column/02793 @800-
居酒屋「かてて」で 大分だご汁定食長崎ちゃんぽん仲間に入れて
ここ最近、閉めてしまう店、それと入れ替わるように開く新しいお店が増えている八丁堀界隈。
八丈島料理「えの味」もなくなってしまったお店のひとつ。
その後に、ほぼ居抜きの状態で開店したのが、
居酒屋「かてて」だ。
新大橋通り沿いの歩道から誘導しようというランチメニューには、大分、長崎なんて地名も並んでる。
開口一杯に大きく取った硝子の引き戸から窺うようにアプローチします。カウンターの上には、ほぼ端から端まで焼酎・泡盛の一升瓶が並ぶ。
全編が九州料理の店という訳でもないものの、九州の郷土色が強いなぁと思って訊けば、店主とその店主を手伝うお母さんが九州の出身なのだそう。
ランチメニュー筆頭で、「大分」と添え書きのある「だご汁定食」をお願いしました。
“だご”というのはきっと”だんご”のことだろう、そしてその団子というのは鰯かなにかの魚のつみれではないかいな、とそう想像したりする。
ところが、届いた膳に乗り出してみて、「あ、そふいふことね~」とやっとこ合点する。団子は団子でもつみれ系統ではなくて、小麦粉の団子。
それが根菜類の汁に浸っていて、つまりは「すいとん」の仲間とも云えそうだ。
出汁をゆったり味わえるように薄めの味付けに仕立てた汁に、平たい形に湯掻いた”だご”。
あくまで優しい味わいが郷愁を誘うような、そんな器であります。
「長崎」にも行きたいと、日を代えて。
長崎と云えばやっぱり、「ちゃんぽん」だね。
湯気を立て立てやってきた無機質ややモダンの白いどんぶり。
クリーミーなスープに炒めた野菜や蛸・海老などの甘み風味が溶け込んでなかなかイケる。
麺類の専門店ではないのに「とんこつは炊いてます」って云うのは、九州では当たり前なんだろうか。
他の料理酒肴にも使えるのかもしれないね。
啜る麺はというと、通常ちゃんぽんにみる丸い断面の麺と違って、平打ちタイプ。
「麺だけは沖縄そばの麺を使っているンです」と。
この辺りで九州料理の店としてすぐさま思い出すのは、九州めし処「じのもん家」。
東京にあっては結構な本格派ゆえ、そこと正面から競合するのは正直しんどいかもしれない。
そもそも九州料理の専門店をやろうという意図ではなくて、九州の郷土料理も店の個性として品書きに含むけど他にもあれこれ素朴な料理酒肴がありますよ、というあたりが居酒屋「かてて」のコンセプトなのかもしれないな。
季節のいい頃には大きな硝子戸を開け放して客を待つ、居酒屋「かてて」。
“糅てて”とは、九州の方言で”まぜて””仲間に入れて”という意味だそう。ふと、あまりに陳腐なキャッチフレーズが頭を過ぎる。
今夜は仲間を募って「かてて」に行こう!(笑)。
口関連記事:
島の恵み海の幸「えの味」で アジと地魚のたたき定食(03年05月)
九州めし処「じのもん家」で 塩とソースの焼ラーメン屋台の情景(09年04月)
「かてて」 中央区八丁堀1-12-4 那賀島ビル1F [Map] 03-3551-7999