「いしなぎ屋」を後にして、 まだ陽の落ちない桟橋通りを730交叉点に向けてぷらぷらと散策します。
と、宮良殿内(みやらどぅんち)の通りの近くで、 不思議な名前のお店に出会しました。読めばその名も「ひゃみく屋ぁ」。 小さく添えた”ぁ”が、いい味だしています。
提灯が出ているので飲食店らしいと硝子越しに中を覗くと、 寿司屋風の硝子ケースの横に厳つい表情の大将がいる。これは改めて訪ねなければいけないと、 決意を固めます(笑)。
翌日のダイビングの後、シャワーとログづけを済ませて早速、 ショップのスタッフに送ってもらう。 マリンサービス「KATSU」のスタッフも、 「ココって、寄ったことないです!」と興味津々の面持ちだ。
予約の名を告げた大将に、 そのまま真っ直ぐ奥の座敷へと案内いただく。たった三脚のカウンターにはどなたが腰掛けるのでありましょうか。
お店の雰囲気に似つかわしき、枯れた風情のお品書きは、目移り必至。 夜の部一品料理には、定番のあれこれに「ポーク・玉子」や「島そばアンカケ」。 煮込みには、「カツ煮」「牛中味」「豆腐カラ煮」。 揚げ物7種にチャンプルー7種。 塩辛もあれこれ、「ハラガク塩辛」「たこ塩辛」「イカすみ塩辛」。 ご飯ものには、「タコライス」に「キムチライスコロッケ」、「島雑炊」。 そして、すべて時価と記された、 近海魚の「煮付け」「マース煮」「マグロ頭・目煮付け」も大いに気に掛かる。
ダイビングのあとの最初の一杯。 「オリオン」のジョッキを「く~!」と傾けてからもお品書きを何度も捲ります。
勢い込んで、あれもこれもと注文しよとしたら、 顔つきはゴッツイけれど実に柔和な大将に優しく諭された(笑)。 「一品の量が多いですから、程ほどに様子を見ながらにした方がよろしいかと」。 ですか、ですねと受け止めて、 まずは「刺身盛り合わせ」からいだたくことにします。
それは、盛り付けも鮮やかにたっぷりのお刺身たち。仰る通り、ふたりには十分過ぎるボリューム。 高級魚とも云われる「マチ」やブダイ「イラブチャー」の刺身もまた嬉しい。
角皿の角にはたっぷりの山葵に島唐辛子が突き刺してある。「イラブチャー」あたりのカラフルな魚の白身は、 搾ったシークヮーサーでいただくのもオツなのだけど、 島唐辛子はどの刺身にどんな風に使うのだろうね。 続いてドーンと届いたのが、「テビチの唐揚げ」。豚足テビチは、ご存知のようにフルフルに煮込んだヤツが通常の仕立て。 ところが、目の前に鎮座したテビチは粉を纏って一見カラっと揚がっちゃっています。
これはもう手掴みだと片手に取ると、量感たっぷり。 例のコラーゲンな感じの身肉が食べても食べてもやってくる。 骨までしゃぶればもう、両手ベトベトでございます(笑)。
なるほど、既に空腹は遠のいたねと「請福」の水割りを舐めていたら、 大きくて深い器になみなみと「牛中味」がやってきた。牛のホルモンあちこちもお豆腐もお野菜もお汁もたーっぷり。 量に圧倒されつつも、口にするのはしみじみと浸る旨味、旨味。 ああ、いいなぁ。
実はもうひと品注文んでいて、それが「島そばアンカケ」。断面が丸いのが八重山そばの証。 ごちそうさま、お腹一杯です。
気がつけば、入口すぐのカウンターにも、ふたり掛けのテーブルにも、 地元の常連さんらしきひと達がいて、 まるでいつもの様子で賑やかになっていました。
観光客の匂いなき、島料理の店「ひゃみく屋ぁ」に一目惚れ。武骨そうにみえて、懐深く気遣いの大将がおひとりで切り盛りしている。 不思議なお店の名前を訊ねたら、厭な顔せず教えてくれた。 大将の出身地、沖縄・那覇の天久(あめく)が転じて、「ひゃみく屋ぁ」。 最後の小さい”ぁ”も含めて店名なんですよねと訊くと、 「いやぁ、あれは、デザイン、かな?」とナハハと笑う。 いやいや、ウチナーグチの響きが伝わって、ステキです。 また遠からず訪ねて、「近海魚のマース煮」や「マグロ頭・目煮付け」もいただきたい。 出来れば今度は、もっと大勢でテーブルを囲まなくちゃだね。
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「ひゃみく屋」 石垣市大川27 [Map] 0980-82-9282
column/03406
このお店は美味しそうなものが・・・たーんとありそうですね!
主人の人柄も、雰囲気も良さそう。
先日、沖縄の料理は色彩的に・・・と言いましたが、訂正、再認識のようです。
赤身、シークワーサー、烏賊・・・美しいですね!
でも、行って食べて見ろと言われても・・・簡単には行けません。
バーチャルで味わいましょう。
Re:ねこさま
大将の、頼り甲斐ありそうな様子もいいです。
石垣は色々と魅力的な島。
バーチャルが実地へのキッカケになればよいなぁと思います。