
初めてのウィーンは、
まだ空気のぴりっと冷えた春先のことでした。
改装中が残念だったシュテファン寺院の尖塔を見上げ、あの屋根のモザイク文様がハプスブルク家の家紋なんだとしばし佇んだり。
その周辺からケルントナー通りを散策し、
オペラ座近くの脇道を入った小さなホテルに荷を降ろしました。
ペーター教会は、ウィーンで2番目に古い教会。
ミュンヘンのペーター教会に登ったことを思い出しつつ、祭壇を臨みます。

見上げる天井には、「聖母マリアの被昇天」。
天井画は、見上げる度にその美しさと描写力、構図に感心する。
そしてその一方であの高さまでの足場を組んだのかなぁと思うも、
どうやら床面から足場を組んだ訳ではないらしい。
ウィーンの街にも、市電(シュトラッセン・バーン)がある。

鉄ちゃんではないのけれど、街を路面電車が走る光景には、妙に惹かれます(笑)。
散策の足は、ナッシュ・マルクトNashmarktへ。
ウィーンを代表するというマーケット・ストリートは、
Wiener Straßeに沿って帯状に続いています。
スパイスの店や有機野菜や果物の店、パンの香りの向こうにはアンティークの店と歩き眺めるだけでも愉しい。
飲食店も幾つもあって、目移りすること必至。
そんな誘惑を潜りぬけて訪れたのが、
マーケットに面した交差点の角にある「Amacord」です。

ほぼ満席の店内。
テーブルのひとつを得て、まずはプロセッコで乾杯!
仔牛背肉をセージやグリーンアスパラ、トマトと炒めたものには、
ドンブリ一杯のサラダがついている。


鳥のサラダ菜?Vogerlsalatと呼ぶ葉の若葉がたっぷし。
そこへ、下ろしたグラノ・パダーノもたっぷり。
日本の野萵苣(のぢしゃ)にあたるものらしけれど、なかなか美味しい。
時間掛かるそうだどどうしても、とアスパラガスのリゾットSpargelrisottoをお願いしておいて、オランデーズソースしっかりのホワイトアスパラを横からへずるように。

ああ、なんど食べても旬のホワイトアスパラの旨さといったらないねとブンブン頷きます(笑)。
チリソースであんかけのようにした鴨胸肉Entenbrust in soja-Chilisauceには、
やっぱり赤ワインだねとお代わりして。
ちょっと辛い鴨肉に赤ワインがよく似合う。

そして、カボチャのようなサツマイモのようなマッシュにはバナナのピューレを織り込んでいるらしく、そのほの甘さにも。
お待ちかねのアスパラリゾットがやってきました。

グラノ・パダーノと一緒に穂先のところをトッピングして、
そこそこにとろんとコクのありそうな、思わず垂涎の見映え。
急くようにフォークを動かせば、あああ、想像以上の美味しさ。
瑞々しいホワイトアスパラの香りと旨みのエキスが存分に演出されています。
ご馳走さまっ。
ナッシュ・マルクトに面して営むカフェ・レストラン「Amacord」。

きっと日常的な使い勝手もいいンじゃないかな、そんな気がします。
食後の散策をカールス広場方向へふらふらと。

噴水の湖面の向こうに浮かぶは、ドームを頂いたカールス教会の。
満月が似合いそうな、そんな光景が印象的でした。
「Amacord」
Rechte Wienzeile 15 1040 Wien [Map] 01 / 587 47 09
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