手打うどん「ちとせ」で自家栽培の農林61号で打つ肉汁うどんは武蔵野うどん

chitose所沢は”航空発祥の地”を標榜するところでもある。
明治44年(1911年)、旧陸軍が現在航空公園のある辺りに日本初の飛行場を造り、後に陸軍航空整備学校となった。
翌明治45年(1912年・大正1年)には、臨時軍用気球研究会所沢試験場を開場して、陸軍大尉徳川好敏による初飛行が行われたという。
その初飛行に使用した飛行機がアンリ・ファルマンによる複葉機だった。
昭和13年には、近くに所沢飛行場前駅が新設され、後に御幸町駅と改称。
敗戦とともに所沢飛行場は接収されて米軍の基地となり、御幸町駅はそこで働く進駐軍の要員や兵隊達が毎日多数利用していたようです。

その後米軍基地は、昭和46年および昭和53年に7割程が返還されたものの今も通信基地が残っていて、ロシアが弾道ミサイルで狙うならまずここの通信基地ではないか、なんて想像もしていました。
返還直後はまだ、米軍が建てたであろう様式の建物があちこちに残っていて、仲間と一緒に探検してドキドキしたこともあったっけ(笑)。
基地跡で花火大会が開かれて、広い原っぱに寝転がりながら花火を見上げたことをちょっぴり憶えています。

市庁舎や市民文化センター、そして広大な敷地を持つ航空公園へと生まれ変わった基地跡。chitose06あの頃チャリンコで走った石畳の名残りがまだそこにあります。

正式には、所沢航空記念公園というのかと改めて入口脇のサインをみてそう思う。chitose01chitose02すっかり冬の枯れ色だけど、放送塔と呼ばれる塔に向けて真っ直ぐに植栽の帯が続いています。

東寄りにある池の近くには、木村・徳田両中尉記念塔がある。chitose03大正2年(1913年)、観覧飛行を行った青山練兵場からの帰路、木村鈴四郎砲兵中尉と徳田金一歩兵中尉の搭乗したブレリオ機が、所沢飛行場を目前にして突風を受け左翼が折れて墜落してしまったという。
航空界初の犠牲者が出たのもまた、所沢だということになります。

そして、野球場と野外ステージの近くにあるのが、フォール大佐像。chitose04フォール大佐は「日本の航空の父」とも呼ばれる方らしく、昭和57年(1982年)に復元した胸像だそう。

公園の北側、市庁舎や警察署寄りの広々した芝生の向こうには、航空発祥記念館がある。
その前に展示されているのが、カーチスC-46A輸送機。chitose05自衛隊では「天馬」の愛称で呼ばれていたようですね。

そんな航空公園を東に抜けて行くとふじみ野に至る県道に出る。chitose07こぶし団地という低層住宅を連ねた古い団地の入口となるバス停のところに、手打ちうどん「ちとせ」はあります。

近くに聖地霊園をはじめとする霊園が多いこともあって、入口には法事のお斎の予約名を示す木札が並んでる。
左手には、硝子越しに覗ける麺打ち場があって、使い込まれた俎板に包丁が置かれています。chitose09chitose08入口右手をふと振り向くとそこには、白い前掛けをした「トコろん」が休憩中でありました(笑)。

お品書きから「きのこと豚のつけ汁うどん」を選んでみる。
届いたうどんは、灰白色。chitose10漂白した真っ白いうどんしか目にしたことのないひとには、違和感があるかもしれないけれど、地粉を使って打ったうどんは、黒ずんだり赤茶色を帯びたりするのです。

相棒のつけ汁には、たっぷりの揚げ茄子にきのこ、そして豚バラ肉。chitose11濃いぃめの汁をぐいっと持ち上げて、滋味香るうどんが口の廻りで踊ります(笑)。

先日、こちらの二階で三回忌のお斎を営みました。
去る秋に二階へのエレベーター設置や椅子席の設定を行ったこともあって、利用し易くなっていたのです。
その際に少々無理を云ってお願いしたのが、会席法要料理につくうどんを所謂武蔵野うどん的「肉汁うどん」にして欲しいということ。
実は「ちとせ」のメニューには、「肉汁うどん」がないのです。
女将さんは、快く受けてくれて、家族親族一同、美味しいうどんをいただくことができたのでした。

改めてお邪魔して、もう一度我が侭を云って「肉汁うどん」をお願いしました。chitose14うどんはやっぱり、灰白色にうねってる。
「ちとせ」では、市内の中富地区の皆様の協力を得て畑15,000坪を確保し、農林61号を完全無農薬で自家栽培し、自社の製粉工場で製粉した粉でうどんを打っているという。
いやはや凄い、素晴らしい!

濃いめの汁は豚バラ肉多めにしてあとは玉葱長葱のみという素朴なもの。chitose13今日も今日とて、旨いなぁと一気喰い(笑)。

湯桶からうどんを湯掻いたお湯をつけ汁に注いでいただくのも、ここでの習わし。chitose15かえしの陰にいた出汁が顔を出すのです。

自家栽培の農林61号で打つ手打ちうどんは「ちとせ」の武蔵野うどん。chitose16営む会社は、有限会社千登勢さん。
ぜひぜひ、シンプルな「肉汁うどん」をお品書きに加えて欲しいなぁとそう思う。
茹で時間なんかの都合もあるかもしれないけれど、もう少し太めに切ったバージョンもいただいてみたいとも思っています。

「ちとせ」
所沢市若松町825-3 [Map] 04-2995-1555
http://www.chitose-udon.com/

column/03523

「手打うどん「ちとせ」で自家栽培の農林61号で打つ肉汁うどんは武蔵野うどん」への2件のフィードバック

  1. こんにちは
    コメント頂きありがとうございます
    素敵なレビューと綺麗な写真ですね
    情報も詳しくて
    しっかり拝読させていただきました
    いい加減に書いてる
    自分のブログが恥ずかしいです

    1. Re:田舎うどんさま
      いえいえ、何をおっしゃいますやら。
      これからも「武蔵野うどん&田舎うどん」を時々覗かせていただいて、うどんを巡るあれこれに触れたいと思っています。

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