
観測史上一二を争う早さで開花したという、
東京のソメイヨシノ。
桜祭りの類の日程と開花が噛み合わず、
困惑したイベント主催者が沢山あったことでしょう。
呑ん兵衛仲間も
恒例の花見の予定を急遽繰り上げたりなんかして。
自らも月末に呑もうとの約束をぷち花見も兼ねちゃおうなんて目論みにしていたものの、こりゃ葉桜見物になりそうだなぁと半ば諦めておりました。
モヤイ像前から246を陸橋で渡り、さくら通りの坂へ。

3月の最終週になってやや気温の低い日が続いたためか、
満開は疾うに過ぎて緑色もちらほらしているものの、
ぷち花見にはなんとかぎりぎり間に合ったと云ってよいでしょう。
桜の花弁の向こうにある、角のビル三階が目的地。

ビルの地階には、知ってるひとは知っている人気店、
「RISOTTOCURRY standard」があるところだ。

ところが、階段で登った三階の扉にも、
同じ「RISOTTOCURRY standard」の文字。
そうなのです。「RISOTTOCURRY standard」は、
この3月半ばから同ビル三階でも営業を開始したのでありました。
カウンターに腰を下ろしかけて気が付くのは、
隅切り部に開いた窓の借景の素晴らしさ。

額で切り取った様というのは、
こふいふことを云うのでしょう。
借景にも似合うグラスの白をいただいて。

そうか、ロゼがあったか訊かなかったな(笑)。
メニューをひっくり返した裏側に手書きされた、まさに裏メニューから、
「北海道産生ダコと新じゃがの大葉ジェノヴェーゼソース」。

大葉の香り清々しく、
じゃが芋にも蛸にも間違いなく合う万能のジェノヴェーゼソースとの協奏がいい。
ふつふつと沸いた油に海老の橙が浮かぶ。

以前もいただいた「エビのガーリックオイル煮 ガラムマサラ風味」だけど、
本日はややガーリックが控え目か。
ふたたび裏メニューから、「たっぷり牡蠣と菜の花の”あつあつ”グラタン」。

その名の通り、帆立型のグラタン皿にみっしりと牡蠣の身があって、
そこへ滑らかなベシャメルと菜の花の仄かな苦み。
はふほふするのが妙に嬉しかったりするのです(笑)。
オネエさんが扉からひょっこり顔を出して、ワインのボトルを置いていく。
なるほど、階下に所蔵のワインが融通されてきたのだね。
三階から地下のカウンターに回るボトルもあるのかもしれません。
半熟たまごとチーズ焼き風に仕立てるのが標準形の「トリッパのやわらかトマト煮」は、
玉子なしのシンプルスタイルで所望する。

これまたその名の通り、煮崩れるちょっと手前くらいに柔らかで。
どんどん口に運んでしまうのは、たっぷりのパルミジャーノの所為でもあり、
トマトが引き出すトリッパの旨みの所為でもあり。
そしてやっぱり此方のメインテーマもいただかなければいけませんと、「リゾットカレー」。

均質にチーズを纏ったリゾットと鶏肉煮込みのトマトカレーソースのツートンカラー。
トマトベースのこのカレーは、カレー風味のトマトソースと呼んでしまってもいいような、
もうひと口すると、ああやっぱりカレーかと思い直したり。
そんなボーダレスな感じもこのお皿の魅力です。
リゾットと軽くまぜまぜしながらいただきましょう。
同じビルの三階に新たな止まり木を設けてくれた、
大人気バル「RISOTTOCURRY standard」。

敷地が同じなのだから当然ではあるけれど、三階のカウンターも絶妙なこじんまり感。
窓の開口が齎してくれる抜けあるゆとりは、明るい時間のささやかな贅沢。
そして、束の間の桜の借景の素晴らしさ。
通常17時からの営業時間をこの時期の土日のみ15時からの営業としてくれたお陰で味わえたひと時でありました。
来年また予約できるかなぁ。
口 関連記事:
BAL「RISOTTOCURRY standard」で 妙に嬉しい5杯目のグラス(11年12月)
「RISOTTOCURRY standard」
渋谷区桜丘町16-8 桜丘ビル B1F・3F [Map] 03-6416-3604
http://www.risottocurry.com/
column/03360