
蒸し暑き水無月の週末。
土曜日に八丁堀界隈にいるなんて久し振りだなぁ。
そう考えながら、新富町駅の階段を昇ります。
Bistro「Bois de pin ブワ ド パン」に
Bistro「Sensibilité サンシビリテ」、
そして、Restaurant「Coulis クーリ」がある。
“新富ビストロ通り”と勝手に呼んでいる、
新富町の裏通りは、夕暮れ前ののんびりとした空気が漂っていました。

目的地は勿論、
“新富ビストロ通り”の起点、「Coulis」。

久々にお邪魔する夜の部の「クーリ」前に、OPENを示す黒板が置かれました。
満席前のまだ静かな「クーリ」の店内。


まだ明るいテーブルをイメージしていたけれど、
ブラインドが下りていて、夜の気配を先取りしています。
「クーリ」のディナーは、シェフおまかせのスペシャルメニュー。
6月中旬のこの夜の口開きは、
静岡産の桜海老のフリットから。

サクーーッと軽やかに芳ばしさが華開く桜海老。
グラスの底には、淡島の新玉葱とパプリカのソースが潜み、
トマトとトレビスのグラニテが色を注す。
トップにはミルクの泡に「クーリ」の軒先で採れたナスタチューム。

続いて、愛媛の鱧の湯引きのお皿。

赤いのはやっぱり梅肉のソース?なんて思ってしまうけどそうではなくて、
ビーツと一緒に大根をおろした変則もみじおろし。
仄甘い鱧の身に柔らかな酸味を添えています。
ワインは、少々変り種に走って、「Beau Paysage TSUGANE 2011」のロゼ。

TSUGANEというのは、八ヶ岳を望む北斗市の津金の地のことであるらしい。
エレガントな酸味と喩えればよいでしょか。
バーニャカウダと説かれつ受け取った硝子のプレート。

中央には衣に包んだ鮎とズッキーニ。
ビーツを用いてソースに赤い色を出すのは、「クーリ」の定番であるようです。
ふたたびの海老のフリットは、カダイフ包み。


マヨネーズのソースがくすんでいるのは、竹炭を含んでいるから。
黒色を施す前衛には、黒大根の一閃が効いています。
不思議な空間表現の器には、「クーリ」の真骨頂が載ってきた。

液体窒素のパウダードレッシングを振り掛ければ、
忽ち包み込む、涼やかな夏の演出。
ランチタイムでもお馴染みの十五種類のお野菜のサラダ。


お野菜の下のお約束。
ライスとともに鹿児島の鰹のタタキが隠れていました。
パスタのお皿に描かれたのは、黄色い人参によるひと筆。


お魚のお皿には、鱗焼きした長崎の甘鯛。
その甘鯛を浮かべているのは、レモングラスで仕立てたスープ。
ぱりっとした衣に仄甘い身。
レモングラスの香気がより軽やかにしてくれています。

そこに添えられていたのが、九十九里の蛤の炭火焼き。
蝶番なぞにナイフを入れて開かないようにしつつ、自らの殻で蒸し焼きに。
殻の中のスープが滋味深いのは疑いがありません(笑)。
二本目に選んでくれたのが、イタリアの「ROSSO PICENO Superiore」。

どっしりし過ぎない呑み口。
チャーミングなエチケットを眺めつつ、頷きます。

お肉はと云えば、
佐賀牛サーロインの炭焼き。

ソースはシンプルに、玉葱のソースとフレッシュトマトのソース。
お皿に小さな穴が幾つか開いていて、
そこに藁と桜のスモークチップが仕込まれている。
口に運んだ佐賀牛に薫香が纏っていて嬉しがらせるのは、
そんな仕掛けによるものなのでありました。

デザートとなってお願いしていたお皿がやってきた。
ささやかながら結婚のお祝いを。
Happy Wedding!
“新富ビストロ通り”のフラッグシップ、レストラン「クーリCoulis」。

シェフ曰く、通りのお店たちとは交流があるようで、
ともに盛り立てていきたいとするよな雰囲気が感じとれる。
大人気ゆえ、席の確保が心配だけど、またランチにもお邪魔します。
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「Coulis」
中央区新富2-10-10 2F [Map] 03-6228-3288
http://www.coulis23.com/
column/03407