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ソバール「アマンシオ」で 冷たい汁の肉そば温か汁で鶏そば
そういえば、あそこの「ピープル」って喫茶店にも確か、
ナポリタンあったよなぁ、ちょっくら食べてみようかなってことで、桜橋交差点方向へ路地を往く。
鍛冶橋通りに出る手前辺りで、なんとなく様子が違うのに気がついた。
改装したのかな、と「ピープル」の看板を探すと、その代わりに目に留まったのが「ニクソバトリソバ」と標す木看板。
あれあれ、なんかちょっと不思議な店に変わってしまっていたのだね。硝子越しにヒョウ柄ビキニのマネキン姐さんがひとりクールに立っている。
アバンギャルドに行きたい、にしても正直なんだかなぁとは思う(笑)。
入口は正面ではなくて、今来た路地のドアから入るようになっている。
そのドアの脇に小さなラーメン店でもたまに見掛ける券売機があって、「肉そば」「鶏そば」そして「大盛り」のボタンがある(「胡麻そば」「海苔そば」「もりそば」ボタンは×印)。
様子の分からないまま、「肉そば」「大盛り」の感熱紙チケットを手に、厨房の兄さんに渡します。
茹で置きなんかしてないようで、およそ注文を受けてから湯掻くので待ち時間、あり。
大きなステンの笊で受け、冷水でシメて、二人前かなと思ったそのソバ全部がどっさりとドンブリに投入する。
そこへさらに、煮込んだ牛肉、刻んだ葱、海苔をわさっと載せる。
ぐわー、大盛り、失敗ぃ~(笑)。
トレーを受け取り、
店内をロの字に占める、黒塗りの屋台風ともとれるカウンターに運ぶ。
笊の玉子と揚げ玉はご自由にどーぞーと背中に声が掛かる。
トレーをカウンターに置いて座り、改め眺めて、やっぱりこりゃ食べきれないかもと口走りそうになる。
なのに意地汚いさんは、ご自由にどーぞーと云われると、捨て置けるかとつけ汁に玉子を割り、ドンブリに用意されている揚げ玉をちょっと投入する(笑)。
割り箸でむんずと麺を掴むも、量感のある黒い麺は互いに絡まって取り出し難い。
どやって喰えっちゅーねん!と少々遣る瀬ない気分も、トッピングの白胡麻や刻み海苔が零れるのも無視して無理やり引き摺り出して、赤黒いつけ汁にどぷんと浸して、ずぼぼと啜る。
醤油塩辛く、辛味しっかりのはつけ汁は冷たいタイプ。
最初は、おおっ!と思うものの、冷水で〆て剛性逞しい麺と煮シメた牛肉と合わせて、食べるごとにもさもさ感が増してきて、予感通りに苦しくなってきた。
改めて、大盛り失敗を思う。
普通盛りだったら、挑み方違ったのにな、って。
京橋のだれかさんよろしく、残さない子をその教えと心得てはいるのだけれど、これ以上無理して食べるのは幸せなことじゃない(?)と、「残しちゃってゴメンね」と告げながらトレーを奥の食器下げ口に届ける。
不味い、ってことではないのだけどね。
看板に「ニクソバトリソバ」とある店だし、自分へのリベンジ(笑)もあって、後日再び「AMANCIO」で「鶏そば」。
今度は、絶対、普通盛り。
すると、「肉そば」では肉を麺の上に盛っていたのに対して、鶏肉がつけ汁の方に入ってる。刻み海苔がふさっとした全体の量感もなんだか合点のいく感じ。
そうすると何年も食べ続けてきているヒトみたいに、玉子を割り、揚げ玉を投入するのが自然な所作になる。
そして、二日前の「肉そば」では冷たかった汁が、なんと温かい。
「肉そば」は冷たい汁で「鶏そば」は温かい汁、なのか仕様を変えちゃったのか、
その辺りは判らない。
でも、断然こっちの方がいい。
つけ汁の辛みも丸いものに思えて男らしい麺にマッチ、ぶつ切りの鶏の身の旨味が引き立てる。
今度はぺろんと食べちゃって、この麺の黒は蕎麦殻の黒だけではないのでは?なんだろ?なんて考える余裕があったりする(笑)。
頭上にはグラスが並び、卓上にはイベリコのブロック。
この4月冒頭に開店したという「アマンシオ」は、「夜は呑めますので、ぜひ」という”ソバール”。店名「アマンシオ」は、スペインのワインか、サッカー選手か。
あ、そうそう、虎ノ門の「港屋」と関係はない、そうです。
口関連記事:そば処「港屋」で ワシワシ喰らう田舎黒太そばラー油辛汁(06年05月)
「アマンシオ」 中央区八丁堀3-17-16 セントラル京橋ビル1F [Map] 03-6280-5430