恵比寿某所の園山さん家。
気がつけば、彼女のおウチにお邪魔してから、
早くも一年ちょっとが過ぎてしまっていました。
既に勝手知ったるルートを巡って辿り着く飛び石のアプローチ。
きっと柔らかく温かく迎えてくれる。
そんな、不思議な安心感が蘇ります。
「どうも、こんばんは~」。
今回は、玄関入って左手の、厨房に正対するカウンター席。
園山さんや料理長をはじめとする女性スタッフが滑らかに立ち動いています。
葉月の「園山」の口開きは、
モロヘイヤと豆乳の擂りながし。
口腔をすっきりとさせながら、さあ食べるぞー気分をさらにぐぐんと引き上げてくれます。
金魚な人参を載せた、おからと角切り長いものポテトサラダで、
くぴっとビールを干した後。
すっとテーブルに置かれたのが、トウモロコシとウニの冷たい茶碗蒸し。
濁りのない玉蜀黍の甘さと雲丹の澄んだコク味が心地いい、であります。
およそ八寸の丸皿に盛り付けられてやってきた七種の前菜たち。
俯瞰してみると、ウインクしているピエロのようにもみえる(笑)。
粟麩の胡麻だれ焼きに蛸の梅煮、茶巾にした南瓜に、
炙ったカマスを載せた寿司なぞ。
赤酢色鮮やかな酢飯に柑橘注す、カマスの脂が乙であります。
いただいた焼酎は、”園山オリジナル”と謳う熊本の「いも姉妹(しまい)」。
イモねーちゃんじゃないよ(笑)。
米の娘豚(こめのこぶた)という山形のブランド豚を塩煮して、
そこへトマトを添えて。
まさに、とろんとした脂の甘さが不思議に軽い。
穴子と炊いた冬瓜の天ぷらは、桃のソースとバルサミコ醤油でいただきます。
時季のものといえども、天婦羅に桃のソースをというのはどうかなぁと思いつつ、
カラッと揚がった衣に音たてる。
なるほどとセンスが光るのは、
桃のソースだけでなくバルサミコの酸味風味も添えているところ。
フルーティな甘さを嫌味なく引き立てて、
穴子の旨みにくっきりと輪郭を与えてくれているようです。
味滲み沁みに柔らかく炊いた皮つき人参や半切のじゃが芋がどどんと存在感を示すのは、
前回もいただいた「園山」名物の肉じゃがだ。
すすっと軽くふた口でいただくのは、
夏蜆(シジミ)の出汁で炊いたという、秋葵(オクラ)と黒豆のご飯。
続くも、ご飯さらさらの冷汁かと思ったら、
胡瓜や茗荷のトッピングの下に白い麺が覗いてる!
ありそでなさそな、そんな冷汁仕立てのそうめんは、魚の出汁がしっかり丁寧に出ていて、味噌と胡麻の風味がこっくりとしながらも涼味満点。
いいなぁ、うまいなぁ。
ご飯入れたヤツももうひとくちだけ!と我儘を云って(笑)。
デザートのプレートには、これも「園山」定番の黒豆豆乳プリン。
黒豆は、園山さんの故郷、島根の黒豆を使っているそう。
繊細に滑らかなコクにしみじみ、そしてニッコリ。
添えたシフォンケーキは、玉蜀黍の。
オレンジビーツのソースを垂らした”ういろう”仕立ては、唐柿(トマト)だ。
あははは、幸せな満腹感にお腹を擦ります。
優しい満腹感で気持ちまでも満たしてくれる、
隠れ家家庭料理割烹、「園山」さん家。
「ただいま!」と思わず口走ってしまうほどに、こっそり頻繁に通いたい(笑)。
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column/03020