沖縄宮古そば「くち福」で あの島を想う宮古そば麺にスープに

kuchifuku.jpg都内で沖縄そばを出す店は、 沖縄料理店の数だけあると考えてしまうのが単純だけど、きっとおよそ間違いじゃない。 そうすると、かなりの数の店で沖縄そばを啜れるということになるね。 でも、八重山そばや宮古そばを出す店となると途端に稀になる。 そんな、珍しくも宮古そばを出すお店が学芸大学にあると知ったのは、まだ残暑がしつこく居座る頃でした。
西口から商店街を真っ直ぐ進んで、 「餃子の王将」の行列を横目に過ぎたところにあるのが宮古そば「くち福」だ。 狭い間口の引き戸の硝子越しに、5脚ほどの丸椅子が窺えます。 kuchifuku01.jpgこんばんはと鼻先を店内に入れると、 豚出汁と鰹の合わさったどこか懐かしい匂いが擽る。 真ん中の丸椅子に座り込んで眺めるメニューは、シンプルに3種類。 「ソーキそば」に「宮古そば」、そして「野菜のせそば」。 まずは「宮古そば」をいただこうかな。 角煮二枚にかまぼこもふた切れ、そして紅生姜と刻み葱が彩り。kuchifuku02.jpg澄んだスープは、素朴にすっきりとした旨みとコクを湛えていて、いい。 なるほど、ややつるんとした表情のちょい平打ちの麺は、 沖縄すばのそれでも八重山そばのそれとも違う。kuchifuku03.jpg訊けば、その麺を始め、ほとんどの材料を宮古島から空輸しているのだという。 かまぼこなんかは足が早いので、島のものとは少し違う仕立てにしているそうだけど、なんちゃってではない島のそば風情がちゃんとある。 当地のそばは、老舗の「大和食堂」と池間島方面のお食事処「すむばり」の二軒しか知らないけど、ね(笑)。

日を変えて今度は、「野菜のせそば」をいただきました。 キャベツ、人参、玉葱にソーキやソーセージの端っこをフライパンで炒めてのせた、これまたシンプルなどんぶり。kuchifuku04.jpgあくまであっさりしながら、ちゃっかりと深みのあるスープは、 そんな野菜炒めにもすんなり馴染みます。 kuchifuku05.jpg卓上の「ヒバーチ」に竹富島の「竹乃子」を思い出しつつ、 少し振れば、またちょっと違う風味が愉しめます。

敢然と宮古そばを供してくれる稀な店、学芸大学「くち福」。kuchifuku06.jpgもう最近は潜ってないと仰る大将だけど、カウンターには宮古島のダイビングスポットを紹介する冊子が置いてある。 ああ、そう云えば、宮古島では有名ポイント「通り池」にも潜れていない。 あの島にもまた行かなくちゃ、だ。 口関連記事:  そば・軽食「大和食堂」で 麺の下の具宮古そばの原風景(09年07月)  お食事処「すむばり」で 島蛸柔らか磯風味のすむばりそば(09年07月)  そば処「竹乃子」で 啜る三枚肉そば南の島の風雅(08年07月)


「くち福」 目黒区鷹番3-18-21[Map] TEL非公開
column/03051