
夜にお邪魔したのはまだ数えるほどだけれど、
おひる時には何度となくお世話になっている、
「ぬの家」さん。
ホールスタッフも厨房の中も女性で、
元気と気風のいいお姐さんたちが切り盛りしているお店です。
地階にあったイタリアンがフラメンコスタジオに代わっても、「ぬの家」はずっとそこにある、そんな感じがしています。
陽射しに明るい店内のカウンターに腰を据えると、
向かい側のテーブル席のソファーの赤がイロを注す。


厨房側には、
達筆で朗々と示す比内地鶏についての口上が貼られています。
ひる時のお品書きは、10種類ほど。
「鶏の唐揚げ」も人気だし、「メダイの西京焼き」や「さばの味噌焼き」や「トロアジの薄塩焼き」なんて手もある。


でも、それのどれよりも嬉しいのは、
「牡蠣とあじフライ」がほぼ通年メニューとして載っていることなのです。
初夏の頃、盛夏の頃、残暑の頃にも牡蠣フライがいただけるなんて、
素晴らしいことではありませんか(笑)。

「牡蠣とあじフライ」のお皿には、牡蠣フライがみっつ。
ちょっと物足りない気もするけど、贅沢は云っていられません。
そんなこんなで、三度目の「牡蠣あじフライ」を注文しようとしたその時。
ふと試しに「牡蠣フライのみでもいいですか?」と訊いたら、
なんの怪訝な表情もなく、「はい、いいですよ」と。
もっと早く訊いておけばよかった(笑)。
厨房には、「牡蠣のみ~」とオーダーが入ります。
丸いお皿を五つの牡蠣フライが占める黄金比。
美しいではありませんか。


そして盛夏にいただく牡蠣フライをふーふーして齧ります。
齧り口に意外なほどの汁が滲み出て、真冬の感慨を彷彿とさせて。

上顎火傷のリスクを急に思い出して、ふーふーとします。
絶好調時の「三州屋」のそれと比べるのは論外だけれど、
時季の牡蠣フライと遜色がないのが不思議な感じ。
CAS冷凍の牡蠣を使っている訳ではなさそなのにね。
兎に角、通年提供牡蠣フライに、ただただ感謝であります。
そしてまた、牡蠣の季節がやってくる。
鯔背な姐さんたちが取り仕切る比内地鶏と牡蠣フライ(?)の店、八丁堀「ぬの家」。

姓が「ぬのや」なので、そのまま店の名にというご主人もきっと女性なのではないのかな。
たまには、夜に訪れて比内地鶏も堪能しなければいけません。
「ぬの家」
中央区八丁堀2-21-11 鈴らん通りビル1階 [Map] 03-3552-2750
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