学生やサラリーマン風情が、酔っ払った勢いで突入して奇声を上げている光景を何度も目撃したものです。
中村雅俊主演の青春群像ドラマ「俺たちの旅」のオープニングで、若き中村雅俊演じるカースケや田中健演じるオメダたちが噴水を横切るシーンがあったのは、同じ歌舞伎町の噴水なのでありました。
このシーンをよく憶えている方は、それなりのお歳だということになりますね(笑)。
そんな噴水の背景にいつもあったコマ劇場も、2008年(平成20年)の年末をもって閉場してしまった。
つい先日、物凄く久し振りにコマ劇場があった場所の前を通るとまだ開場前ではあるものの、すっかり建て替わって、シネコンTOHOシネマズのサインも目に留まる。
周囲の上空を見上げる視線に吊られるようにして建物の上方に視線を動かすとなんと!大きな爪のようなものが見える。
ゴジラがそんなところにいる、なんてね(笑)。
そして、待ち合わせは紀伊國屋書店の一階正面。
新宿での待ち合わせといえば、ミドマド(JRのみどりの窓口)か、ココだったものなぁ。
地階のカレーショップ「モンスナック」はまだまだ健在かなぁ。
独逸からの客人とご無沙汰ぁ!と手を振って、都合4名で集ったのは紀伊國屋の横っちょ、今はなき「NEW TOPS」とアドホックビルの間へと抜けていく道。
そこには、何度も何度もその前を通っているのに今まで一度もお邪魔したことのなかった店がありました。建物と建物の間でちょっと拉げたようにも見える古びた家屋が鳥料理「鳥源」の佇まいです。
予約の名を告げると、お二階へと招かれて狭い階段を上がる。
引き戸の奥は、何やら自然石の置物をずらりと収めた棚の控えるお座敷。
店主のご趣味なのありましょか。
おまかせ「水たき雑炊コース」をお願いしました。
ジョッキの麦酒をいただいているところにまず届いたのが、とりわさ。お通し的小鉢が、これから鳥料理が始まるヨと知らせてくれるようです。
続く突き出しの鶏皮ポン酢が、地味ながらもなかなか旨い。ちょっと炒ったような感じが芳ばしく、お酒を誘います。
「つくね」には、表面張力漲る黄身が添えられて。細か過ぎず粗過ぎずに挽いた鶏の歯触りが、すっきりしたタレと炭火で炙った芳ばしさでいい感じに纏まっている。
つくねをたまごの黄身のソースで喰ってやろうと最初に思い付いたには一体誰なんでしょうね(笑)。
12種類ほどある中から届いた串焼きは、わかどりに相鴨。合鴨じゃなくて、相鴨と書くのがちょびっといい。
鴨らしい香りが嫌味なく愉しめます。
そしていよいよ、鍋も登場。鍋の中は、当然のように白濁したスープがなみなみと。
ぶつ切りした鶏の身が顔を出しています。
二階担当のお姐さんの指示のまま、具材を鍋に投入して煮えるのを待つ。
いただいた独逸からのお土産は、シュナップスと可愛らしいスキットルのコンビ、そして小さなボトルが16本も並んだチョコレートリキュール。
ありがとう、でもどんだけ呑兵衛だとおもわれているのでしょう(笑)。
くつくつと煮えたところで、いざいざ。まずは、表層の白菜、エノキ辺りからいただきましょう。
もしかしたら、ずっとずっと昔博多でいただいた以来の水炊きかもしれません。
京都西陣の「鳥岩楼」でいただいたのは「親子丼」だったしね。
鶏のスープで炊いた野菜やらキノコやらをハフハフいただいてから辿り着いたのが、骨付きの身ややゴロッとしたブロックのような鶏の塊。まぁ、鶏の身そのものよりもこの白濁のスープにこそ本懐があるのかもしれません。
そうとなれば、雑炊は欠かせない。どちらも野菜の甘さも取り込んだ美味しい鍋になるけれど、博多の水炊きは一般的な水炊きに比べて鶏エキスのコクでひと味違うよね。
新宿紀伊國屋近くに創業60余年を数えるという鳥料理と博多水炊きの店「鳥源」がある。とんとご無沙汰の中洲辺りでもう一度、水炊きの鍋に正対したいものだなぁとそう思います。
「鳥源」
新宿区新宿3-17-11 [Map] 03-3354-7868