京寿司「祇園いづ重」で鯖姿寿司と鱧そぼろの箱寿司鯖の肝旨煮

idujyu.jpg八坂神社西楼門の目の前という立地ゆえ、どうもあからさまな観光スポットのひとつのように思えて、気になりつつもお邪魔することのなかった「祇園 いづ重」。 向かって左手の硝子越しでは、「鯖姿寿司」を筆頭に「箱寿司」「巻寿司」「小鯛笹巻」「海藻巻」「サンマ巻」「粟麩巻」といった京寿司がディスプレイされて、覗き込むひと達を誘っています。 ふと、ちょっと呑んでお腹を満たすのちょうどいい機会かと思い付いて、茜色の暖簾を払う。 奥でいただけるんですよね、と訊くと、ハイでもただいま満席ですのでお待ちください、と火鉢の脇の長椅子へと掌で促してくれました。 「く」の字を描くように奥へ進む、その両側は格子の壁。idujyu01.jpg能の謡か科白かを貼り込んでいて、 古色を含む雅な空間になっていて不思議に落ち着きます。 idujyu02.jpg店頭の品書きも念頭に、テーブルで睨むお品書き。 兎に角「鯖寿司」は外せないのだけど、一本はもとより半本でも「鯖姿寿司」だけだと飽きちゃうかもですよ、と小声でアドバイスしてくれる姐さん。 ですよね~と応えて、となれば、京寿司の組み合わせモノが相応しいのでしょう。 では、組み合わせ「鯖とぐぢ」では訊くと、「ぐぢ」が売り切れ(泣)。 気を取り直して、お願いしたのが「鯖と箱」であります。 ちょこっとお酒をいただいて、そのお供にとなにかと改めて品書きを眺めつつ、 何気なくちら見した柱の貼紙に「鯖の肝旨煮あります」の文字。 ほー、きっとそれは、いいんでないの(笑)。 姐さんは、はいよってな調子で注文を受けてくれ、さっと届けてくれた鯖の肝。idujyu03.jpgその姿のままでありながら、パテにした鶏レバーに似た柔らかなコクを思う食感と味わい。 こりゃ、まさにお酒がすすんで困る、って奴だね。 そしてタイミング良くやってきた、「鯖と箱」。idujyu04.jpg「箱寿司」は、つまりは押し寿司で、小鯛、とり貝、えび焼身、厚焼き玉子、椎茸の押し寿司を碁盤の目にパッチワークしたかのように艶やかに箱に収めたものが「上箱寿司」のスタイルらしい。 組み合わせの「箱」は「並箱寿司」で、この時季は活き鱧で拵えるもの。idujyu05.jpg鱧のそぼろがほの甘く香ばしい。 酢飯とよく馴染んで、シンプルな姿に一種の手練を思わせます。 その背後に控えるは、対馬産鯖による「いづ重」名代「鯖姿寿司」の三片。idujyu06.jpg「昆布はとってから召し上がってください」ということで、やや粘りをみせる昆布をその周りから剥がすと、鯖らしい銀の縞模様が姿を現す。idujyu07.jpg切れ味潔い断面を愛でながら喰らいつくと、うん、旨い(笑)。 鯖らしい風味が丸く柔らかく凝縮していて、角なくこなれた酢飯との一体感もいい。 半本くらいお土産に買って帰ろうかしらん。 「いなり」も気になる、祇園石段下京寿司「祇園 いづ重」。idujyu08.jpg初代が奉公先の「いづう」から暖簾分けを許され、明治の末に創業したという老舗。 その「いづう」との食べ比べもしてみたいな。 「祇園 いづ重」 京都市東山区祇園町北側292-1 [Map] 075-561-0019
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