
ザルツブルク旧市街の観光メインストリート、
ゲトライデガッセGetreidegasse。
ショーウィンドウを飾る店舗と店舗の間に幅や開口のカタチは様々に中庭や裏手へと抜ける路地・通路が覗けます。
京町家の並ぶ通りから路地を覗く気分にもちょっと似て、それだけでもなんだか愉しいものです。
そんな路地のひとつ、天井にアーチを描く通路の先に見つかるピンク色の看板がその目印。
そこに、いつも行列のグリルスタンドがあるのです。

ピンクの看板が示すのは、「1.Salzburger Bosna Grill」。
元祖ボスナ・グリルの店!ってな意味でしょか。


遊園地のチケット小屋のような一角に順番を待つひと達。
最後尾に並ぶと、どんどんとテンポよく進んで順番が廻ってきます。

小屋の壁には、珍しくも嬉しいことに日本語で書かれたメニューがあって、
「ボズナ」5種類のトッピングや味付けの内訳と値段の3EUR。
“オリジナル”と書かれた、タマネギ、パセリ、スパイスのバージョンをいただきましょう。
注文を聞き終わるか終わらないかのうちに手元を動かして、
ソーセージを挟んだパンにカレーパウダーを振り掛けて、
狭いカウンターの上に準備されているスタンドに、はいよ!とばかりに立ててくれます。

黄色い粉をたっぷりと振り掛けてくれたなーの図。

熱々のところを手に持って、早速その場で齧りつきます。
やや乾いた歯触りのパンに齧ったそばから滲むソーセージの脂、
そしてカレー粉の真っ直ぐな風味。
カレーのそれとはちょと違う辛味は刻んだ玉葱か。
ふーむ、ソーセージそのものも香ばしくてジューシーで旨いのだ。

その焼き立てをすぐ立って食べちゃうことで、さらに臨場感のある美味しさになってる感じ。
素朴だけれど、いいなぁ、やるなぁ。
Bosna Grillの匂いに釣られて路地に迷い込めば、
そこにある小さなスタンド「Balkan Grill Walter」。

バルカン半島はブルガリアからの移民のツァンコ・トドロフさんが、ビール蔵Müllner Bräuの中の店で、秘密のレシピでホットドックを売ったら繁盛してしまい、この小さな小さな小屋で店を興したということらしい。
元々「ナダニッツァ(Nadanitza)」として売り出したものの、発音し難かったことから「ボスナ(Bosna)」と名を改めて人気を博し、いまやザルツブルクの風物詩と云われるまでになっているンだ。
「Balkan Grill Walter」
Getreidegasse 33,
im Durchgang gegenüber der Eisgrotte, 5020 Salzburg
[Map]
column/03128