Cucina Italiana「La Fenice」で南部せんべいで青森イタリアン

lefenice.jpg振り返れば、一年半ぶりの日本橋小舟町。 人形町駅から目指すのは、 青森食材を取り込んたイタリアンを供するトリコローレ、「La Fenice」。 前回は、青森食材の「肉」あれこれを堪能させてくれたっけ。 そして今夜のタイトルは、 「せんべいでイタリアン」。 なんと、せんべい汁で有名になった南部せんべいとイタリアンを融合させてしまおうという試み。 どんな世界が繰り広げられるのか、愉しみ楽しみ。
まずテーブルに運ばれてきたのが、雪のせホットアップルサイダーのグラス。 青森県観光物産館「アスパム」で初めて出逢った「ホットアップルサイダー」のテーブルには、シナモンなどの香りづけなどと一緒に生クリームのチューブが用意されていて、お好みで「雪のせ」してみるのもいいですよ、と浪岡のオカアさんも勧めてくれたのを思い出す。 それは「ホットアップルサイダー」にチューブの生クリームを浮かべて啜るという趣向だったのだけど、自分で搾った生クリームとアップルサイダーのバランスが難しくて、そのままストレートの方がどちらかというと美味しいかなぁと思っていました。 ま、それは飲食店での販売ではないという限界があってのことなのだけど。 対してこのグラス。lefenice01.jpg無農薬レモンとミントの仄かな香りと滑らかに溶いた生クリームによって、より気品のあるアップルサイダーにすっかり昇華していて、美味しくも感激の一杯になっている。 レモン由来とも思える酸味が青森林檎の甘さを引き立てていて、それを生クリームが丸く包み込んでいる感じ。 lefenice17.jpg そーかー、いつもは温めるだけのストレートで愉しんでいる「浪岡アップルサイダー」だけど、今度新しい一本を買ってきて、”雪のせ”にもしてみよう。 青森シャムロックの自家製スモークや青森県産の帆立貝やアピオス、アイスプラントといった青森野菜のバーニャカウダなどを盛り合わせた前菜のお皿に添えてくれたのが、胡麻、松の実、ドライイチジクを挟み込んだ自家製のてんぽせんべい三種。lefenice02.jpglefenice03.jpglefenice04.jpg 「てんぽ」というのは、半生のもひちっとやや柔らかいタイプのせんべいのこと。 シェフは、せんべいを手焼きする南部鉄器製の焼き型を持っているそうで、こうしてせんべいを手焼きするのってなんだか楽しそう。 続くお皿が、お酒のツマミにも素朴かつ王道だと思う、南部せんべいにあれこれのっけていただいちゃおう作戦、イタリアン版。 大好きなレバーだよね(笑)、と覗き込んだ南部せんべいには、青森シャモロックの白レバーペーストがたっぷり。lefenice05.jpg素直で濁りなきレバーの風味のまったりとぱきっとしたせんべいの歯切れがなかなかの名コンビで、これからレバーペーストをいただくときにはバゲットやクラッカーの代わりに、南部せんべいを用意するのが定番になったりして、なんて思ったりする。 その他の円盤には、八戸前沖銀鯖のタルタルと同じく銀鯖の青森にんにくソテー。 八戸初訪問の際の「サバの駅」を思い出す、八戸前沖銀鯖。 船上で急速冷凍した脂ののった鯖をその鮮度のままルイベからタルタルに。lefenice06.jpg鯖の魅力をそのまま活かしたタルタルが、せんべいブルスケッタを格調あるものにしています。 のっけちゃおう作戦のその先にはやっぱり、ピッツァもある(笑)。 南部せんべいのピッツァ三種は、定番マルゲリータに「青森りんごとゴルゴンゾーラ」、「あすなろ卵のビスマルク」。lefenice07.jpglefenice08.jpglefenice09.jpg まずマルゲリータで、ピッツァとしての違和感のほとんどないところにニヤリ。 青森林檎「富士」とゴルゴンゾーラとの好相性には胡麻風味のせんべい。 ビスマルクにしている「あすなろ卵」は、以前この店でいただいた「緑の一番星」もそのブランドのひとつとなる、仄かに緑色をした殻も印象的な青森の玉子だ。 いよいよやってきたのが、せんべいの汁モノbyイタリアン。 その名を「南部せんべいのみみとシャモロック、青森野菜のミネストローネ」。lefenice10.jpgこれがね、素直にね、うまいのですよ。 シャモロックがいい出汁を生んでいるのか、野菜の甘さ優しさとトマトの柔らかな酸味の解けたスープに旨みがたっぷり。 そこへせんべいの耳だけを軽く煮込んだものが浮かぶ。 もっちりとアルデンテを併せ持ったショートパスタのようで、スープによく馴染みつつ面白い食感を伝えてくれています。 このスープには八戸のせんべいではなく、三戸タイプの薄くてサックリしたものを使っているそう。 あれこれのっけなどしていだたくものと、せんべい汁に入れるものとは基本的には別のものなんだそうだ。知らなかったなぁ。 lefenice11.jpg
そして、南部せんべいをパスタに使ったメニューがもうひと品。 八戸産のヤリイカと陸奥湾産の帆立を具材にしたボロネーゼのラザニアだ。lefenice12.jpgなはは、南部せんべいは、こうも違和感なく、かつ新しい食感のラザニアに変身できるのだね。 なんだか、イタリア人に食べてもらって感想を訊いてみたくなってくるぞ(笑)。 いわゆるメインに当たる肉料理が「南部せんべいを纏った奥入瀬ガーリックポークのコトレッタ、南部せんべいのピューレと南部せんべいのソースで」。 lefenice13.jpgカツレツの衣のベースに細かく砕いたせんべいを使っていて、それが薄く繊細な表情をみせています。 さすがにカラッと鮮やかな揚げ口にはなりにくいンだろうなと思いつつ、ポークと衣の一体感あるテクスチャに感じ入る。 カツレツの右手と左手に別々のソースが用意されていて、それがなんと、南部せんべいを使ったピューレとソース。lefenice14.jpgちょっと拘り過ぎ?他にせんべい衣のカツレツに相応しいソースがあるかも?という思いと、よくぞここまで考えてくれました!という感慨とが頭の中で交錯する。 ピューレをカツレツに載せていただけば、あ、オートミールのような、せんべいをタルタルでいただいているような、そふいふことではないような(笑)。 デザートは、三種類の自家製ジェラートを南部せんべいで挟んだもの。lefenice15.jpg鮮やかな紅のフランンボワーズに有機レモン、そしてバニラ。 なるほどそうくるよね、ってことでもあるけど、ウエファースなどに代わって食感を添える材料としてメニュー開発の余地がありそうな、そんな気もするね。


青森は七戸ご出身のシェフが奏でる青森食材イタリアン「La Fenice」。lefenice16.jpg今宵のテーマは、南部せんべいと青森食材によるイタリアンのアンサンブル。 南部せんべいがやっぱり汁モノには直截に魅力を発揮してくれることを教えてくれるとともに、その食感を活かして、アナンティパストにパスタの新機軸に、メインやデザートの副材に取り入れることの可能性を示してくれました。 主催の皆さん、ご同席の皆さん、ありがとうございましたー。 お土産に、「アスパム」で買い込んできたのと同じ「八戸沖秋さばの水煮缶」をいただいたので早速、南部せんべいのっけ、してみる。lefenice18.jpg八戸「ハーモニカ横町」の「DA介」でいただいた「さば缶せんべい皿」を思い出しながら。


Cucina Italiana「La Fenice」で青森食材の宴いざいざ青森(08年09月)  寿司と地魚料理「サバの駅」で 八戸前沖プレミアム銀サバづくし(09年10月)  豚ホルモンの店「DA介」で 横丁情緒と北日本もつ鍋ぞうせん(09年10月)  ラーメン「まるかい」で 煮干し醤油ラーメン澄んだ中の旨み風味(10年01月)


「La Fenice」  中央区日本橋小舟町15-17 協栄ビル1F[Map] 03-5651-7023
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