またまた武蔵野うどんの店を訪ねに、
聖地のひとつ、東村山の駅に降り立つ。
長らくほったらかしだった西口もやっとロータリーの整備がされている。
目指すお店はそんなに遠くもないのだけれど、茹だるような暑さと刺すような陽射しを避けようとそのロータリーに停まっていたタクシーに手を挙げました。
店の名を聞いて走り出したタクシーの運ちゃんが、こう話す。
他のうどん屋さんを目的地にするお客さんはちょくちょく乗せるけど、「こせがわ」へのお客さんは初めてですよー、でもなんか嬉しい、なんせボクもあそこで年中生うどん買って食べてますから(笑)。
なるほど、正に地元に人気の店なんだなぁと思っているうちに、
踏切を渡ったタクシーは、電機屋さんのガレージの前に停まりました。
そこですよー、ということで降りた、その目線の先には確かに「うどん」の幟がはためいてる。
電機商会転じて手打ちうどん店、ということなのでしょうか。
正対するお店には左右の建物それぞれに暖簾が掛かっています。
どうやら左の暖簾は、生うどんなどを売るスペースで、
イートインできるのは右手の暖簾のよう。
早速、右手の暖簾を払いました。
お店はとっても小ぢんまり。
厨房前のカウンターと右手スペースにテーブルがふたつ。
ビール!と叫びたいところをぐっと堪えて、壁に掛かったお品書きを見詰めます。
手作りしちゃったであろう葦簀を背景にして、
「ざるうどん」にその大もり、特もり。
温かい「かけうどん」に「肉うどん」。
ポイントは、その並びにある「肉汁 50円増し」のプレート。
50円で「ざるうどん」のつけ汁を「肉汁」にできる。
できればデフォルト肉汁であって欲しいのはやまやまなれど、
肉汁にできるのであれば文句はありません。
「大もりうどん」を勿論「肉汁」でお願いしました。
あ、「糧三種盛り合わせ」もお約束、ね。
麦茶をちびちび飲みつつ、うどんの笊と肉汁の到着を待つひと時。
割としっかり時間が掛かるのは、
注文を受けてから湯掻いているからに違いありません。
お待ちかねの膳がやってきました。
つやつやとしながら、どことなく茶色みがかったうどんに豚バラ肉を浮かべたツユ。
その向こうには、茄子、隠元、大根の「糧」。
慌てて薬味を入れたお椀に、箸でひっ掴んだうどんを浸して、ズズズと啜る。
そうそうそうそうそう、そう(笑)。
この小麦粉の風味が、武蔵野うどんの真骨頂。
こうでなくてはいけません。
武蔵野うどんのフリしてすっかり讃岐うどんなお店に、はてな?マークを浮かべることもあったなぁとちょっと遠い目になる。
少々久し振りに、武蔵野うどんらしい、武蔵野うどんに出逢えました。
「特もり」にしとくんだったなぁ。
「うまかったス!」とお礼を云ってお代を済ませ、暖簾を払う。
そのままお隣の暖簾を潜って、もう一度、こんにちは。
生うどんを1パックお願いすると、
「じゃぁ、打ち立て切り立てのところを入れましょね、暑いのでちょっと塩が強めになってます、8分くらい茹でてくださいね」とオカアサン。
もう一度、おいしかったですよーと告げ、生うどんを手に電機店のガレージを後にするのでありました。
昔ながらの手打ちで粉の香る、武蔵野うどん「こせがわ」。
「こせがわ」の「肉汁ざるうどん」は、
東村山ブランド「里に八国」に認定されているんだそう。
店名の「こせがわ」は、ご主人のお名前かと思ったら、然にあらず。
それは裏手の河に架かる橋の欄干ではっきりしました。
この小川が「小瀬川」なのですね。
「こせがわ」
東村山市諏訪町1-23-5
[Map] 042-391-3440
column/03006