「磯野家」などが収まる10号館はほんのちょと離れているけれど、それは正門に向かって開いた位置にある。
市場正門と対角を成す位置にある門が、海幸門。
海幸門からの動線上にあるのが、魚がし横丁1号館。
経営者の移ったという「豊ちゃん」や「吉野家」1号店を収めた1号館は、4号館からの列からは、これまたちょいと離れた位置にある。
あれ?そふ云えば、2号館と3号館は一体何処にあるのでしょう?
そんなことを考えながら、
1号館前の荷捌きエリアにちょっとだけお邪魔する。綺麗に並んだターレの先、
プラットホームの向こうに「岩佐寿司」のオレンジの暖簾に並んで、
印度カレー「中栄」のファサードが覗けます。
1号館の前にそこはかとなく漂うカレーの匂いに誘われる。硝子越しに覗くコの字のカウンターは、
時に空席待ちを生んで賑わいます。
基本形の「印度カレー」は何度いただいたことでしょう。クセのないコク味と旨味を後押しするような過ぎない辛味がいい。
チャーシューの端っこを添えた、
「特製玉子焼き」をのっけたり、
別皿の「キャベツ」を添えてもらったりも気分次第だ。
偶には「野菜スープ」のカップを啜る。セロリの香気がひと捻りの個性を示し、
カレーのコク味との対比をも思わせます。
これまた定番なのが「合いがけ」。
例えば「ビーフカレー」と「ハヤシライス」に、
「生卵」のトッピング。合いがけの両者の真ん中に収まったライス。
そのライスに刻んだスリットに生卵が隠れんぼ。
白味を含めた卵があちこちに踊らないようにする工夫なんだろね。
やや性質の異なるふたつの河の合流点を眺めるような、
そんな心象を抱かせるアイガケの接点がある。右を掬って口に運び、次は左側を掬って口に運ぶ。
両者の甘さや風味の違いを愉しんだら次は、
甘めの方から一気果敢に攻め込んだりするのです。
少々肉々しい気分も交錯する時には、
「炙りチャーシュー」を奢る手もある。腿肉でしょか。
だらしなく蕩けるよなチャーシューでなく、
しっかりした噛み応えと炙った香ばしさの中から、
ジワワっと旨味が滲む。
気風のいいチャーシューなのであります。
「みそ汁」を註文むなら”ギョクオチ”にするのも選択肢のひとつ。味噌汁の温度が下がるけど、
半熟の玉子の黄身と味噌汁の取り合わせも何気に好きなのだ(笑)。
築地場内だもの魚介でなくちゃと断じる諸兄には、
それ相応のカレーが勿論用意されている。その名も「築地魚河岸シーフードカレー」。
紅ズワイガニのものだという蟹爪がアクセント。
帆立に海老に烏賊に浅利の具が潜む。
まあでも、此処ではやっぱり基本形の「印度カレー」か、
やや甘い「ビーフカレー」がおススメです(笑)。
築地場内魚がし横丁1号館中央に印度カレー「中栄」がある。何気ないフリしてるクセに、
思い出したら堪らず食べたくなる、そんな魔性を孕むカレー皿。
仲卸しの方々と思しきオッちゃん達が、
カウンターのあっちとこっちで奢り合いをしている光景によく出会う。
市場関係者の食堂としてもきちんと機能しているように思えて、
ちょっと嬉し愉しくなっちゃう瞬間だ。
「中栄」
中央区築地5-2-1 築地市場 魚がし横丁1号館 [Map] 03-3541-8749
http://www.nakaei.com/
「あいがけ」の合流点、さながら青ナイルと黒ナイルの
大河を彷彿させる雄大な眺めかと・・・☆
ところで2号館と3号館はどこへ行った?という件。
聞いた話ですが、昔は1号館の前はアーケードの屋根で、
通りの向かいにあったのが2号館・3号館なのだとか・・・
今は、その場所が出荷商品の積み出しステーションである
「茶屋」になった、と。
Re:つきじろう師匠さま
なるほど~。
並びから考えても、あの辺りにあったのかもなぁとちょろっと思ってたところです。
2号館、3号館にも飲食店が入っていたンでしょうね。
4号館~に移転して現存する店もあるのかも。