
連れられるまま渋谷西口から歩道橋を渡り、
楽器店のディスプレイを横目に桜丘の急坂を登る。
春には桜並木となる、さくら通りだ。
この辺りの寿司屋に寄ったことがあったっけなぁと思いながら、えっちらおっちらと(笑)登る坂道。
その坂の中頃のビル地階にあるのが、
「RISOTTOCURRY standard」。
カレーリゾットか、はたまたリゾットカレーか。
あれ?今夜はカレーハウスで呑むのかな。
地下への階段を降りていくと、壁に店名の切文字。
ワイングラスとスプーンのシルエットが添えてあります。
訊けば、「RISOTTOCURRY standard」は、代田にある「世田谷BAL」の2号店。
“リゾットカレー”は、その「世田谷BAL」が町内のバーで競うカレー大会に優勝して名を広めるきっかけとなったお皿らしい。
入口から右に向かってカウンターが奥へと伸びる。
ガランととせず、このくらいの小じんまり感がいいのだよね。
混雑の予感から入れておいてくれた予約に配慮をいただいて、
入ってすぐのカウンター角っこに席を得ました。
まずは辛口スプマンテで口開き。


メニューには野菜を軸に山のもの海のもの、
豚や鶏を織り交ぜた酒肴がラインナップ。
素直に、上に下にと目が泳ぎます(笑)。
定番の野菜のトマト煮込み「いろいろ野菜のラタトゥユ」は、

とろんとした野菜たちの食感と優しい酸味。
続いて届いたこんもりは、
「フレッシマッシュルームのアンチョビビネガーオイルがけサラダ」。

八丁堀のイタリアンワインバーでは、フレッシュなマッシュルームをそのまま囓る愉しさを教えてくれたけど、それをここではビネガーオイルでわしわし食べちゃう仕立て。
面白うまいぞ。
ワインのグラスをもらうには、あまり小難しいことは勿論考えず、
ちょい辛口でとか、酸味ほどほどのヤツでとかをおねえさん、おにいさんに伝えればよい。
たまたまそのボトルの5杯めになったなら、ボトルの残りすべてをグラスなみなみに注いでくれるラッキーが待っている。
「世田谷BAL」と同じ、なんてことはないけど妙に嬉しい瞬間だ。
フルーティな感じの白を所望してむかえるは、
「ほうれん草とチーズのフワフワオムレツ」のお皿。

チーズが芳ばしくもふわりと迫る逸品です。

グラタン小皿で登場は、
あつあつ「ひよこ豆とソーセージのチリビーンズ」。

熱々のチーズの蓋の奥から湯気と一緒に探り出したひよこ豆のほっこり。
あんまり沢山でないのが、逆に良かったりもするのがココの料理の表情だったりするのです。
気がつくと、20席弱のカウンターはみっしり満席。

次から次へとやってくるひと達が店内を覗き込んでは、
皆一様に、うわ〜一杯ぃ〜という表情をするのが面白い(笑)。
ちなみに、連絡先を伝えれば、席が空いたところで知らせてくれます。
きっと誰もがむほほと笑顔になるのが、
「エビのガーリックオイル煮 ガラムマサラ風」。




沸き立つガーリックオイルを沁み沁みにしたバゲットに海老を載せてカプリとすれば、
ああ、旨い(笑)。
他にも「くるみとレーズンの冷製ミートローフ」や「豚肩ロースのとろ〜りチーズとバジルのカツレツ」なんかを平らげて、ワインのお代わりを繰り返す。
うん、いい感じ。
そろそろ一旦シメましょうかと、店名に冠したお皿をいただくことに。
「カレーリゾット」というと黄色いカレー粉を織り込んだリゾットだと思うところ、
お皿を目にして「そーきたか!」。

お皿に表現されているのは、純白と赤褐色のコントラストだ。
片やパルメザンチーズのクリーミーリゾットで、
その一方は、鶏肉トマト煮込みのカレーソース。

リゾットの部分だけを掬っても愉しめるし、
勿論酸味の利いてさらっとコク味のカレーソースと混ぜてイケる。
しかもコレをツマミにまた呑めてしまうという(笑)。
人気バル「世田谷BAL」が気取らず驕らず繰り出した2号店、
その名も「RISOTTOCURRY standard」。

お皿としての鮮度を思う料理たちに気の置けないグラスのワイン。
柔らかな応対のシェフ、スタッフとのカウンター越しの距離の近さが心地いい。
その足で、本店とも云える代田の「世田谷BAL」の片隅へ。

小さな小さなバルの狭さが及ぼす凝縮した空間とその一体感がこれまた心地いい。
渋谷のバルの空気感は、ここの雰囲気が活かされたものだったのですね。
「RISOTTOCURRY standard」
渋谷区桜丘町16-8 桜丘ビルB1F [Map] 03-6416-3604
http://www.risottocurry.com/
column/03208