早速、案の定シャツに汁が飛ぶ(笑)。うむむ、わざわざ折角”懐かしい洋食屋さんの!!”と謳ってくれている分だけ、正直なところ騙された感がむくむくと込み上げてくる。
懐かしの「ナポリタン」はやっぱり、茹で起きの太麺をちょっと焦げそうなくらい北京鍋で炒めたヤツが相応しいと痛感した瞬間でありました。

“みんな大好き、懐かしい洋食屋さんの!!”と謳う、もうひとつのメニューはどうだろうとふたたび南高橋の渡る通りへ。
ちょうど橋の袂の徳船稲荷神社の桜もほころび始めた頃のことでした。

同じようにカウンターのひととなって所望したのは、”新アイドル!?”とか”みんなの”といった副題のついた「ミートン(豚)ソース」中盛り。うむむ、ごちゃごちゃ言葉を足さないで、素直に「ワイン屋のミートソース」でいいじゃないのと思ってしまうのはきっと自分が素直じゃないからだとまず自省する(笑)。

なかなかの気前のいいミートソースの盛り具合だなぁと感心しつつ、フォークの先を動かすとツルツルとした麺がフォークの先からスルスルと抜けて滑り落ちる。ミートソースも同じように麺に馴染まないなぁと混ぜようとしてやっと気がついた。
お皿の底には麺を軽く和え炒めたのであろう汁がたっぷりと注がれてる。
それゆえ、全体を混ぜれば混ぜるほど折角のミートソースが薄まって、益々麺に絡まなくなってくるではありませんか。
うむむむむ、どうしてこうなってしまったのでしょう(笑)。

新金橋「ぶーみんヴィノム」からスピンアウトして３周年の極楽酒場「ぶーみんVinum 新川バル」。出来ることなら”懐かしの洋食屋”さんを食べ歩いて、その本懐を探ってから改めて「ナポリちゃん」のオリジナリティを発揮して欲しいなと思う春の日でありました。
今度はワイン片手の時間帯にお邪魔してみようかな。

「ぶーみんVinum新川バル」
中央区新川2-21-9 第二田村ビル1F ［Map］ 03-3206-5977