それは今年の春先あたりのことだったでしょうか。なかなか行けないお肉系イタリアン「Nodo Rosso」の裏手の道に折れ入って、鰻「青葉」や「煉瓦亭」新富本店の店先を眺めつつ、ワインバー「R」のある路地を曲がろうとしたところで、飲食店らしき佇まいの気配に立ち止まる、なんてことがありました。
そのままずっと往くと洋食「三好弥」へと続く裏通りに、
小さく突き出した四角いサイン。
店先のA看板は、黒板形式。
ここは是非OPENの札に誘われてみましょう。
調度も含めて、
胸の高さより下の部分にぐるっと木目を廻しました。
そんな印象のインテリアに包まれるように腰掛けて、
見上げた壁にはこれまた黒板メニュー。
夜の部のものらしきビストロメニューが並んでいます。
例えば、野菜のコースを選んで届いたスープは、
白ネギのポタージュだったりビシソワーズだったり。
おひるどきにきちんと手を入れたスープをいただけるのは、
何気に嬉しいものでありますね。
野菜コースですもの勿論、
サラダのお皿がやってくる。
「Coulis」のランチを思い出しつついただくことには、
やっぱりなってしまうのではあるけれど(笑)、
野菜をたっぷりいただけることは有難いことであります。
野菜のお皿には、キャロットラペやアボカドのパテや、
ウルイと呼ぶギボウシ属の野菜などなど、
そしてそこにケイクサレCake saléが添えられています。
メインのお皿は例えば「鶏もものクリーム煮込み」。
鶏ももからの旨味もしっかり滲んで、
一緒盛りのライスとクリームソースが、
あっという間に仲良しになります。
別のおひるには例えば「スズキのポワレ」。
鱸に法蓮草のソースが似合うのがちょっと意外で、
それがなんだか愉しくも微笑ましい。
少々冷え込んできた秋のある日には、
「アッシパルマンティエHachis parmentier」をなんてこともある。
耐熱皿の表面はカルメル状に仕上がって。
そこをフォークの先でホジホジすれば成る程、
副題に肉ミンチとじゃがいものグラタンとあるように、
ベシャメルチックなジャガ芋のソースと渾然となったお肉が顔を出す。
ふーふーふー。
なんだかちょっと贅沢な気分になるのは何故でしょう(笑)。
新富町の裏通りにまたひとつ点ったビストロの灯り、
その名はBistro「Le Cake」。
何故に”ケーキ”という名をお店に冠したかと訊ねたら、
割りと意外な応えが店主から聞くことができました。
加藤シェフがフランスで働いている時に、五回程も、
「Le Cake」という名前の店で働いている自分の夢をみたから。
ケーキという、なんかこう楽しい感じの名前の、
ビストロもあっていいのじゃないかなって。
「Le Cake」
中央区新富1-6-15 サニービル102 [Map] 03-6280-3611
https://bistrolecake.shopinfo.jp/


