肩書きに”摘み草”を謳うお店には、
そうそう出会えないよね。
それが石垣でのこととなれば、島の野草を上手に取り込んだ昔ながらの料理がいただけそうな、そんなニュアンスが伝わってきます。
予約をして訪れた場所には、石垣牛のステーキで有名な老舗「担たん亭」の看板。
そしてその同じ敷地に「担たん亭」と向き合うようにしてあるのが、郷土料理の店「華穂」です。鬱蒼とした印象の樹木に囲まれたアプローチを進み、夕闇の赤瓦を見上げつつ、忍び寄る蚊の群れから逃れるように扉の向こうへ。
柱や梁の力強さは、時に猛烈な風雨が襲う島の伝統的な邸宅の造りらしい。
肉厚な一枚板のテーブルからは、草茂る庭先が臨めます。
「華穂御膳」の口開きは、七つの小鉢が並ぶお膳だ。
12時のところにある小鉢は、ミミガーのピーナッツ和え。
クリーミーで香ばしいピーナッツとミミガーは定番コンビだね。
パパイヤと海草の和えものには、ハイビスカスや長命草が彩りを添えている。
白淡雪栴檀草(あわゆきせんだんぐさ)、うりずん豆(四角豆)、紅芋にゴーヤ、人参、茄子。
与那国の塩でいただきます。
ラフテーに寄り添っているのは、オオタニワタリとハンダマ。
天ぷらやチャンプルも似合うオオタニワタリは、湯通ししただけでも独特の食感風味が愉しめる。
ハンダマといのは、鉄分が多いため「血の薬」とも呼ばれるキク科作物の葉だという。
波照間のもち黍を混ぜ込んだご飯と交互にいただけば、しみじみと優しい心持ちになる(笑)。
フルーツは、グアバ、マンゴー、パインにアセロラが載っている。
さんざん陽射しを浴びて焼けて火照った身体を真ん中からそっと冷やしてくれそうな、そんな気のする優しい甘酸っぱさがいいね。
敷地内に自生する野草を摘み草して、膳のそこここに鏤めて、優しい優しい八重山の郷土料理を供してくれる「華穂」。
今度は、その摘み草たちを練り込んで作るという「草そば」を啜りに来ようかな。
「華穂」 石垣市字新川2118 [Map] 0980-84-3057 http://www.tsumikusa-kaho.jp/
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