ちょっと話題の沸いた「みゆき食堂」とか、過日お邪魔した田舎うどん「篠新」とかは、
清瀬駅の南口界隈にある。
この日に降りた階段は、反対側の清瀬駅北口。
ロータリーから乗った西武バスは、
上清戸一丁目で志木街道に入って、
長命寺方面へとトコトコと進む。
中清戸というバス停で降りた足を
新小金井街道に繋がるバイパス道路へと向けます。
如何にもまだまだ新しい様子のバイパスまで来ると、
角の住宅の煉瓦積みの塀に「うどん」とだけ認めた看板が目に留まる。
その矢印が示す方向に視線を送ります。バイパスを渡ったところには、緑ぎっしりの畑が広がっている。
その先に「アスカ」というゴルフ練習場のような建物が望めます。近づいて見つける地粉うどん「桂」の看板。
ゴルフ練習場ではなくて、バッティングセンターの無機質な建物に貼り付くように、
瓦屋根の和風家屋が建っていて、
ちょっと不思議なものを眺めているような気分になります。
店内は、4人掛けテーブル4脚の小じんまり。
硝子越しにお向かいの畑の様子が見渡せる。
お品書きには、「肉汁うどん」を筆頭にして、温かいうどんに天麩羅あれこれに、一応お蕎麦の用意もある。
でも、ご注文は勿論、お客さんの八割が注文するという、
「肉汁うどん」であります。
大盛りのうどんに肉汁の椀と三点盛り天ぷらのお皿。
糧には、牛蒡の金平が添えられています。じっと見詰める地粉のうどんは、心なしか淡灰色を帯びている。
如何にも漂白しちゃったように真っ白なうどんは、武蔵野うどんとは呼び難いもんね。
そんなうどんを肉汁に浸して一気に啜る。
うんうん、粉の旨味に嬉々とする。つるつる過ぎないところもまた納得の増すところ。
余りにつるんつるんのうどんにはどうも、
工業製品の気配を思ってしまうのです。
つけ汁には、少しあくのようなものが浮かんでいるけど、
それが豚バラ肉を一緒に煮込んだ証拠でもある。
妙に綺麗なつけ汁よりか、こっちの方が断然好ましく思います。茄子や竹輪や搔き揚げの天ぷらも代わる代わる平らげて、
ああ、大満足。
ご馳走さまでした。畑の中にバッティングセンターに貼り付いて建つ、
これもまた武蔵野うどんの好例「桂」。
こんなシチュエーションの武蔵野うどん店はきっと他にない(笑)。地粉うどんの生麺は、バッティングセンターのフロントでも、
買い求めることができるようですよ。
「桂」
清瀬市中清戸5-186-1 [Map] 042-494-6385
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