「食し方様々お肉ニク」カテゴリーアーカイブ

Hamburger「BROZERS’」新富町で三叉の三吉橋とタルタルバーガーホットドック

グルメバーガーの店「BROZERS’」。
そう聞けば、人形町の奥のあの紅いファサードを思い出す。
その「BROZERS’」にこのところすっかりご無沙汰なのには訳がある。
そう、最近は専ら新富町のお店の方に通っているから。
今日も今日とて、首都高新富町ランプ近くへと足を運びます。

「BROZERS’」新富町があるのは、
新富町出口の導入路を挟んで中央区役所の向かい側。区役所を背にして立つと、
三吉橋の擬宝珠(とはちょと違うけれど)越しに紅いファサードが見える。

三吉橋は面白い形状の橋で、
銀座柳通りが首都高を渡る際に、
新富町側と築地側とに向けてY字に分かれて架かる。銘板の記載によると、
L字に曲がっていた築地川の角から、
楓川と繋ぐ連絡運河を開削したことにより、
T字型の水路となったその接点に渡した橋が三吉橋であった。
三叉の橋ってのもありそうでいて他に知らない。
そんな三吉橋の袂に「BROZERS’」新富町はあるのです。

「BROZERS’」は店内の基調もファサードと同じ紅。窓際に佇んで、行き交うひと達の姿をぼんやりと眺めます。
ハンバーガーとなると反射的にコーラ!となる、
その刷り込まれ状態ってなんなのでしょうね(笑)。

外光の明るい席に届いたのは「ベーコンバーガー」。これぞ”グルメバーガー”らしき偉容と申せましょうか。
何故かふと、アニメ「ポパイ」に登場していたでぶっちょの彼。
ウインピーを思い出すけれど、
彼が次々口に運んでいたのは、
こんなにタッパのあるハンバーガーではなかったのは間違いない(笑)。

人形町で初めて食べた時は正直ちょっと戸惑ったけど、
今はもう淀みない所作で卓上のバーガー袋を取り出して、
よっこらせとボリューミーなハンバーガーを包む。この袋を最初に考案したのはどなたなのでしょね。

陽射し強くとも風涼やかな日には、
外に置かれたテーブル席を所望する。長いソーセージがすっかり食み出るように誂えたホットドックに、
デフォルトにてケチャップ&マスタード。
ソーセージが滲ませる脂と旨味が、
塩っ気のあるパンによく似合います。
なかなか飲む機会のないスプライトも偶にはよいでしょう。

いつもよりもっとシズルに喰らいたいおひる時には、
「タルタルバーガー」を選んでみたりする。口の周りもいつも以上にグッチョリするのがお約束です(笑)。

日替わりメニューの金曜日版がなんと「パインバーガー」。どれどれと上のバンズを外すと、
ありますね、ありますね。
忘れずに缶詰っぽい輪切りのパインが載せられています。
感想はといえば、酢豚のパインに思うことと同じです(笑)。

ふと気休めでも野菜も摂らなくちゃと、
「コールスロー」をお願いする。
「たいめいけん」辺りのコールスローを連想していたので、
随分とサラッとしたタイプであることに少々驚く。その理由が届いた「パストラミサンド」で分かったような気になった。
ここにもそれが挟んである。
思いっきりダブった註文をしてしまったようです(笑)。

グルメバーガーで夙に知られた「BROZERS’」には、
新富町にもあの紅い店がある。2000年(平成12年)07月の創業から20年弱。
今や老舗の風格の気配すら感じさせると思うのは、
気の所為ではないかもしれません。

「BROZERS’」新富町店
中央区新富2-2-11 [Map] 03-6228-3701
http://brozers.co.jp/

column/03724

洋食とんかつ「小田保」で牡蠣混合生姜焼き焼豚玉子に鮪刺身カツ咖喱に牡蠣混合

odayasu中国人観光客の多寡によって混雑の度合いが変わっているような気もする築地場内、魚がし横丁。
想像を超える長時間に亘って行列のひととならないとカウンターに辿り着けないことでも有名な「寿司大」を擁する6号館前の通路や、そこからふた筋向こうの8号館前の通路は、飲食店の並ぶ場所ゆえに時に大混雑の様相を呈することが少なくない。
築地市場移転までが一年を切ろうとしていることもその混雑に拍車を掛けていることでしょう。

市場橋門から入り込み、
冷蔵庫棟の脇を抜けてゆく。odayasu01いつもの場所にターレが停まっている、
こんな何気ない風景もいずれ失ってしまうのかと思うと、
それはそれで寂しさと儚さを感じざるを得ません。
新しい市場では、いまと同じように、
ターレが近くを走るような環境になるのかもよく判りません。

このところちょこちょこ寄せてもらっている店のひとつが、
魚がし横丁6号館の洋食「小田保」。odayasu02左手に小さなテーブル3卓があり、
右の壁に向かってカウンターが設えてあります。

季節が神無月となってすぐには、
こいつを目指して足を運ぶ。odayasu03いまや小田保名物のひとつと呼ぶひともいるであろう、
ご存知「カキミックス」。
カキフライのみの定食として、
一本気であることを示そうと試みるも、
カキバターの魅力にも抗えず、
必ず「カキミックス」となってしまう(笑)。
ああ、秋の深まりと忍び寄る冬を知らせるに、
もっとも相応しき滋味とその手練。
大きすぎないこの時季の牡蠣も好物なのであります。

やっぱり気になるのが、
Gigner師匠もずっと以前に召し上がっておられた「生姜焼き」odayasu04わらわらっと重ねられた薄切り豚ロース肉たち。
縁取りのよく焼け部分の芳ばしさが妙に誘う食べ口。
細かく刻んだキャベツが生姜タレに浸って、
それもまた妙に美味いのです。

ちょっと懐かしい気分も誘うのが、
ご存知「チャーシューエッグ」。odayasu05odayasu06その厚みや蕩け具合で定番となっているであろう、
「八千代」のそれのドドーン!という威容とは、
また違う佇まいと表情のヤツ。
崩した玉子と渾然となった焼豚の美味さに文句なし。
ハムの代わりに厚切りチャーシューを使いました、
というそんな意味での正統派を思うのでありました。

そうそう「小田保」の入口ドアには、
小さな貼紙でこんなことが示されている。odayasu07“NO-Sushi”。
寿司はありませんとわざわざ断っておかないと、
何で寿司がないのかと席に収まってから云い始める輩が、
少なからずいるということなのでしょう。

そんな”No-Sushi”にして、 洋食・とんかつの店「小田保」にあっては、
少々特異なメニューもあったりする。odayasu08odayasu09それは「マグロ刺身定食」。
厚切りのビントロあたりがドドンと盛られてなんだか嬉しい。
「小田保」で「マグロ刺身」は、
決してシュールではありません(笑)。

カウンターの一番の奥に席を得たおひるには、
「カツカレー」の気分になる。odayasu10「小田保」でとんかつを食べたことが、
今までなかったことに今頃気付く。
やや油の温度の高目を思う揚げ口が、
濃度たっぷりのカレーと相俟ってジャンクな旨さ。
なんだかちょっとクセになりそう。

年を改めたところでふたたび、
「カキミックス」が食べたくなる。odayasu11odayasu12牡蠣の身が幾分かぷっくりして、
もう十分に花開き実を結んでいる。
齧って弾ける磯の旨味に濁りなし。
やっぱり、旨いや(笑)。

魚がし横丁6号館の真ん中に、
肉と魚介と揚げ物とフライパン料理の「小田保」がある。odayasu13「エビ丼」「ふぐカツ丼」「穴子丼」に、
「メカジキバター醤油」「帆立オムレツ」「焼肉」などなど。
まだまだ、いただきたいメニューが目白押し。
市場の移転までに間に合うでしょうか(汗)。

「小田保」
中央区築地5-2-1 築地市場 魚がし横丁6号館 [Map]
03-3541-9819

column/03653

ホルモン「在市」芝大門で旨い赤身肉とホルモンのごちゃ混ぜ焼きとジントニと

zaichiそれは、師走の平日の夜のこと。
大門駅から地上に上がって、第一京浜の横断歩道をてけてけ渡る。
この処、間置いて何度か通った芝神明商店街を北へと上がる。
両側に点在する飲食店の表情を眺めつつ、このまま真っ直ぐ往って商店街を抜けると老舗とんかつ店「燕楽」のところに出るなぁという辺りで、今宵の目的地の提灯を見つけました。

店先にはメラメラと囲炉裏の炎が揺らいでる。zaichi01その囲炉裏の背中の壁のディスプレイをよくよく見ると、
丸型の焼肉グリルが何枚も飾られている。
枡に突き刺したプレートの文字を辿ると「ごちゃ混ぜ焼き」と読める。
はて、「ごちゃ混ぜ焼き」って何でしょう。

寒い中お迎えいただいた方たちや、
先陣切って着座していた愛ちゃんにコンバンハ。zaichi02今夜は、円形の排気ダクトの傘の下、
焼肉グリルを囲んでの忘年会なのであります。

口開きは、武蔵野ビール工場での一杯も思い出す、
気品あるコク味「MASTER’S DREAM」から。zaichi04zaichi03蓮根なんぞのお通し的ナムルが手始めに控えています。

本日のメニューが予め配られて、
それは流れを知れて安心のカタチでもあると確かめる。zaichi05正肉コースのメニュー後段に店先で気になった、
「ごちゃ混ぜ焼き」もオススメアイコンと供に載ってるね。

メニューに則ってまずは「上タン塩」のお皿がやってきた。
濁りのないピンク色の上に粗挽きした胡椒の粒が踊ります。zaichi06zaichi07グリルにてさっと炙った上タンが、
想定以上に軽快な歯触りだったのは、
裏側に均等に施した包丁のお陰でもあるのでありました。

そして、メニューの下枠に大きなフォントで提示されていたのが、
「ジントニ」なるお呑み物。zaichi08“肉専用サワー”と謳う、
「ジントニ」専用のジョッキには、”ジンと肉”の文字。
ジョッキにガチャっと盛られた角氷の上にたっぷりと黒胡椒を盛る、
そんなスタイルのジントニックだ。
ん?”ジンと肉”? あれ(笑)?

そのジンが何かと問えばそれはご存知「BEEFEATERビーフィーター」。zaichi09zaichi10バックバーには欠かせない四角い透明ボトルは、
ロンドン塔を護る近衛兵の図柄がシンボル。
恥ずかしながら認識していなかったのは、
「BEEFEATER」の名前の由来。
それはつまりは、BEEF(牛肉)+EATRER(食べる人)。
その昔、国王主催のパーティーの後に、警護にあたっていた衛兵たちが、
パーティーで残った牛肉の持ち帰りを許されたことから、
“牛肉を食べる人”と呼ばれたという。

そうか”牛肉を食べる人”だったのか!と感心しているところへ、
ドドドンとジングルでも鳴りそうな威容で牛肉塊のお披露目。zaichi11zaichi12塩焼きでと運ばれてきたお皿には、
さらに艶めかしさの増した見映えのミスジにハラミ。
細やかにサシの入った様子は、
柔らかに蕩けそうなことを容易に想像させる。
こうしてまた、美味しく、牛肉を食べる人、になる(笑)。

醤油焼きにはリブ芯辺りのものだというzaichi13zaichi16サシの入り方がまたちょと違う。
包丁の入れ方も厚みも部位や食べ方によって、
当然のように変えているのでしょうね。

店内を精力的に動き回ってくれているスタッフが、
腰に巻いている前掛けが紅くてよく目立つ。
それは「ビーフィーター」の紅。zaichi15zaichi25檸檬半個分が基本レシピの、
「ビーフィーター」使った「ジントニ」であるそうなのだけど、
檸檬に代えて、グレープフルーツを使ったバージョンもなかなか旨い。
グレフルの苦みがオトナな味わいとなるのです。

紅い前掛けのお兄さんが今度は、
薄めにそして大判にスライスしたお肉たちを運んできてくれた。zaichi17zaichi18zaichi19zaichi20zaichi21それをグリルに載せてはすぐさまひっくり返し、
それはまるで鉄鍋の底でお肉を煽るかのように。
「サーロインすきやき風」は勿論、解した玉子でいただくスタイル。
なはははは、思わず哂っちゃうくらい旨いであります。

そしてそして、本日メニューの殿に控えていたのが、
名物にして看板メニューのひとつと思しき「ごちゃ混ぜ焼き」。zaichi26zaichi22九条葱もたっぷり盛られたお皿を、
グレフル・ジントニでの改めての乾杯で迎えます。

「ごちゃ混ぜ焼き」とはつまりは、
上質なホルモンあれこれに赤身肉も含めてやや甘めの味噌で、
その名の通りごちゃ混ぜにして焼いちゃうヤツ。zaichi23それってメッチャズルいヤツやん!と、
小さく叫んで(笑)、次々と箸を伸ばす。
たっぷりした旨味とコクと脂が混然となったグリルに、
ほろ苦いグレフル・ジントニがよく似合います。

芝神明商店街の北寄りに、
赤身肉もホルモンも旨い「在市(ざいち)」がある。zaichi24それなりに歳を重ねてくると(笑)、
少しずつのお肉を変化をつけながらいただくのが、
食べ方として美味しいのを再確認できた夜でした。
そのお供に洒落も含めた「ジントニ」が面白い。
そんな「ジントニ」を推すサントリーのWebページはコチラです。

「在市」芝大門
港区芝大門1-2-8 [Map] 03-3431-5233
http://zaichi-shibadaimon.com

column/03651

とんかつ「燕楽」でカツ丼カツカレーロースカツ定食あの頃の溢れる活気と朗らかさ

enraku大門の駅を降りて地上に上がり、第一京浜から一本日比谷通り側の裏道を新橋方面へと歩く。
駅に近いだけあって幾つもの飲食店が連なっていて、角にある中国薬膳料理「味芳斎」の店先なんかを懐かしく思い、今もヌードポスターが貼ってあるのかと硝子越しに覗き込んだりする(笑)。
どふいふ訳か、焼肉系のお店が多いエリアだなぁと思ったりもする。
今はどの街でも肉料理の店が凌ぎを削っているけれど、この辺りはそれ以前から韓国料理店を含めた焼肉系のお店が多かったような気もします。

そんな裏通りは浜松町一丁目信号辺りで商店街の端に出る。enraku01頭上を囲うアーチで、
それが「芝神明商店街」であったことが判る。
そしてその向こう正面にポッと点る看板の灯り。
看板には”とんかつ”と書いてあります。

信号を渡り当の看板の主の場所へと近づけば、
岡持ちもまた看板代わりになっている。enraku02enraku03いつから用いているものなのでしょう。
藍染の暖簾がいい感じで色褪せて、
擦り切れたところに穴が空いています。

夕暮れの店内に入ってまず驚くのが、
先客のないこと。enraku04卓上のショップカードは、
1950年の創業と伝承の味であることを知らせています。

オーダーを告げたその後に、
コンロの上に使い込んだ親子鍋が置かれた。enraku05五徳が大きくて火が鍋の回りから零れるので、
持ち手が焼けてしまわないか心配になったりする(笑)。

お願いしていたのは「ロースカツ丼」。enraku06完成度を思わせる端正な顔立ちのドンブリである、
と云い切るには少々無理のある見映えではある。
営業形態が変わる前の築地場内「豊ちゃん」の「カツ丼」に見た、
三つ葉のあしらいや溶き玉子のかけ回し具合、
火の通りの加減などと思わず比べてしまいました(汗)。

もうひとつのカツ丼はドンブリが違うのですぐに見分けがつく。enraku07どっちと訊かれたらやっぱり「ロース」と応える。
でも、もうちょっと自分の年嵩が増したら、
「ヒレカツ丼」が好きだと云い始めるかもしれません(笑)。

妙にカレーも食べたくて「カツカレー」を所望した或る夕べ。enraku08コッテリし過ぎていない代わりに、
特段の深みもないカレーをソースとしてロースカツを頬張る。
お蕎麦屋さんのカレーに似た感じやもしれません。

ちょっと呑みたい時には麦酒ではなくてハイボール。enraku09細かく気の利く、中国系の方だと思われる女将さんが、
缶からジョッキに注いでくれるので、
角瓶と炭酸の割合は間違いはない。
「ロースカツ定食」を注文して、
添えてくれる「ポテトサラダ」と「お新香」をアテにして、
もう一杯(笑)。

ロースカツの揚げ上がりに思う遜色はなし。enraku10enraku11店内に貼られたポスターから、
使っている豚は平田牧場の三元豚であるらしい。
衣が豚の身から剥がれてしまっているのが少々残念だけれど、 火の通りや脂の程よい甘さに文句はありません。

季節が冬ともなればやっぱり、アレが気になる(笑)。enraku12enraku13黄色い品札にその名を見つけたならばの「カキフライライス」。
タルタルではなくポテトサラダが添えられるスタイルに、
丁度よいサイズのカキフライが基本形なる5連隊。
噛んでじゅわっと滲み出す牡蠣の旨味を味わいながらふと、
池上の「燕楽」には「カキフライ」があっただろうかと考え始めます。

創業1950年と謳う老舗とんかつ店「燕楽」は、
浜松町一丁目信号の近くの裏道にある。enraku14今を営むはどうやら三代目の方のようで、
女将さんと同じく中国系の方なのではないかと思われる。
ずっとずっと昔何度か訪れた頃の、
職人技の発露に集まるひと達の溢れる活気と朗らかさには、
残念ながら触れることが叶いませんでした。

「燕楽」
港区新橋6-22-7 [Map] 03-3431-2122

column/03646

とんかつ「自然坊」で丁寧に揚げるロースにヒレかつ唐津焼の表情と安定感が齎すもの

jinenbo蒲田、蓮沼、池上、千鳥町。
蒲田駅を離れた池上線は、ゆっくりと右へ左へとカーブを描きながら大田区の住宅地を進みます。
千鳥町の次の駅が、久が原駅。
此処でも池上線の基本形であるところの相対式ホームで、ホームの端に踏切があり、そこで上下線を行き来するのも池上線でよくみる光景であります。

千鳥町駅から少し標高を上げてきたレールが、
ほんの少しカーブして久が原駅のホームに流れ込む。jinenbo01jinenbo02白いペンキでお化粧してしまったけれど、
旗の台駅のものと同じ造りの木製ベンチが此処でも、
次の電車への待ち時間を過ごす止まり木になってくれています。

踏切を渡って、駅の東側に出て、
その先の五叉路を右に折れ、
道に沿って緩やかに左へとカーブしてゆくと、
左手に目的地が見えてきた。jinenbo03パール様の空色のタイルを貼った、
三階建ての建物のその一階にあるとんかつ店。
ちなみに、この道をさらにずんずんと進むと、
「マウンテンバーガー」のある上池上通りに至ります。

休暇の平日のおひるにお邪魔すれば、
それ相応に落ち着いた雰囲気の店内。jinenbo04L字のカウンターの隅に佇んで、眺めるお品書き。
箸を包んだ帯に刻んだ文字は「自然坊」だ。

注文を終えて、いただいたお茶の器にオッ!となる。jinenbo05少なくとも100均辺りで誂えた湯呑みではないことは、
ド素人にも自ずと判る。
ただの重さとは違う”厚み”と石の中から削り出したような表情がいい。

ふと、目の前の状差しに置かれていたパンフレットが目に留まる。jinenbo06手にとって見る表紙が示すのは、
中川自然坊 遺作展とその会期。
とんかつ店「自然坊」の店名は、
唐津の陶芸作家、中川自然坊氏に由来しているのだという。
お茶を淹れてくれた湯呑みもきっと、
その中川氏の作なのでありましょう。

ゆったーりとした時間が流れて、
あ、なんで麦酒を呑まなかったんだろうと、
やっと気がついたそんな頃(笑)。
お願いしていた「ロースかつ定食」が届きました。jinenbo07丁寧に丁寧に揚げられた様子が、不思議と伝わってくる、
そんな表情の感じがいい。

その断面を拝むと、
みっしりと表裏一体一身胴体の衣と身肉。jinenbo08Wedページには純国産のやまとのみ使用とあるが、
それは程良い脂を含んだもの。
うん、美味しい。
ソースをぶっかけちまうなんて勿体ない。
前半は塩で、後半を醤油でイクのがよく似合います。

日を替えてまた同じ、カウンターの隅。jinenbo09正面の壁に据えた食器棚は、
中が素通し出来る硝子戸の仕様。
整然と仕舞い置かれているのも、
中川氏の唐津焼なのでありましょう。

電熱線に炙られて、南部鉄器と思しき鉄瓶が湯気を吐く。jinenbo10ありそうでいて、
なかなか目にすることが少ない光景なのではないでしょか。

ロースの次にはやっぱり、
「ヒレかつ定食」を所望する。jinenbo11半裁したヒレかつが載せられたお皿もたっぷりした厚みがあって、
その重厚なる安定感が、
その上の小さな宇宙の基盤となっているようにも映ります。

ロースに比べれば勿論、
さらっとした食べ口のヒレかつ。jinenbo12こちらは前半を芥子醤油で、
最終コーナーをソースでいただく。
ふむふむ、うんうん。
綺麗な油で揚げ上げる様子が想像できる透明感がふと過ぎる。
ゆっくり目に刻んだであろうキャベツに、
東銀座「にし邑」のそれを思い出しました。

定食にはお口直しの冷菓がついてくる。jinenbo13とんかつの〆にバニラのアイスが、
これまた不思議とよく似合う。
真夏であってもソルベではなくって、アイスがいい。
何故だか、そんな気がいたします。

大田区久が原の住宅地のど真ん中に、とんかつ「自然坊」はある。jinenbo14敢えて云うなら、”オトナのとんかつ”と謳いたい。
冬の時季の「牡蠣フライ」がどんな悦びを与えてくれるか、
それも試しに行かなくちゃだ。

「自然坊」
大田区久が原4-19-24 [Map] 03-5700-5330
http://www.tonkatsu-zinenbou.com/

column/03641