
所沢では毎年、その名もそのまま「ところざわまつり」という山車祭りが行われています。
山車を牽くお祭りは、4年に一度くらいの頻度だった気がするのだけれど、今は毎年のことになっているそう。
10基の山車の曳行と重松流と呼ばれる祭囃子。
旧町を貫く銀座通りを埋める屋台村になんとサンバカーニバルまでもが繰り出すらしい。
いつも近くの公民館から聞こえていたお囃子が、山車の上から調子よく。

ひょっとこ面の舞も堂に入っています。
銀座通りの屋台のどこかでちょっと何かをいただいちゃおうかと通りに出てびっくり。
想定外のひとの多さに、怖気づく(笑)。
そそくさと通りを離れて、駅へと向かいます。
それにはちょっとした理由もあって、久し振りに所沢の駅そばを啜りたいと思ったから。

いつからそこにあるのでしょう。
川越へと向かうホームの真ん中辺り。
跨線橋へと登る階段と階段の下に立ち食いそば処「狭山そば」。
果たして自身何杯目になるかなぁ。
ここに来たらやっぱりと、思わず口をついて出るのは「天玉そば!」。


出汁の香りと掻き揚げの油の匂いが交雑して、食いっ気を誘います。
両手にしたどんぶりをちょっと傾けて、ちゅるっと汁を啜る。
特段上等な仕立てでも勿論ないのだけれど、ずっと変わらぬ味わいにノスタルジックな安寧を思うのです。
掻き揚げの脇から箸の先を突っ込んで、
玉子の黄身を揺らしながら引き上げるそば。

だからどうということもないものの、
きっと恐らく市内のどこかの製麺所で作っているのだと勝手に思い込んでいる。
挽きぐるみの風情を一抹漂わせつつ、素朴に粉の風味で啜らせる。
ああ、こうでした、こうだった。
時には、「きんぴら天」でうどんをいただく手もある。

最近は、「春菊天」なんてのが新登場しているのだなぁと頭上の品書きを見上げては、
きんぴら天を箸先で解す。
武蔵野うどんの土地なのに、うどんそのものはちょっと愛想がない感じ。
ここ「狭山そば」では、その名の通りおそばの方がおススメだ。
古びたホームで沢山のお腹を満たしてきた、所沢駅「狭山そば」。

電車が到着する度に、どんぶり手にする背中が並ぶ。
大改修工事中の駅だけど、この一角はずっとずっとそのままであって欲しい、
そんな光景です。
「狭山そば」所沢店
所沢市日吉町1-11 西武池袋線ホーム [Map] 04-2925-8552
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