column/02365
壺焼欧風かれー「ビストロ喜楽亭」池尻本店
三宿交差点近くの暗がりに浮かぶ赤いネオンの文字は、「Bistro De 喜楽亭」。テーブル席はほぼ埋まり、なかなかの人気のようです。メニューの「つぼ焼きかれー」のページには、例えば「よくばりかれー」「森のきのこかれー」「スパゲッティかれー」「ビンダールかれー」「かれーリゾット」「カニの姿揚げかれー」「ピリピリかれー」「鯨かれー」と、幾多のかれーの名が載っていて目移り必死。シャトーブリアン200gを使っているというお値段最高位の「牛フィレステーキかれー」は、4800円だ。あれこれ悩んでから、素朴路線で「挽肉野菜カレー」に「トマト」のトッピングをいただいてみることにしました。らっきょや漬け物の小皿に続いて、フライドオニオンで飾ったライス、そして如何にもグツグツしている手鍋型の土鍋がやってきました。浮かぶガーリックチップもろともライスの上にえーーいと流しかける。はふはふしながら、スプーンを口へ。玉葱をふんだんに使っているのが窺え、こってりとした欧風カレーとはまたひと味違う仕立て。辛口といっても、角のまあるい辛さで、どこか家庭的な味わいにも通じるところがあって、和んでしまうカレーだ。裏に潜む挽き肉がキーマ的な旨味の厚みを生んでいる。追加したトマトの酸味もいいアクセント。きっちりブイヨンをとり、毎日10時間以上煮込んでいるという「ビストロ喜楽亭」のかれー。それをさらにひと晩じっくり寝かすことで翌日のカレー的まろやかさを生んでいるのかもしれないね。もっとも、熱々であること以外に、”壺焼き”の効果がどのあたりにあるのかは実感できなかったけどね。ところで、店先の緑の看板には、”壺焼印度”と書かれてある。今はおよそインドカレーの仕立てではないけど、かつてこの地でカレー専門店としてスタートした時は、インドカレー志向だったのでしょうか。
「ビストロ喜楽亭」 世田谷区池尻3-30-5 03-3410-5289
http://www.bistro-kirakutei.co.jp/