「チキンバスケット」が話題となる「キャンドル」へと電通通りを七丁目まで。ひっそりとした狭い間口の階段を降りると、意外や店内はほぼ満席だ。如何にも座りにくい高さのカウンター席に滑り込みます。昼真っからビールを呷るわけでもないので、「チキンバスケット」という気にはなれず、「大粒牡蠣フライ」をお願いしました。800円というのは安い設定だよね。届くまでしばし、と文庫本を取り出して、ふと周囲の異変に気がついた。カウンターの客たちの手元にもホールのテーブルにも、お皿が届いていない。総じて、ぼけっと料理が届くのを待っているんだ。無意識に時計に目がいく。大丈夫かな。ぽつぽつとお皿が運ばれてはいくが、矢鱈とスローペースだ。そうこうしているうちに、「キャンセルして!」と食べずに店を出て行く客が二組も背中を通り過ぎていく。むむむ。カウンターの客は、「ハッシュドビーフ」だというのに随分と待ってしまった様子だ。無表情に掻き込むように食べて、早々に引き揚げていく。業を煮やして「随分と遅いね~」と訊くと、「順番にお作りしています」「もう少々お待ちください」と云う。むむむむ。「お待たせしました」とお皿が届いた瞬間、確認するように時計を見るとなんと、注文を告げてからかっちり50分が過ぎている!。読む本がなかったら耐えられなかっただろうね。いやはや。広島産だという牡蠣の身に若干の臭みがあるものの、フライ自体はどうして悪くないcolumn/01789


