八丁堀界隈での桜というとまず思い浮かべるのは、茅場町を東西に貫いてゆく通称さくら通り。
通りを覆うように伸びた枝々に儚げな薄ピンク色の帯が広がってアーチを描く。
沿道の和食「しら田」や鉄板焼きダイニング「HARU」からは、店の窓辺からもちらりとその情景を拝めたことがありました。
支那そば「八島」は疾うになく、兜町「歌舞伎そば」やその向かいにあった麺匠「たか松」も案の定閉店してしまったけれど、手作りパンの店「ベニヤ」は健在であります。
茅場町の有名店「宮川」前の行列と桜とがつくる光景は、この時季の恒例のもの。鳥「宮川」の暖簾はまだ、藍色のままです。
ちょうど満開の頃かと思うさくら通りのアーチ。桜はやっぱり、青空を背景とするのが似合いますね。
そんなさくら通り沿いの一軒「兜町 丸屋」にお邪魔する。よく見ると、紅い突出看板にも桜が映り込んでいます。
褪せた色合いがシブい暖簾の脇にあった短冊が知らせていたのが「釜揚げしらす丼セット」。お汁も兼ねてと、温かいおそばでいただきました。
熊野灘網元直送というしらすの釜揚げ。熊野灘ってあまり馴染みがないけれど、紀伊半島南端の和歌山県の潮岬から三重県大王崎にかけての海域をいうらしい。
関東でしらすというとどうしても、相模湾や駿河湾、静岡沿岸で水揚げされているイメージが先に立つ。
生しらすは勿論のこと、釜揚げでも当地で揚げたてをいただけば数段さらに旨いのだろうなぁと思いつつ、蕎麦を啜ります。
はらはらと花弁が舞い始めたおひる時。
今度はうどんをとお願いしたのが「つみれうどん」。かえしがより甘いのか、味醂のような甘さの漂う甘汁であります。
鰯のつみればかりかと思ったら、鶏のつみれもふたっつ浮かんでる。うどんそのものは実に柔いもので、箸で引き上げようとすると所々で千切れる時もある。
桜を模したお麩なら粋だったけど、浮かんでいるのは紅葉のそれでありました(笑)。
茅場町、兜町のさくら通りに町場の蕎麦処、生そば「兜町 丸屋」がある。もっと暖かくなった頃には、同じさくら通り沿いにあった「藪平」を懐かしみつつ「カレーせいろ」をってなのも悪くない。
茅場町三丁目、市場通りからちょっと脇に入ったところにあるのが「更級丸屋」で、新富一丁目にあるのも「更科丸屋」。
神田に一番町に広尾に東中野に初台など、「丸屋」と名乗る蕎麦処は少なからずある。
どなたかその系譜に詳しい方、おられましょうか。
「兜町 丸屋」
中央区日本橋兜町16-2 [Map] 03-3661-5022
このさくら通りの桜は今年も見事でしたね。毎年楽しませてもらっています。
いつも前を通っているのに兜町丸屋さんは未訪でした。今度お邪魔してみます。確かにこの辺りには、桜橋丸屋さんとか「丸屋」という屋号の蕎麦屋さんは多いですよね。
Re:バードさま
ああ、返信遅くなりました。
そうなんでよ、イッタイゼンタイ、この世に「丸屋」ってそば屋さん、何軒くらいあるんでしょうね(笑)!