
伊勢の地元居酒屋「一月家」。
老舗の風格をすっかり堪能して、
その暖簾を背中にする。
もう一軒行こうとほろ酔いの足取りで歩き出す。
さっき来たのは、アーケード「しんみち」の入口辺り。
それとは逆の方向へと進んで、
県道の曽弥という信号を渡り、
公園のブランコや滑り台を冷やかしつつ(笑)、
その先の宮町の交叉点へと近づきました。
暗闇囲む横断歩道の向こうに点る灯り。
白い暖簾がおいでおいでと誘(いざな)うように風に揺らぐ。

既にほぼ満腹であるのに、
引き寄せられるようにその灯りの下へと辿り着いていました。
件の暖簾を払えば、その拝殿は大賑わい。
たまたま隅の胡床二脚に空きがあり、そのまま腰を降ろします。

変形に厨房を囲む、朱塗りのカウンター。
対面の壁の御札が示すは、「ぎょうざ」「おにぎり」「から揚げ」、そして「カニコロ」だ。
厨房の中央では、割烹着姿の姐さんを含む四人がかりで、
餃子を包んでくれている。

せっせと黙々と、でも気負いなく、何処となく楽し気でさえあるけれど、
ずっと立っているだけでもしんどいのではと思ってしまう。
まぁ、座って調理する方の料理に美味しいイメージはないけどね(笑)。
手前に視線を下ろすと、
カウンターの内側に5つの業務用の瓦斯炉が並んでる。

その上に据えられているのは全て、同じ口径のフライパンだ。
と、そこへアルミの盆に載せられていた餃子が、
向かって右手のフライパンの上へと綺麗に並べられる。

焼き手さんは、今度は向かって一番左のフライパンを手にして蓋を開け、
焼き上がった餃子をヘラで掬って、その脇に積んでゆく。


そして、ひとつづつフライパンを左にズラすと、一番右のコンロが空くという寸法だ。
成る程だよね!
と、焼き立ての「ぎょうざ」がやってきた。
まさに今の今までフライパンの上にいたことが、
焼き目の縁取りに現れています。

お皿にまず一礼。
これが不味かろう筈がないよなぁとは思いつつ、
タレもつけずに、ふーふーとだけしていただきます。
うほほほほひー(笑)。

野菜の甘さが、想像を越える軽さで飛び込んでくる。
それが極々薄い皮の芳ばしさと一緒になって、あっと云う間に旨味に昇華する。
大蒜の利き具合も意外と繊細でいて、ぐっと勘所を掴んでくる。
ほひひ、こりゃ堪らん。
ほぼ満腹であったのに、一気呵成に喰らってしまって、まだ食べられそう。
追加しちゃう?と訊き合うなんて、可笑しいよね。
伊勢を貫く県道沿いの暗がりに、絶品餃子の店「美鈴」がある。

こうなると「から揚げ」や「カニコロ」も、「おでん」までもが気に掛かる。
のむちゃん、水先案内をありがとう。
また此処にお詣りする機会のあらんことを願います。
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居酒屋「一月家」で お伊勢参りと御酒鮫だれふくだめ老舗の風格(14年10月)
「美鈴」
伊勢市宮町1-2-17 [Map] 0596-28-8602
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