前回の沖縄で初めて訪れた「山本彩香」での晩餐は、とても印象深いものでした。
その時お逢いした彩香さんは、艶やかでお元気そうでしたが、暫くして店を閉めると聞いてびっくり。
もうあの悦びに再会できないのかという寂しさに一瞬呆然となる感じ。
でもその後、昼の営業に切り替えて再開と知って、安堵したのでありました。
それから結局一年半振りになってしまった沖縄、那覇。
昼のみ営業といっても、夕方近くの訪問も可だと聞いて予約した時間に間に合うよう、ホテルにチェックインしたその足で、西消防署通りを辿ります。
新装なった店内は、個室を区切っていた戸やその先のカウンターが取り払われて、オープンなフロアに。
お昼メインの営業スタイルに合わせてお店の箱も切り替えるあたりも彩香さんの意気、なのでしょね。
彩香さん手作りの豆腐ようは、仕込みに4ヶ月かかるそう。
気温が上がって発酵が進み過ぎる可能性もあると、彩香さんはそのお世話にと本日はもう店を離れている、と聞く。
お逢いできないのはちょと寂しくも、それだけ長きに紅麹のご機嫌をとりつつ出来上がってくる手作り豆腐ようは、やっぱりまろやかで繊細な食べ口。
いいなぁ。
お願いした泡盛は、いつもの「春雨」だ。
もうひとつの小鉢には、「麩とモズクの白和え」。
フィファチを敷いたゴーヤの天ぷらは、中の綿を外さずにそのまま衣に包んで揚げてある。
「ヌミダル」は、前回のものより胡麻のペーストがたっぷりしている気がするな。
「ゆし豆腐」は、まさに前回と同じ見映え。
山芋のせと和えた生アーサに梅肉がアクセントに載っています。
思わず、「待ってました!」と叫んでしまったもの(笑)。
都内や石垣のお店でも「ドゥルワカシー」があれば注文むという行動になるのは、間違いなくこのお皿の所為なんです。
田芋(ターンム)独特の風味とカステラかまぼこや椎茸などが織り成す、素朴で繊細な甘さに似た食べ口に思わず目を閉じる。

でも、そんじょそこらのラフテーとは違って、白味噌仕立て。
あじくーたーなのにあっさりとして。
添えてあるのは、沖縄の竹の子、ちんぶく竹だ。
届いたお椀の蓋を外して、そこへ出汁を注ぎ込めば、
「豚飯(トゥンファン)」の出来上がり。
それをデザートに昇華させられないものかと彩香さんがひと工夫。
夕暮れ時までの営業に衣替えしてもなお、 変わらぬ魅力を供してくれる琉球料理「山本彩香」。
また今度お邪魔するのはいつのことになるかなぁ。
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琉球料理乃「山本彩香」で 琉球料理の本懐あんまーの心意気(08年10月)「山本彩香」 那覇市久米1-16-13[Map] 098-868-3456
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