揚げものの予感から、ワインリストから選んだのが、ラングドッグ、ドメーヌ・アントニャックの「La Closerie Lys Les Furuitieres」。 メルローをメインに、シラー、カベルネフラン、グルナッシュでバランスをとった、心地いい飲み口のミディアムボディだ。 そして、そこへ登場したのが、今宵のメインディッシュ、謂わば「廣田のカキフライ」。俗に呼ぶ「カキボール」が健在であるのが、なんだかとっても嬉しい。 初めて目にした時の驚嘆までの驚きはさすがにもうないけれど、やっぱりこの異形牡蠣フライは、感嘆に値する。 そんな牡蠣フライをトングで掴めば、なるほどの重量感。 こんなに重たい牡蠣フライが他にあるでしょか(笑)。 ただ、檸檬を搾っただけのカキボールへは、齧りついたりはせずに、半切にするようにナイフを入れていく。 しっかりした外殻の衣があっけなく割れれば、立ち上る湯気。解れて顔を出す牡蠣、カキ、かき。 三陸産の小さめの牡蠣を15から20個使っているンだそう。 小さめの牡蠣を使っているからこそ、より凝縮感のある牡蠣が堪能できるという仕立てになっているんだ。 やっぱりいいなぁ。 やるなぁ、「廣田のカキフライ」・ 添えてくれた千切りキャベツも何気に旨いことも特筆しておきましょう。 続くお皿には、「地鶏のグリルと牛頬肉の煮込み」。 まずは、ほろほろと柔らかに煮込まれたホホ肉にニッコリ。 赤ワインに合わない訳のない、という逸品は、赤黒いだけともとれる肉片に至るまで、意外なまでに丁寧な時間がかかっているのかもしれません。そして旨味迸る地鶏の身とクリームのソースの取り合わせもセンスを感じさせる美味しさだ。
シメのところで、「牛肉とペコリーノチーズのパスタ」。柔らかくも滋味深い牛のレアなところにたっぷりとチーズの雪が降り積もる見栄え。 改めて全体をひと和えすると、どこかジャンクですらあるまぜ麺的表情が顔を出す。 肉に負けない平打ち麺とソースの力強さにグイと魅きつけられて、うんまいとまたニッコリだ。
カジュアルにして実力派な「ワイン食堂」が「ポットリー」の夜の顔。ふらっと寄って、カウンター。 グラスのワインで、お任せで合うものをいただいて、すっと帰る。 そんな使い方もいいのじゃないかな。
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「ポットリー」 品川区東大井5-1-1-103[Map] 03-3740-0885 http://www.bronet.jp/pottery/
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