
それはまだ、残暑厳しき長月初旬の頃。
千住新橋のグラウンド越しに荒川に臨む土手に面して立つ、放送大学の東京足立学習センターへ。
特別講演会として企画された「南の島の古謡の魅力」にお誘いいただきました。
それは屋久島の古謡にみられる琉球旋法について、と題するゆったりした講義や奄美の島唄等を合わせたミニコンサート。
思い浮かべるのは、
元ちとせや中 孝介が謡う独特な歌回し、
THE BOOM、BEGIN、夏川りみ等の「島唄」の空気感、
角松敏生とデュエットしている下地勇唄う方言と独特の音階、等々。
そんなこととも繋がって、愉しく面白いひと時でありました。
夏祭りの神輿賑わう旧日光街道を後にして、
様子窺いするように急遽寄り道したのが、押上の駅の上。
すんなりと展望台へと上がれるならばと思ってみたものの、
やっぱりそれまで三時間待ちとなる。
ならばと、ツリーが建つまでの押上の町を散策しようと、
ツリーの前を流れる北十間川を渡ります。
そのまま浅草通りを渡って往くと、早速気になる暖簾を見つけました。



暖簾の隅には、”洋食”の文字に並べて”和食”の文字。
そのままその光景をちょっと遠巻きに眺めてみると、
それまでの押上・業平とその背後のツリーとのなんとも云えないコントラスト。
ツリーが如何に忽然と聳り立っているのか、よく判ります。
時間は何気に早いけど、営業中の札を確かめて、
暖簾の奥へといざ、お邪魔する。

カウンターのみの一階に、
如何にもおっとり優しそうなオヤジさんが迎えてくれました。

スツールに腰掛けて、上げた目線で見つけたのは「玉葱ハイ」の文字。
なんでも玉葱の皮を煮出した汁で焼酎を割ったもの。

少々試すような心持ちで、そっとグラスを傾ける。
あ、お、ずっと遠くに唐黍の香ばしさを潜ませているような、
そんな感じもしてすきっと吞み易く、結構お気に入りかも。

「ポテトサラダ」をつまみつつ調理する様子を眺めていたのは、
「スパゲッティナポリタン」。

フライパンに湯を沸かし、やや細めに思う麺を湯掻く。
本当は茹で置きの太めの麺が望ましいのだけど、
それはちょくちょく同じ注文が入る環境のお店でのこと。
そしてまた別のフライパンを取り出して、具材を炒め、湯切りした麺を投入。
ケチャップなどなどで味付けが進みます。
茹で立てナポリタンとしては、なかなかの出来でしょか。

ほんのもう少し、ケチャップ色が明るくなるまで炒めてもいいかなぁとも思うけど、
それは茹で置き麺によりマッチする事柄なのかもしれません。

日を代えて、でも同じ「玉葱ハイ」から「生姜焼き」。
バラとロースとあるうちのバラを選びました。

溶岩流のようにもみえるのは、
おろした生姜がタレにたっぷりと含んでいるから。
辛めの醤油と生姜の辛味香気でキリっとしたタレと豚バラの脂の甘さと。
しゃっくり歯応えの玉葱も一躍買っています。
季節は巡って冬真っ盛り。
メニューに11月から3月迄と但し書きをつけて、
「カキフライ」があるのを忘れてはいませんでした(笑)。
またまた「玉葱ハイ」をいただいて、傾けたグラス越しのホワイトボードに、
「かきのソテー」を発見しちゃう。

添えてくれた檸檬スライスを搾らずとも、
全体にそんな酸味とバター風味がさらっと施されている。
ブリっとした食感に炒め上げられていて、うん、イケる。
「かきのソテー」で「玉葱ハイ」を空けてから、続けざまに「カキフライ」も所望する。
オヤジさんに「カキお好きなんですねぇ」と云われちゃった(笑)。
届いた「カキフライ」は、お造りも載りそうな角皿に横一列でやってきました。

なるほど、洋食和食と暖簾に掲げるだけあるなぁと妙なところに感心したりして。
衣のボリュームもそこそこないと衣と牡蠣の身との良好な渾然は生まれない。

広島の牡蠣だろなぁと思いながら訊けばなんと、三陸からのものだそう。
スカイツリー真下の下町に洋食和食の暖簾「キムラヤ」。


浅草通りの横断歩道から振り返ると、あれ?っと思うことがある。
角にある紅いテントの店が”やきたてのパン”「キムラヤ」で、
その左隣が”大衆酒場・酒房”「キムラヤ」。
洋食和食「キムラヤ」は、甥っ子が本家の裏手で営むお店でもあるようです。
その威容に思わず何度も見上げては、
やっぱり写真の一枚も撮りたくなるスカイツリー。

実は未だに展望台からの眺望を拝んだことがないのは、内緒です(笑)。
「キムラヤ」
墨田区業平1-10-4 [Map] 03-3624-6444
column/03345