廣東餐館「鳳飛」で 焼売の慈姑歯触り椒醤酥鶏柿子色鳳舞の系譜

houhi鹿苑寺をあとにして、
金閣寺前バス停から例によって市バスに乗る。
立命館大学前から出発した12番のバスは、
金閣寺道を経て、西大路通りを東へ向かいます。
千本通り、大宮通りを過ぎて、
降り立ったのは北大路堀川のバス停。
そこから、堀川通りを北へと歩く。
舗道の落ち葉がカラカラと風に踊っていました。


アルミ押し出し枠の行灯看板がなれければ通り過ぎてしまいそうな、
街角の古いクリーニング屋さんのようにも映る建物。
其処が廣東餐館「鳳飛」であるらしい。houhi01小さな白い「営業中」の札。
店先を竹箒で掃くお姉さんに軽く会釈をしてから、
観音開きの扉を引き開けます。

おひとりさまは、紅いカウンターに並んだ紅い座面の椅子のひとつに。houhi024人掛けのテーブルは、各様にお客さんが占めている。
奥にひとつ、小上がりのような座敷が覗いています。

正面に見上げた食器棚の上には、招き猫がずららっと。
中には、黄金色の猫もクイクイッと福を招いてる。houhi03おいでおいでしている腕は、右のものと左のものと両方あり、
よく見ると、耳より高いものと低いものがある。
どうやら、右手は金運を招き、左手は人や客を招くもので、
高くあげているものは、遠方の福を招き、
低くあげているものは、近場の福を招くという意味合いがあるようです。

瓶の麦酒のお相手にとお待ち兼ねの「焼売」がやってきました。houhi05所々に木耳のような茶褐色がちらほら覗く。
天辺に芥子をちょんと載せて、酢醤油でいただけば、
はふはふと口の中で転がす中から、慈姑(くわい)のものらしき歯触りがする。
うん、よいね。

麦酒もちょうど空いてしまったので、
お食事にしようと「椒醤酥鶏(からし鶏)」に御飯、
50円也の「蛋花湯(玉子スープ)」をお願いします。

やってきたのは、「オレンジ色のニクい奴」(古!)。houhi06少し顔を近づけてみると、柿子色を発色している正体はやっぱり、
星の数ほどに鏤められた赤い粒子たち。
それらを含んだ粘度の高いあんが、
排骨と同じように揚げた鶏肉にたっぷりと掛かってる。

うんうん、ひりっと酸っぱ辛いあんが、
サクッとした衣に包んだ鶏の滋味をぐいっと引き寄せて、イケる。houhi07あ、でも、ひりひり、ひりひり。
想定以上の辛さの余韻がずっと続いて、汗がどっと噴き出してくる。
ひーご飯ゴハンと、白飯をかっ喰らいます(笑)。

汗を拭き拭き、もう一度眺める御献立表。
他にも、「炒雑砕(かやく煮付け)」とか、
「炸裡脊肉(豚天ぷら)」「焼蝦巻(春巻)」等々も気に掛かるものの、
麦酒の所為もあって、お腹は充分だ。


京の紫野下鳥田町、堀川通りの暗がりに廣東餐館「鳳飛(ほうひ」がある。houhi08かつて加茂街道紫明にあった「鳳舞(ほうまい)」という、
広東料理の店で修行したご主人が、
「鳳」の1字をいただいて切り盛りされているらしい。
地元に根付いて、如何にも落ち着いた風情がまた良いのであります。
北大路通り沿いの「白雲(はくうん)」とはご兄弟のようで、
店内の間取りも同じらしい。
今度は、そちらにも行ってみたいな。


「鳳飛(ほうひ)」
京都市北区紫野下鳥田町37-1 [Map] 075-493-5025

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