暮れ泥む大森の街。そう云えば、Bar「Tenderly」には随分とご無沙汰しちゃっているなぁとか、 池上通り側の、時に怪人も出没(笑)するという大森地獄谷にも突撃しなければ!などと、 これまた考えているうちに目的地に到達しました。 今日の夕餉は、とんかつ「丸一」の食卓で、という魂胆なのです。
湯殿ならぬ油殿を前にしたL字カウンターの隅に侵攻。正面上方の壁に掛かった木札の並びを眺めてから、 手元の品書きを確かめます。 矢張り、前回と同じ「とんかつ定食(ロース)」をいただきましょう。
丁寧に重さを量り直し、衣を纏わせ、油殿へ滑り込ませる。 揚げ音を聞きながらその仕上がりを待つひと時も悪くないものです。 思わず、瓶麦酒の小に御新香でもとお願いしそうになりますね。
厨房のお母さんは、ご自身の定位置を決めていらっしゃるようで、 お櫃に両手を載せているポーズを目にすることが多く、 隣に並んだ羽釜のお世話も守備範囲。 ご飯の番が、お母さんの任務とお心得のようであります。
油殿の上から、ご飯や味噌汁、お新香の小皿が手渡され、 続いて、とんかつのお皿が大将の手から届けられました。標準サイズのロースかつは、170gとのことのようですが、 それはまぁ、十分な大きさ厚さに思うお皿。 衣の色付きもいい油加減を思わせる綺麗な狐色だ。
こちらでは、レアにすることなく、過不足なく火が通っている感じ。 檸檬を搾り、卓上の「アンデスの紅塩パウダー」をお皿の脇に振って、 例によってちょん漬けして、いざいざ。 うんうん、何の強い推しもないけれど、安定して美味しいとんかつだ。 衣とロース肉が寸分の隙もなく、ぴたっと寄り添っているのがいい。
敢えてひとつ難を云えば、千切りキャベツの切り方がややぞんざいな印象で、 すっかり乾いてしまっているのが残念なところ。 キャベツも併せていただきに行く処といっても謂い過ぎではない、 東銀座の「にし邑」を思い出して、そう思う次第であります。
今のメニューには、重さの表記が見当たらないものの、 隣のお兄さんは、250gと聞く「大とんかつ」を貪り食べている。 それよりも更に値の張る品「ロースかつ定食(限定)」は、 限定品であるところからみると、肉質が違うのでしょうか。 何れにしても、呼称がややこしいので、 「ロースかつ定食(限定)」は、「限定とんかつ定食」と改めたらと思うのだけど、 それは余計なお世話かな(笑)。
味自慢と小さく示す看板の味わいもいい、とんかつの大森「丸一」。 夜の営業が19時までと早めなので、何気にハードル高いけど、 蒲田「丸一」みたいに、いつも空席待ちがあることもなくて、 比較的気安く足を向けられる。 そうそう、蒲田の「丸一」の大将は、ここ大森「丸一」で修行された方だとも聞くけど、 そうなのでしょうか。
口 関連記事: Bar「Tenderly」で ハイボール涼味カルヴァトスの大人かき氷と(10年09月) とんかつ「丸一」 で最後まで軽ぅい食べ口限定極上ロースカツ(08年01月)
「丸一」 大田区大森北1-7-2 [Map] 03-3762-2601
column/03447