
久し振りに赴いた静岡駅周辺。
駅近くのビルの竣工前後に行ったっきりだから、
かれこれもう13年程があれから過ぎたことになる。
光陰矢の如し、なぁんて呟いてしまうのが正しく歳をとった証左だぁよね(笑)。
そんなことを思わせる静岡には、ちょくちょく通り過ぎることはあっても寄ることはなかったのに、赴いてみようと思ったのはつまりは近づく春の陽気の所為、なのでありました。
どうやら駅からも程近い駿府城公園にも桜があるらしい。
静岡鉄道の新静岡駅近くのお濠端の桜を眺めつつ、
東御門から敵の便隙を窺い忍び入る(笑)。
桜を求めて奥へと進むと、
城址公園の其処此処に散らしたように桜の木がみつかります。


まだ満開前の枝越しに銅像が此方を睨んでる。
誰だろうと近づくとそれは、かの徳川家康公であらせられるのでありました。
そういや駿府の国と家康とは縁が深いんだったのねと、
銅像の脇に建てられた木造りの案内板を読む。
駿河の国は、室町時代の今川氏から、武田信玄、そして家康、と思ったら秀吉系、その後また家康の拠点にと変遷した模様。
家康は、幼名 松平竹千代の頃、人質として19歳までの12年間、駿府で暮らしており、将軍職を秀忠に譲った後にはまた「大御所政治」の拠点の地と定めて駿府に戻る。
享年75歳で薨去したのも駿府城でのことだったんだね。
銅像に向かって右手には、蜜柑の木の前に「家康公お手植えのミカン」なんて立て札もございます。
そんな駿府城公園を離れて、鷹匠町。

やや早いおひる時の鮨屋のカウンターへとお邪魔しました。
冷や酒をお願いしたところにすっと出てきた時季のもの。

3月の上旬に解禁したこの生しらすが静岡に赴いた理由のひとつ。
それが早速突き出しで登場しちゃいました(笑)。
ところが、それじゃぁ理由のもうひとつもあるかなぁと訊ねると、
残念ながら桜海老の生は入荷がないという(泣)。
海況に左右され、漁ができる日が限られているようです。
気を取り直して、目の前の硝子ケースを覗き込む。
青魚が並ぶ中でも黒光りが一際目を惹くヤツがいる。

早速所望した、背黒鰯は鯔背な風情。
これが、おおおおと唸るほどに旨い。
それがシラスの親だよと云われて、慌てて今の味わいを反芻する。
シラスは鰯の仔魚だとは承知してたけど、
駿河湾辺りではセグロイワシの子だってのは恥ずかしながら知らなかった(恥)。
青魚スイッチが入ってしまえば、鯵は必須科目。

皮をひいたあとの表情に見惚れつつも口に運ぶ。
ああ、清々しさを含んだその身の香りが堪りません。
そして今度は、真鰯による銀の翼。



細魚に鯖、小肌と続けてしまいます。
そう顔に書いてあったのか、「牡蠣もまだありますよ」と(笑)。

鳥羽から届いた牡蠣を軍艦にして、そこへあおさ海苔を添えてくれる。
うへへ、美味しゅうございます(岸朝子調)。
対して、海苔を巻かない姿で届いたのが、小柱に平貝。
平貝には、柚子と塩。



そこへ、愛媛「梅錦」のコップ酒を傾ける。
こんな烏賊下足のにぎりは初めてだ。
鮪を少々と赤身を所望したら、それはころんとした鞍掛けで。

熟成感が乙なひと口でありました。
干瓢巻き少々と、最後にふたたび生しらすを軍艦でいただいてお愛想。

やっぱり生桜海老のにぎりもいただきたかったでございます(笑)。
駿府城公園もほど近い、駿河湾の恵み揃う鮨処「末廣寿し本店」。

創業来百有余年という老舗の心得と気の置けない雰囲気が同居して、居心地がいい。
背黒鰯も印象的でした。
「末廣寿し本店」
静岡市葵区鷹匠3-3-13 [Map] 054-245-0558
http://www.macspirits.com/suehiro/
column/03361