
格子戸の向こうは、お約束のカウンター。
厨房を覆うかのように、品札がびっしりと吊るされているのに、ほう、となる。
ひとまず麦酒をいただいてから、どれどれとその品札を見回すと、それもこれもと迷うことになる。
こりゃいかん、収集がつかなくなりそうだ(笑)。

そんな迷いを「刺身盛り合わせ」で収束を図る。
新子や白いかに、うんうんと頷いて、早くもお酒を替えなくちゃ、とそんな気になる。
今夜は、芋焼酎の水割りで攻めることにして、小田原の「豆あじあぶり」。
皮目の香ばしさと仄かな苦味、凝縮した旨味がやっぱりいいのだなぁ。
塩焼きは勿論、刺身もいいのが時季真っ直中のさんま。
それをここでは、なめろうにもしてくれるということで、「新さんまのなめろう」。
食感を残しつつ、滑らかにタタいた加減が繊細で、味噌がふふんと香って、いい。
碧が鮮やかで、瑞々しさを思うは、「新ぎんなん」。
やっぱりもう、秋なのですね(笑)。
「合鴨つくね」は、ほろほろと鴨の風味がタノシメる、串モノ。
タレが強すぎず、合鴨の旨味を後押しする感じが、いいのだなぁ。
煮付けはなにかないかなぁと改めて品札を見上げて見つけたのが、
「天然真鯛かぶと煮」。
お皿の上で、左右対称に、まるで互いにそっぽを向いてるように置かれた鯛の頭。
外向きじゃなくて内向きにしたら、なんだか妙で笑っちゃうのかも(笑)。
頭だけなので、食べるところがほとんどないかと思わせておいて、それがどうして、そうでもない。
ふんわりとした身や目ん玉の裏っ側辺りをホジホジして、愉しむのであります。
何杯めかの芋水割りを貰って、そのお相手に「さばのへしこ」。
強すぎない塩と糠の風味を大根のスライスで馴染ませるようにいただけば、あららこれは、燗酒を呼んでいる。
そこへ、そんな手もあるよね、と「極上鯨ベーコン」。
もしかして石油製品?と思うこともある鯨ベーコンのイメージを翻すような食べ口で、この食感をどう表現すればいいだろう。
北海道の「赤ほやの塩辛」をお願いすると、これにのっけてイクのがいいと「新じゃが塩ゆで」を添えてもらう。
ふーんと思いながら、云われるまま茹でたての新ジャガの上に、塩辛を載っけてみる。
なはははは~、塩辛の塩っ気と発酵の旨味と磯っぽさが、ジャガ芋のほっこりと妙に合う。
いいね、いいね。
そして最後は汁モノをと、「いわしつみれ汁」。
しっかりしたつくりながら、繊細に解ける鰯つみれに出汁のよく利いて、ゆるゆる、ふ~。
裏築地にひっそりと佇む、魚料理の酔い処「はなふさ」。
なぜに「はなふさ」かと訊けば、それは24年前のこと。
一緒に店を始めた仲間の名前にあった「英(はなぶさ)」から濁り(濁点)を除いたものを店の名に、としたのだそう。
お花やさんにありそうだけど、”花房”からでは?という予想は、見事に外れました(笑)。
築地王さん、ワシ・ブロさんのご同席多謝です。
口関連記事:居酒屋 「やまだや」 で驚嘆感心絶品佳品の酒肴たち(07年12月)
「はなふさ」 中央区築地7-14-7 [Map] 03-3546-1273


そんな迷いを「刺身盛り合わせ」で収束を図る。













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