盛岡冷麺の有名店「ぴょんぴょん舎」が東京に初進出したのが「ぴょんぴょん舎 銀座百番」。
ビルの谷間の路地にできた行列に晩夏の陽射しの中並んだ記憶が蘇ります。
狭い中に小さなテーブルを目一杯並べたミニマムな設えが一種の臨場感を生んでいました。
その「ぴょんぴょん舎」が、「銀座百番」からも程近い新ビル「ギンザ・グラッセ」に出店したというので、
早速お邪魔してみました。
最上階を占用した新店は、肩を寄せ合うような凝縮感も雰囲気な「銀座百番」から一転して、実にゆったりとしたレイアウト。
誰の手になるデザインか。すっきりした中にどこの国でもない、でもどこかオリエンタルな独特の空気感を醸しています。そして、西瓜を一部のモチーフにしているあたりは、五反田「ヌキテパ」を思い出させます。
窓に正対したおふたりボックス席からは、東京タワーが正面に見え、見下ろせば東京高速道路が俯瞰できる。
テーブルには無煙ロースターも組み込まれていて、焼いてね!と誘いますが、今日のところは、「オープニング特別ランチメニュー」から「盛岡冷麺とミニチヂミのセット」を選びました。他には、ミニ石焼ビビンバやハーフなカルビとのセットなんかも特別サービス版として用意されています。
径の大きめなドンブリを可愛いサイズのチヂミの鉄板にサラダ、キムチを含む中辛別皿の”辛み”の小皿が囲む。
ドンブリの赤い挿し色は三角の西瓜だ。
そのままスープをひと口すれば、牛骨がメインらしきスープの雑味のないコク味が甘いほどに口腔に広がります。
しみじみ、滋味やね~。
麺はと云えば、凛と透き通ったなんとも涼しげな表情だ。
素っ気ないフリをしながら、上手にスープを纏い上げて、ぷるにゅりんというコシツキの歯応えで口元を滑っていく。やっぱり、旨い~。
ベースの美味しさを確認したところで、別皿の辛みを投入、掻き廻して馴染ませます。で、また、啜る。
中辛だと辛くはないけど、ベースのスープの甘さと入れ替わるように、奥行きが増しくる。
あ~ヤバイ。癖になりそな、後を引く味わいだ。
そして、最後に西瓜を齧れば、口の中がふっと和らぐという算段になってる。
あ、そうそう、
チヂミは葱の甘さが存分に引き出されていて、こいつもイケるよ。
楊枝を使おうとして、ニヤついた(笑)。
「スマイルようじ」は、でんぷん100%の楊枝で、冷麺の麺そっくり。
イタズラっぽい楽しい仕込みも、実はエコだという仕掛けなんだね。
ところで、そもそもの「ぴょんぴょん舎」というネーミングについては去る夏より謎だったけど、つまりは店主の邉(ピョン)さんの名前からきているということらしい。
「盛岡冷麺」生みの親・朝鮮半島出身の「食道園」店主、盛岡で初めて冷麺を作った「食道園」、モデルとなった咸興(ハムン)の冷麺と平壌冷麺、冷麺を受け入れた盛岡という土地のメンタリティ、そして朝鮮・韓国と日本との間に横たわるもの。
なぜ盛岡で冷麺が生まれ、「盛岡冷麺」として親しまれるようになったのかについては小西正人氏著「盛岡冷麺物語」で詳らかになっています。
新店の「GINZA UNA」の”UNA”は、”銀河”。
パンフには、「宇宙のオアシス地球、その大地と海が育んだ豊かな食材。その恵みを素直な心で受け、韓国料理をベースに異文化融合の食文化を創造する」とある。
大自然にすべてを包み込むようにたなびき輝く銀河にこの食空間を供する想いを准えているよう。韓国語の「銀河」という言葉は特別なニュワンスを持っているのかもしれませんね。
今度は焼肉喰っちゃって、焼酎呑んじゃって、挙句に「盛岡冷麺」啜りたいなと思う、「ぴょんぴょん舎」のランチでありました。
口関連記事:
盛岡冷麺「ぴょんぴょん舎銀座百番」でコク味冷麺にゅるつるん(06年09月)
海の幸フランス料理「ヌキテパ」 で土のジュレと西瓜ショート(05年04月)
「ぴょんぴょん舎 GINZA UNA」 中央区銀座3-2-15ギンザ・グラッセ11F 03-3535-3020
http://www.pyonpyonsya.co.jp/
column/02583