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やき鳥「伊勢廣」京橋本店でひるのフルコース煙の行方とチキナーと5本丼も大満喫

東京駅八重洲口のバス乗り場。
八丁堀は亀島橋方面のバスの到着を待って、ベンチに座っていると、以前幾つかの物産館がテナントしていたビルやソニー銀行などがあったヤンマーのビルなどの広大な敷地で行われている建築工事をぼんやり眺めることになる。
他にも幾つものタワークレーンが林立し、一体全体なにからの復興なのだろうかと思ったりする(笑)。

建て替えの済んだブリヂストン美術館などを象徴に、
八重洲口側から押し寄せている再開発の大波は、
八重洲から昭和通り、八丁堀そして新川へと到達している。

ご多分に漏れず、京橋エリアも謂わば虫食い状態で、
古くからの味のある建物の背後に無機質なビルが建ち、
コントラストを際立たせるような光景があちこちでみられる。そんな味ある建物のひとつが、
ご存じ、やき鳥「伊勢廣」の京橋本店だ。

こじんまりした料理旅館風の佇まいが、いい。
おひる時には、空席待ちの列が出来ることも少なくありません。象形文字的「鳥」のモチーフを店のロゴマークにする、
焼鳥店、鳥料理店は数多ありそうだけれど、
「伊勢廣」のものはシャープで、
でもどことなく愛嬌があってなかなかよろしい。

その鳥マークは、
路地を挟んで向かい側の建物の壁にも描かれている。隣地が更地になっていたから見付けられたものでもあるね。
二階家から隣の建物の塔屋へと伸びているダクトはやはり、
煙突の類でありましょか。

店内に案内されて、入って右手のカウンターの一隅へ。早速眼に飛び込んでくるのは、
焼き台の上で動く手許と立ち昇る煙と蒸気。
この煙はきっとあのダクトを辿って空へと解放されていくのだ。

まずは「お得なひるのフルコース」を所望する。
追い掛けるように声をかけてお酒の註文も出来るのは、
午後から半休のその午後であるがゆえであります(笑)。茅場町「宮川」でもお馴染みの鳥ガラスープに、
岩塩だけでいただくサラダで口開き。

お約束のようにおろし山葵を等間隔に載せたささみ。レバーも砂肝も、大き過ぎず小さ過ぎずのサイズ感と、
それそれの食感を活かすような焼き加減が、当たり前のように、いい。

「伊勢廣」では、ネギマじゃなくてネギ巻き。
薄切りのもも肉で葱を巻いて、タレで迫る。
正肉等と葱とを順に別々に口に含むんじゃなくて、
一緒にが美味しいんじゃない?ってな提案がありそう。そして、「伊勢廣」では、つくねじゃなくてだんご。
塩で焼いただんごが、いい、旨い。
かわも、あの脂たっぷりな皮だけを串にしたんじゃなくて、
幾つかの部位の皮を首肉・もも肉で挟むなんて工夫がある。

岩いずみのロックを舐めながら、もも肉、合鴨、手羽をいただく。嗚呼、麦酒でも日本酒でも勿論よいのだけれど、
焼鳥って焼酎が良く似合うんだということをいつの間にか、
ちょっと忘れていたかもしれません(笑)。

そうそう、取り皿の上に用意いただいていたのが、
ちゃんと鳥マークを刻印したオリジナルなカトラリー。
その名を「チキナー」は、「伊勢廣」考案の焼鳥専用のフォークだ。野毛の大振り焼鳥店「末広」では確か、
焼鳥の身を串から外さずに食べるよう、大将からの指導が入るはず。
対して此方では、取り外すため専用のフォークを用意している。
焼き立てを熱いまま食べるのが旨いのでそうあるべし、
というのも分かるし、
取り分けるのではなく、さっと串から抜いて口に運ぶ手もありますよ、
というのも分かる。
女性の所作としては、その方が美しいに違いない。
外国人客への配慮ともなっていそう。
どちらが正しいという訳ではなく、
店の立地・環境や客筋、ノリにもよるのでしょう。

フルコースの〆は、山葵も似合うささみを載せたお茶漬け。仕上げはさらっとさっぱりとがいいという想いと、
お茶漬けも鶏スープ仕立てがいいなという想いとが交錯します(笑)。

「伊勢廣」のランチの定番は「やきとり丼」。
4本丼か5本丼、13時以降はリーズナブルな3本丼も選べる。勿論、串は外してある(笑)。
焼き立ての焼鳥をハフハフしながら咥えては、ご飯を掻き込む。
旨い旨い。
食べ応えも十分に大満喫であります。

再開発の大波の只中にやき鳥「伊勢廣」京橋本店はある。創業は大正十年のことと云う。
予約の取れない、求道系漂う焼鳥店も魅力的だけれど、
老舗にしてただただ実直にかつ朗らかに営む感じが心地いい。
今度訪ねたら、店名「伊勢廣」の由来も訊ねなくちゃだ。

「伊勢廣」京橋本店
中央区京橋1-5-4 [Map] 050-5456-8497
http://www.isehiro.co.jp/

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